【メアリー・ポピンズ】あのスーパーナニーが帰ってきた!凧に乗って帰ってきた彼女と子供たちの物語。第二弾。【小学校中学年以上】
西風に乗ってメアリー・ポピンズが帰ってしまってから、バンクス家はめちゃくちゃ。みんなは、メアリーが戻ってくるのを心待ちにしています。そして、ある日…
この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆ わくわく☆☆☆
帰ってきたメアリー・ポピンズ P.L.トラヴァース/作 林容吉/訳 岩波少年文庫
メアリー・ポピンズシリーズ第二弾です。メアリー・ポピンズは、最近、映画「メリー・ポピンズリターンズ」になりましたが、児童文学の古典として有名です。
フィギュアスケートファンには、浅田真央ちゃんがエキシビションで可憐に滑ったのが記憶に深く、また映画化のさいにはメアリーの衣装で真央ちゃんが演技した動画が人気を博しました。(記事の最後に貼っておきますね)
前作「風にのってきたメアリー・ポピンズ」で、東風に乗ってバンクス家にやってきたメアリー・ポピンズは、やってきたときと同じように、突然去っていってしまいます。
彼女がいなくなったあとのバンクス家は、何もかもうまくいかず、崩壊寸前。「こんなとき、メアリー・ポピンズがいたら……」と誰もが思います。
そんなとき、メアリーが突然戻ってきます。驚くような方法で。
いつも高いところから下りてくるメアリーって何者なんでしょうか。人間ではないような雰囲気がいつも漂いますが、はっきりとした種明かしはありません。戻ってきたメアリーは、すぐさまてきぱきと家事をはじめ、家はすっかり元通りの、こぎれいな家になりました。
お話は、10章に分かれており、それぞれが完結した短編なので読み聞かせにもいいと思います。子供も大人も楽しめるファンタジーです。
「ミス・アンドリューのヒバリ」は、パワハラ風味のバンクス氏の元家庭教師が、メアリーにガツンとされる話で、スカッとします。
「わるい水曜日」は少しホラー風味の怖い話なのですが、ラストのメアリー・ポピンズが大変かっこいいので、わたしは大好きです。
「新入り」は、ムクドリと赤ちゃんの話です。一巻でもあった双子とムクドリの話と対になっていて、ムクドリは毎回こんな別れを体験してるのかと思うと、また別の感情が浮かんできます。
「ロバートソン・アイの話」は示唆に富む話です。勉強とか教育とか、学校とか、いろんなことを考えます。この王様は頭が悪かったんじゃなくて、学ぶことの楽しさがわからなかっただけなんじゃないでしょうか。国中の人間が自分を馬鹿だと思っていたら、プレッシャーしかなくて楽しく学ぶ気にもなれず、辛かったのかもしれません。
失敗ばかり、居眠りばかりしているロバートソン・アイを、バンクス家が(多少の不満はもらしながらも)ずっと雇っている心の余裕みたいなのが大切なんだなと思える話でした。
他にも星空に上っていって星座のサーカスを見る「夜の外出日」は、映像が目に浮かぶような情景的なお話です。
最後はまた不思議な方法で、どこかへ帰っていくメアリー。ほんの少しだけ、またやって来てくれるかも、という可能性を残しておいてくれます。
いつもツンツンしてて、辛口のメアリー・ポピンズですが、不思議な魅力があり、なんともキュートです。そして、困ったときは絶対助けてくれる、頼もしいスーパーナニーなのです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。安心してお読みいただけます。仕事でうまくいかないときなど、がんばる女性に元気をくれる童話です。メアリーがとにかくかっこいいです。
あたたかいミルクティーとジンジャークッキーと一緒にどうぞ。
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