【ムジナ探偵局】妖怪がらみの事件はおまかせ。ミステリアスな事件簿第2巻【なぞの挑戦状】【小学校中学年以上】

2024年3月18日

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ムジナ探偵局 なぞの挑戦状 富安陽子/作 おかべりか/画 童心社

へんてこ横丁のつきあたりの古本屋「狢堂」にはもう1枚、奇妙な看板がありました。それは「狢探偵局」。店主は嶋雄太朗。愛称はムジナさん。狢(むじな)とは、人を化かす狸のことです。いったい、この店は何をする店なのでしょう?

この本のイメージ 妖怪☆☆☆☆☆ 幽霊☆☆☆☆☆ 名探偵☆☆☆☆☆

ムジナ探偵局 なぞの挑戦状 富安陽子/作 おかべりか/画 童心社

<富安陽子>
富安 陽子(とみやす ようこ、1959年2月15日~)は、日本の児童文学作家。東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年「クヌギ林のザワザワ荘」で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年「空へつづく神話」でサンケイ児童出版文化賞を受賞。「やまんば山のモッコたち」はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、「盆まねき」で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2021年、「さくらの谷」で第52回講談社絵本賞を受賞。(wikipediaより)

<おかべりか>
1950年埼玉県に生まれる。オリジナル作品に「よい子への道」「よい子への道2」「とちめんぼう劇場」「やきゅうじょうにいこう」(福音館書店)「しずちゃんのおつかい」(ひかりのくに)「おだんごちゃん」(童心社)など。挿絵に「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)「やまんば妖怪学校」シリーズ、「おばけやさん」シリーズ(偕成社)「はっけよい鯉太」(フレーベル館)「空を飛んだポチ」(講談社)「日本のわらい話」(ポプラ社)など多数。

 「ムジナ探偵局」は「天と地の方程式」「シノダ!」など、日本神話や日本の妖怪をテーマに、独特のファンタジーを書き続ける富安陽子先生の人気シリーズ。第2巻「なぞの挑戦状」は2007年出版です。

 富安先生は日本の神話や民話を題材にしたファンタジーが得意なのですね。今回のお話も面白かった!

 「ムジナ探偵局」は、妖怪や幽霊は出てくるけれど、怖すぎず残酷すぎず、ほどよくミステリアスでサスペンスなストーリーです。妖怪がらみの事件をムジナさんがスパッと解決してくれる物語。

 第1巻は、人外の存在と人間の交流を描く、ほのぼのストーリーが多かったのですが、今回は、人間を困らせる人外の存在の巻き起こす事件です。

 どの巻からも楽しめる短編集ですが、最初からお読みになったほうが設定などわかりやすいので、ぜひ第1巻から。第1巻のレビューはこちら

 おはなしは……

 へんてこ横丁のつきあたり、「古書商 狢堂」(こしょあきない むじなどう)の看板のわきに「狢探偵局」と言う不思議な看板がかかっています。

 店主は「ムジナさん」こと嶋雄太朗。店には時々、不可思議な事件を携えて奇妙な依頼人が訪れます。
さて、ムジナさんは、これらの事件をどう解決するのでしょう?

 ……と、いうのがだいたいのあらすじ。

 収録されているお話は、「見知らぬ幽霊」と「なぞの挑戦状」の二本。

 今回は、高価な宝石のついた指輪の盗難事件の犯人探しなど、探偵局らしい事件が起こります。おお、今後はこう言う形ですすむのでしょうか。何の予備知識もなく読んでいるので、どきどきです。

 第2巻を読んで、ムジナさんの秘密も語られ、印象が少し変わりました。

 第1巻は、ほのぼの+探偵+オカルトと言う感じの、ちょっとコメディタッチのあたたかいストーリーだったのですが、2巻は悪者も登場し、探偵ものらしく、宝石盗難事件も起こります。

 これからは、ムジナさんが妖怪がらみの事件を名探偵として解決してゆくストーリーになるのでしょうか。第1巻の少しコメディ調のムジナさんとはちがい、第2巻のムジナさんはミステリアスな感じ。ああ、こういう人だったのですね。理解しました。

 夢水清志郎シリーズの夢水教授も最初つかみどころが無い人で、昼行灯をよそおっているシリアス探偵なのか、欠落した天才なのか、最初はわからずにいたのですが、4巻まで読んで「欠落した天才タイプ」だと最近ようやく理解しました。(遅い)

 ムジナさんと夢水探偵、似てるかもなんて思ったことがありましたけど、似てませんでした。夢水さんはマッドサイエンティストタイプです。ごめんなさい、似てるかもなんて言っちゃって。

 ムジナさんも、表向きのんびりしている人を装ったクレバータイプなのか、もともとのんきてでとぼけてる人なのかがちょっとわかりにくかったのですが、重い過去があるミステリアスタイプと判明。ああ、わかりました、どっちかと言うと、新宿のせんべい屋タイプですね!イメージとしては「僕」のほう。 (←いや、また早とちりして失敗するかもよ。この先をよく読んで判断しよう) たしかにこれは、かっこいい。(ファンの方……ほんとうに申し訳ありませんでした)

 おそらく、これからは、こういう妖怪たちの引き起こす事件をムジナ探偵が解決してゆくお話になるのだと予想。
 サスペンス要素も加わわり、面白さが加速してまいりました。

 わたしはオカルトファンタジーってわりと好きなのですが、残酷すぎたり悪意が強すぎたりすると苦手なので、「ムジナ探偵局」はかなり絶妙なさじ加減だと思います。

 ムジナさんの出生の秘密や、それにまつわる事件などもありそうで、短編の連続でありながら、大きな物語の流れもあり、今後の展開が楽しみ。

 対象年齢はだいたい小学校中学年くらいですが、字は程よく大きく、すべての漢字に振り仮名がふってある総ルビなので、ひらがなさえ読めれば、低学年からでもコツコツ読むことが出来ます。

 また、大人が読んでも楽しめる、読みごたえのある小説です。どのお話も、登場人物が救われるハッピーエンドになっており、読後感もさわやか。字が大きいので、目に負担がなく、リラックスタイムの読書にぴったりです。

 オカルト+ほのぼの+サスペンス+ミステリー と言う、豪華幕の内弁当のようなこのシリーズ、「怖くないオカルト」愛好家は、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 オカルトや妖怪ものは好きだけど、残酷すぎたり悪意が強すぎたりするのが苦手な方にはおすすめです。強すぎるネガティブのない、ほどよいオカルトファンタジーです。今回からは謎解き要素も強め。巻末には暗号解読コーナーもあります。

 読後は番茶と羊羹でひとやすみ。

 

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