【パディントンの大切な家族】クマと暮らすハチャメチャな日常。名作児童文学第10巻。【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

2024年3月28日

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パディントンの大切な家族 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  田中琢治 松岡 享子 /訳  福音館

ブラウンさんの家に居候しているパディントンの日常は、事件の連続です。今回は学校に行ったり、詐欺師にだまされたり、海で大冒険したり……そして、パディントンの大切な家族がはるばるやってきました!

 この本のイメージ クマと暮らす☆☆☆☆☆ 短編集☆☆☆☆☆ おばさんイギリス上陸☆☆☆☆☆

パディントンの大切な家族 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  田中琢治 松岡 享子 /訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。

<田中琢治>
1962年、大阪に生まれた。京都大学農芸化学科卒。農学博士。民間企業の研究者、京都大学助手を経て、カナダに移住。オンタリオ州のゲルフ大学で研究に従事したのち、カナダの大平原の小さな街、サスカトゥーンに移り、現在サスカチュワン大学で助教授として教育、研究に携わる。ペプチドに関連する酵素の研究が専門

<松岡 享子>
松岡 享子(まつおか きょうこ、1935年3月12日~2022年1月25日)、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。

 福音館から出版されている「くまのパディントン」シリーズ、第10巻は「パディントンの大切な家族」。原題はPaddington on Top.イギリスでの初版は1974年。日本の初版は2008年です。
 パディントンのシリーズは、10作めまでは福音館から出版されており、以降はWAVE出版から出版されています。マイケル・ボンドのパディントンシリーズは全部で15作。13作めまでは日本で翻訳されていますので、残りの二作も翻訳されるといいですね。

 お話は、一話完結の短編集が多いので、どの巻から読んでも楽しめるのですが、パディントンがブラウン家に引き取られたいきさつなど、最初の設定を理解して読んだほうがわかりやすいと思います。最初から順番に読みたい方は、まずは第1巻「くまのパディントン」からお読みください。

 「くまのパディントン」のレビューはこちら

 さてさて、今回も楽しい短編集。

 ・パディントン学校へ行く
 ・パディントンと特価掃除機
 ・パディントン、法廷に立つ
 ・誕生日のとっておきのおたのしみ
 ・パディントンのボディービル
 ・パディントン、トライを決める
 ・三十二番地行く人来る人

 の七本です。

 ブラウン家に来てから、常にマイペースでやりたいほうだいだったパディントン。もう、日常生活でたいていのことはやったかと思っていましたが、たしかに、学校には行っていませんでした!

 今回、パディントンは学校に通うことになりますが、上を下への大騒動になります。先生は大弱り、子どもたちは大喜びです。

 パディントンって、何をしてもたいていむちやくちゃにしてしまうんですが、説明書をよく読まないでいきなり手をつけてしまったり、言葉を言葉どおりに受け止めてしまったり、言わんでもいいことを言って相手を怒らせてしまったりと「ああいるいるこう言う子」って気持ちになります。

 「ほんとうのことしか言えない真実の妖精」を思い出します。
 本人はいつだって大真面目なので、一部の人には嫌われてもバードさんのような強い味方もできます。おせじは言えない、忖度はできない、遠まわしの表現はいっさい理解できないパディントンですが、彼を理解してくれる親しい人たちとは強い信頼で結ばれているのです。

 今回は最後のエピソードで、パディントンを育てたあの人が登場。いままで、パディントンの実の家族を知らないで一緒に暮らしていたブラウン一家ですが、パディントンの誠実で思いやりがある一方こうと決めたらてこでも動かない頑固さなど、彼の性格が培われた土台を垣間見ることができます。

 パディントンの引き起こす大騒動は今回もあいかわらずですが、いつもどおり最後は綺麗なハッピーエンド。この気持ち良さがパディントンシリーズの醍醐味。
 途中、どんなにしっちゃかめっちゃかになっても、ラストはびっくりするほどすっきりと、万事収まるところに収まってくれるのです。

 元気がでないとき、落ち込んでしまったとき、自分ってダメだなあと思ってしまったとき、だまされたと思ってパディントンのシリーズを読んでみてください。
 パディントンのやらかしかが毎回、ダイナミックで目が離せません。日常生活だと、もっと小さな失敗でも騒動になるのに、パディントンのやらかすことは一般人の想像をはるかに超えています。しかし、それでもなんとかなるのです。しかも、たいてい、パディントンや周囲の人たちが得をする形で。

 現実にはこんな都合のいい話はないよ、と思われる方もいるとは思います。しかし、たまにはご都合主義もいいじゃないですか。子どもから大人まで、時には肩の力を抜いて、笑う時間も必要です。

 おいしいお茶と、マーマレードサンドイッチを用意して、週末はパディントンで一休みしてみましょう。細かい事は脇に置いてね。身体だけでなく、心だって休息は必要なんです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。楽しくゆかいな児童文学です。パディントンのやらかしと巻き込まれた人々の被害が甚大なのですが、どういうわけか、ハッピーエンドになると言う、パディントンマジックは健在です。

 肩の力を抜いて読める、明るく楽しいコメディなので、くよくよしてしまいがちなときに。
 特に、仕事や学校で失敗してしまって落ち込んでいるときは、ぜひ「パディントン」を読んでみてください。
いい意味で、小さなことで悩んでいる自分がばからしくなってきます。

 読後はココアとマーマレードサンドイッチで一休み。

 

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https://www.youtube.com/watch?v=DQKy-6gOH0A
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Posted by kagurat