【かみはこんなにくちゃくちゃだけど】夢をあきらめない。幸せを見逃さない。肩の力が抜けて前進できる絵本【子どもから大人まで】
いつかかしゅになりたいの。かみはこんなにくちゃくちゃだけど。……日常のネガティブなこと、ポジティブなことを淡々と描くだけでたくさんの気づきがある大人のための絵本。(かみはこんなにくちゃくちゃだけど ヨシタケシンスケ/作 MOEのえほん 白泉社)
この本のイメージ 大人の絵本☆☆☆☆☆ 小さな幸せ☆☆☆☆☆ 禍福は糾える縄の如し☆☆☆☆☆
かみはこんなにくちゃくちゃだけど ヨシタケシンスケ/作 MOEのえほん 白泉社
<ヨシタケシンスケ>
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。「りんごかもしれない」「もうぬげない」(以上、ブロンズ新社)、「りゆうがあります」「なつみはなんにでもなれる」「おしっこちょっぴりもれたろう」(以上、PHP研究所)、「あつかったらぬげばいい」(白泉社)で、MOE絵本屋さん大賞第1位、「りんごかもしれない」で、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞。著書に、「このあとどうしちゃおう」「ころべばいいのに」「ねぐせのしくみ」(以上、ブロンズ新社)、「ふまんがあります」「わたしのわごむはわたさない」(以上、PHP研究所)、「つまんないつまんない」(白泉社)、「あるかしら書店」(ポプラ社)、「みえるとかみえないとか」(アリス館)などがある。2児の父。
「あつかったらぬげばいい」の姉妹版。初版は2022年です。
「いつかかしゅになりたいの」「かみはこんなにくちゃくちゃだけど」、「いますきなひとがいるの」「かかとはこんなにガサガサだけど」、「いつかおしたいボタンがあるの」「いまはまだとどかないけど」
というふうに、左ページにポジティブな希望、右ページにはネガティブな現実が描かれています。
これ、大人のための絵本ですよね。
ふつうならば「かみはこんなにくちゃくちゃだけど、いつかかしゅになりたいの」となるはずなのに、あえて逆にしているのです。
ああ、わかる。
本当は「~だけど、~したい」とポジティブに生きてゆきたい。しかし、どうしてもくじけてしまうときがある。そういうときに、小さな夢や希望を思い出して、立ち上がるには「こんなに困難だけどわたしは夢をあきらめない」という強い言葉ではだめなときがあるのです。
ところが、この絵本はほどよいネガティブがふくまれているので、その「心の抵抗」をすっと乗り越えて入ってきてくれる。
「きょうはれいぞうこにプリンがはいってるの」「せけんはくらいニュースでいっぱいだけど」が絶妙。
「世間は暗いけど今日は冷蔵庫にプリンがあるんだよ!」と言う強い気持ちじゃなくて、「プリンあるんだからがんばろう。でも、世間は暗いんだよねー」と言う、元気出しつつも元気出す自分に感じる罪悪感など、微妙な気持ちが詰まってる。でも、冷蔵庫にはプリンが入っているの。
ばかばかしいと言われながら夢を抱いたり、夢を抱く罪悪感を感じながらも夢を持ち続けたり。
大人になると感じるたくさんの「ビミョー」な気持ちを、シンプルな言葉で表現してくれている絵本です。
それでも、じんわりじわじわと元気になってきます。
「つらいことがたくさんあるけど、今日もがんばるぞ!」ではなく「今日もまあがんばりますか。辛いことは多いけどね」と言う、夢を抱く気持ちにもつらい気持ちにも寄り添ってくれる感性。
そして、そんなページが続いた後に、唐突にラスト「かみはこんなにくちゃくちゃだけど」「わたしにはゆめがある いつかかしゅになりたいの」で終わります。最後は逆になるのです。
はっとして、そのページから逆に読んでゆくと、どんどん気持ちが盛り上がってきます。ラストページが折り返し地点になって、もう一度逆側に読めるようになっていて、最初のページに戻るときには読む前とは気持ちがぜんぜん違ってくるのです。
まさにマジック。
生きていると思いもよらないことの連続で、どんなに頑張っても思い通りにならないことのほうが多いけれど、それでも「こうしたい」「やってみたい」「挑戦してみたい」と言う気持ちが人生を支えてくれます。
そう、いつかは夢いっぱいに前進してゆくことができる。今はそんな気持ちに到底なれなくても。
文章は単純でひらがなとカタカナで書かれているので小さなお子さまでも読めるのですが、これは小さな子どものためというより、大人のための絵本です。
疲れたとき、しんどいとき、カバンにそっとこの絵本を忍ばせて連れてゆくのはいかがでしょう。ひとりカフェタイムにゆっくりページをめくっていると、だんだん心がほどけてほっこりしてきます。
いつも頑張る友人へのプレゼントに、自分の和みタイムのおともに。
「かみはこんなにくちゃくちゃだけど」はあなたの気持ちにそっと寄り添ってくれる絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
おすすめです。
ネガティブな要素は、ポジティブにうまくくるまれて心にポジティブをしみこませるためのスパイスとして書かれています。
HSPの方のほうがより多くのメッセージを受け取れるでしょう。
大人のための、元気の出る絵本です。
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