【ラビントットと空の魚】空に魚が泳ぐ!摩訶不思議な世界の漁師の少年の物語第2巻。【そなえあればうれしいな】【小学校中学年以上】
ラビントットは「長耳」の男の子。鰹を釣ってすこしだけ成長したラビントットは、不思議な生き物ラッロコッコさんと生意気ぼうずのオタコと出会います……
この本のイメージ 異世界ファンタジー☆☆☆☆☆ 不思議な世界観☆☆☆☆☆ 少年の成長☆☆☆☆☆
そなえあればうれしいな ラビントットと空の魚 第二話 越智典子/作 にしざかひろみ/画 福音館創作童話シリーズ
<越智典子>
1959年、東京生まれ。東京大学理学部生物学科卒。在学中に英国エジンバラ大学動物学科留学。著書に「ここにも、こけが…」「ピリカ、おかあさんへの旅」(いずれも小社刊)、「パンになる夢」(パロル舎)、「てりふり山の染めものや」(偕成社)など。絵本に「おえどのおなら」(教育画劇)「ウポポ ウポポポ ポタージュスープ」(鈴木出版)など。
<にしざかひろみ>
1979年、神奈川県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012入選ほか、ポスター・装画のコンペティションで入賞・入選多数。
越智典子先生の不思議異世界ファンタジー「ラビントットと空の魚」シリーズ第二話です。初版は2013年です。
お話は一話完結ではありますが、詳しい世界設定などは一話で語られているので、第一話「鰹のたんぽぽ釣り」から順番にお読みになったほうがわかりやすいでしょう。
「鰹のたんぽぽ釣り」のレビューはこちら↓
魚が空を飛び、鳥が地中を泳ぐ不思議な世界トンカーナ。
カリンポリンの丘で暮らす「長耳」の男の子ラビントットは、空の魚を釣る漁師です。
漁師のお父さんにあこがれて、漁師になったはずなのに、高いところが苦手なラビントットは、主に低いところを泳ぐ鰯漁をしていました。
第一話「鰹のたんぽぽ釣り」で高所恐怖症をすこしだけ克服し、ちょっぴり成長したラビントット。
鰯漁用の魚かごを森に置き忘れたのをきっかけに、ラッコロッコさんという生き物と出会います。
誤解が誤解を呼んだ末、ラッコロッコはラビントットと同居することに。ところが、それだけではなく、鰯をつまみ食いしようとして魚かごから足が抜けなくなったタコの男の子オタコまでもが住み着いてしまいました。
さてさて、ラビントット、ラッコロッコ、オタコの奇妙な共同生活が始まります……
……と、言うのが今回のあらすじ。
「ラビンットと空の魚」は不思議な生態系の異世界トンカーナで立派な漁師になりたい高所恐怖症の少年ラビントットが、日常の小さな冒険をする物語です。
世界設定があまりにも荒唐無稽なので、最初はちょっとびっくりするかもしれません。
でも、奇想天外な世界設定なのにとてもほのぼのとしていて、やさしい風が吹いている物語です。
カリンポリンの丘で一人ぼっちで暮らしていたラビントットは、それはそれで幸せだったのですが、今回、おかしな居候が二人、押しかけてきたせいで、はからずもにぎやかな暮らしをすることになりました。
高いところは苦手だけれど、少しずつ苦手を克服しながら、できることを増やし、自分で自分の面倒をみてきたラビントット。
ちょっぴり内気で頼りないところはあるけれど、頑張り屋さんです。そんな彼のもとに押しかけてきた居候は、超マイペースのラッコロッコと生意気盛りのオタコ。
ふたりは、ラビントットを振り回しまくります。
でも、真面目で内向的なラビントットは、いままではいつも自分がきちんと計画したことを、計画通りにコツコツ続けてきたのです。それは彼のいいところでしたが、逆を言えば、計画や習慣からはずれたことはやらないということ。
ところが、ラッコロッコやオタコは、その場の勢いで、わけのわからないことをしようとします。それによって、ラビントットも、知らず知らずのうちに自分の器が大きく広がっていたのでした。
ものには色んな見かたや考え方がある、世界にはいろんな人がいる、ちょっぴり広がったラビントットの世界……
文章は優しく温かみがあり、読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってあります。だいたい、小学校中学年から。摩訶不思議な世界観は慣れるまでは少しもたつきますが、慣れてくるとどんどん惹きこまれます。
さあ、ラビントットにはこれからどんな冒険が待っているのでしょう。
続きが楽しみです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。不思議な世界で不思議な動物たちが生活するファンタジーです。少し哲学的な要素があり、独特のゆる~い雰囲気とあいまって、「ムーミン」の世界を彷彿とさせます。
「ムーミン」や「こそあどの森」がお好きな方にはおすすめです。
読後は、にんじんパンでティータイムを。
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