【パディントンのラストダンス】クマと暮らす、ゆかいな日常。思わず笑顔になる名作児童文学【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

2024年3月27日

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パディントンのラストダンス マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  田中琢治 松岡 享子 /訳  福音館

今回のパディントンは、縫い物、乗馬、ボクシングと、たくさんの「はじめて」に大挑戦。できることがたくさん増えて、いちだんと「すごいクマ」に。さてさて……

この本のイメージ クマと暮らす☆☆☆☆☆ 短編集☆☆☆☆☆ クリスマスのストーリーあり☆☆☆☆☆

パディントンのラストダンス マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  田中琢治 松岡 享子 /訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。

<田中琢治>
1962年、大阪に生まれた。京都大学農芸化学科卒。農学博士。民間企業の研究者、京都大学助手を経て、カナダに移住。オンタリオ州のゲルフ大学で研究に従事したのち、カナダの大平原の小さな街、サスカトゥーンに移り、現在サスカチュワン大学で助教授として教育、研究に携わる。ペプチドに関連する酵素の研究が専門

<松岡 享子>
松岡 享子(まつおか きょうこ、1935年3月12日~2022年1月25日)、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。

 くまのパディントンシリーズの9巻目。原題はPaddington Takes the Air. 原書初版は1970年。日本語版初版は2008年です。Takes the Airは、調べると「外気を吸いに散歩に行く」だそうなんですが、ほかにも「出鼻をくじく」とか「逃げ去る」みたいな意味もあるそうです。

 パディントンのタイトルは、凝った言い回しが多いので、難しいですね。

 今回は、

 ・パディントン、歯医者にかかる
 ・パディントンの「縫いもの上手」
 ・クマ、ウマと一体になる
 ・パディントン大健闘
 ・疑惑のマネキン事件
 ・料理評論家パディントン
 ・パディントンのラストダンス

 の七本です。

 パディントンのシリーズは、一応、一話完結の短編集で、どの本から読んでも楽しめますが、パディントンの名前の由来や、ブラウン一家と暮らすようになったきっかけなどを知りたい方は、まずは第1巻「くまのパディントン」からお読みください。

 「くまのパディントン」のレビューはこちら

 ブラウンさん一家のもとにペルーからやってきた、クマのパディントン。
 クマなのに二足歩行で服を着ているし、帽子もかぶっています。そして、英語をしゃべる。

 どうしてそうなのかは、まったくわからないんですけども、しゃべるのです。そして、周囲の人々も、クマが人間とまじって生活していることを、珍しくは思うが不思議には思わない。
 別に呪いで人間がクマになっているわけではない、本当に、ただのクマです。

 そんな世界観のファンタジー。

 パディントンのお話は、人間界の常識を知らないパディントンが、ロンドンで見たり聞いたりした新しいことを、見よう見まねで挑戦し、その結果、途中はメチャクャになるのだけど、どういうわけかラストは、奇跡がおきてめでたしめでたしとなる、ドタバタコメディ。

 今回のお話で、わたしが1番好きなのはパディントンがミシンを使えるようになる、「パディントンの『縫いもの上手』」。

 あの、クマの前足でミシンが使えるようになるとは、すばらしい!

 このお話には、「パディントンシリーズ」ではおなじみの悪役、いじわるでケチなお隣さん、「カリーさん」が登場します。
 カリーさんは、いつも不機嫌なうえ、パディントンを利用するけど御礼はしないと言う、どこからどう見てもただのいじわるじじい。でも、この人が出てくる話のほうが、だんぜん盛り上がるのです。

 いいところなんて一つもないように描かれているのに、彼がいないと一味足りなく感じてしまう……そんな不思議な悪役、カリーさん。毎回ひどい扱いをうけるのに、なんとなく腐れ縁が切れないパディントン。(たぶん、知らず知らずのうちにやり返していて、結果的にパディントンが得をすることも多いからかも)

 でも、カリーさんがらみのトラブルって、最後の「大逆転」がドラマチックで、とりわけ面白いのです。今回は、なんとなんとパディントンもカリーさんも得をすると言う、ミラクルな結果となりました。

 ほかにも、今回は乗馬に挑戦してみたり、社交ダンスをおぼえてみたり、新しいことにたくさん挑戦します。

 今回は、去年のクリスマス(「パディントン街へ行く」に収録されている「パディントン給仕人になる」に登場)に出会ったスミス・コームリー夫人が再登場しますので、先に「パディントン街へ行く」をお読みになっていたほうがわかりやすいと思います。

 今は、大変な時代ですが、心が疲れたとき、シンプルにぎゃははと笑わせてくれるのが「パディントン」のシリーズ。
 お子さまの読書としても、そして、大人の和み本としても、おすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ゆかいで、楽しい動物ファンタジーです。どうしてクマが二足歩行で、人間に混じって言葉をしゃべって生きているのか、そういうことを疑問に感じてはいけません。
 そこらへんは、軽々と飛び越えてゆく不条理ファンタジーです。

 映画やアニメーションで見る「やりすぎ感」は、原作を読むと、実は「原作に忠実」だったことがわかります。衝撃の連続の古典名作。

 細かいことをクヨクヨ悩んでいるのがバカらしくなる、楽しいお話です。きっと、あなたの心の回復アイテムになってくれるはず。
 読後は、マーマレードサンドイッチとココアで一休みしましょう。

 

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