【ア・テイル・オブ・マジック】魔法を憎む「正義同盟」登場。妖精たちの運命は……?【魔女ものがたり】【正義同盟と魔女の学校】【小学校中学年以上】

2024年4月14日

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魔女ものがたり 上  正義同盟と魔女の学校 ア・テイル・オブ・マジック3   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

世界に「魔法」を認めさせたブリスタルたち「妖精院」。世界は平和になったかと思われたが、魔法の存在を許さない「正義同盟」が陰で暗躍を始めていた。そして、正体不明の魔女たちがウェザーベリー魔法学校にやってくる……(魔女ものがたり 上  正義同盟と魔女の学校 ア・テイル・オブ・マジック3   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社)

この本のイメージ 魔法☆☆☆☆☆ 魔女☆☆☆☆☆ 正義とは☆☆☆☆

魔女ものがたり 上  正義同盟と魔女の学校 ア・テイル・オブ・マジック3   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

<クリス・コルファー>
1990年生まれ。アメリカ合衆国出身。俳優、歌手、脚本家、作家。第68回ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞を受賞。

<田内志文>
田内 志文(たうち しもん、1974年4月15日 ~)は、翻訳家、文筆家、スヌーカープレイヤー。埼玉県出身。ベストセラー「Good Luck」、「新訳 フランケンシュタイン」「新訳 ジキルとハイド」「失われたものたちの本」などの翻訳で知られる。

 原題はA TAIL OF WITCHCRAFT.アメリカでの初版は2020年。日本での初版は2022年です。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」の前日譚となっており、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」で魔法が禁止されていた頃の過酷な時代の物語です。

 この本から読んでも充分面白いのですが、登場人物のその後を想像したり、世界観を理解したい場合は「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」第1巻「願いをかなえる呪文」からお読みになったほうがいいでしょう。
 「願いをかなえる呪文」のレビューはこちら

 また、このお話は「ア・テイル・オブ・マジック」シリーズとしてお話が続いていますので、このレビューでご興味を持たれた方で「ア・テイル・オブ・マジック」から読みたいとお考えの場合は「魔法ものがたり上」からお読みください。
 「魔法ものがたり上」のレビューはこちら

 今回のストーリーは……

 雪の女王を倒し、人間界に魔法を認めさせたブリスタルたち。
 けれど、そのとき、「正義同盟」と言う、反魔法組織が暗躍を始めていたのでした。

 リーダーとしての重圧に苦しんでいたブリスタルは、異変に気づくのに遅れてしまいます。
 彼女は兄の結婚式で襲撃されたことをきっかけに、魔法を憎む組織の存在を知り、真実を調べようとある場所へとひとり向かうのでした……

 ……と、言うのがあらすじ。

 平和になったかに見えた世界でしたが、実は大いなる陰謀が進行していたようです。
 そんなことは知らず、魔法が受け入れられたことに喜ぶ妖精たち。
 災いを予感しつつ、トラブルしか引き起こすことができないルーシー。
 そして、「妖精院」のリーダーとしての重圧で苦しむブリスタル。

 この「重圧で苦しむリーダー像」は、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」でもアレックスの悩みとして描かれていました。
 みんなが頼りにする人というのは、判断しなければならないこと、予測しなければならないことが膨大で、真面目な人ほど苦しんでしまうものです。

 では、何も悩まない、何も考えない人がいいかというと、そんな考え無しの人に組織の舵取りをまかせると大変なことになってしまいます。本人は楽ですけども。

 なので、全体のためにがんばる人であればあるほど、負担が大きくなってしまうのは世の常。
 よくあるアドバイスは「一人で抱え込まないで」なのですが、そこで「何を誰に割り振ってどう頼れば良いのか」を考えることさえ大きな悩みや負担になりえます。
 言うほど簡単ではないことを、子どもにもわかるようにエンタメ要素も交えながら描ききっているのがすばらしい。若い女の子がこうしたことに悩む姿は斬新でもあり、このシリーズの大きな魅力になっています。

 限界に達したブリスタルはとある決意をして一人旅立つのですが……

 どうなるかは読んでみてのお楽しみ。
 お話は「魔女ものがたり 下」へと続きます。
 そうそう、今回ようやくイケメンが登場します。いい人だといいんですが……

 文章は読みやすく、総ルビではありませんが難しい漢字には振り仮名が振ってあります。小説を読みなれているお子さまなら小学校中学年から。高学年なら問題なく読めますが、細かい章に分かれていて読みやすいので、中学年から挑戦していただきたいところ。「岩波文庫」での「小学校中級向け」が読めれば大丈夫です。大人が読んでも楽しいファンタジーです。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」ファンの方、またはまだ「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」をお読みでないけれど魔法やファンタジーがお好きな方、本が大好きな女の子におすすめです。

 ハロウィンシーズンにぴったりのファンタジーです。お気に入りの飲み物を用意して、この秋の読書にぜひどうぞ!

 ※この本は電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな描写はありません。むしろ、アメリカのアニメーションのようなユーモラスなシーンもあります。
 ただし、描かれているテーマは深く、HSCのお子さまのほうが様々なメッセージを受け止められるかもしれません。

 お気に入りの温かい飲みものをお供に読書を楽しんでくださいね。

 

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