【ひげのサムエルのおはなし】猫がねずみに襲われる? とぼけた子猫とねずみの絵本です。読み聞かせにも!【ピーターラビットの絵本】【4歳 5歳 6歳】

2021年9月11日

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ひげのサムエルのおはなし ピーターラビットの絵本 ビアトリクス・ポター/さく・え いしいももこ/やく 福音館書店

猫のタビタさんは、3匹の子猫たちを、いたずらしないよう押入れにいれますが、トムは抜け出して煙突の中にもぐりこみます。天井裏で迷ったトムはとんでもないところに出てしまいます……

この本のイメージ 猫☆☆☆☆☆ ねずみ☆☆☆☆ 不思議な食べ物☆☆☆☆

ひげのサムエルのおはなし ピーターラビットの絵本 ビアトリクス・ポター/さく・え いしいももこ/やく 福音館書店

<ビアトリクス・ポター> イギリスの絵本作家。ヴィクトリア時代の上位中産階級に生まれ、遊び相手も少ない孤独な環境で育ち、学校に通うことは無かった。幼いころから絵を描くことを好み、多くのスケッチを残している。代表作は「ピーターラビット」シリーズ。

ひげのサムエルのおはなし ピーターラビットの絵本 ビアトリクス・ポター/さく・え いしいももこ/やく 福音館書店

 ピーターラビットの絵本シリーズは、ピーターの話だけでなく、様々な動物が登場します。
 猫のタビタ・トゥイチットさん一家は、「こねこのトムのおはなし」や「モペットちゃんのおはなし」「パイがふたつあったおはなし」など、頻繁に登場する常連です。

 今回ご紹介する「ひげのサムエルのおはなし」も、トゥイチットさん一家の物語です。
原題はThe Tale of Samuel Whiskers or, The Roly-Poly Pudding.初版は1908です。日本での初版は1974年。

 お話は……

 タビタさんは、パンを焼くあいだ、子どもたちがいたずらしないよう、モペットとミトンを押入れにとじこめました。しかし、トムは見つかりません。

 トムは煙突から屋根裏にもぐりこみ、屋根裏の探検をしていました。

 押入れを脱出したモペットとミトンは、台所に隠れます。
 そして、大きなねずみが二匹やってきて、ねり粉とバター、めん棒を持ち去るのを見たのでした。

 いっぽう、トムは、煙突を探検しているうちにとんでもないところに落っこちてしまいます。それは、大きな大きなじいさんねずみ、ひげのサムエルの巣でした。

 サムエルはトムを捕まえて縛り上げ、ばあさんねずみのアナ・マライアに「ねこまきだんご」を作ってくれと指図して、ねり粉とバターでぐるぐるまきにします。

 あわやというところで、犬の大工のジョンがトムを見つけ出し、サムエルとアナ・マライアはトムを捨ててあわてて逃げ出します。

 ねずみたちは、おひゃくしょうのバレイショさんの家をねぐらにし、タビタさんの家からはいなくなりました。
 モペットとミトンは成長して、ねずみをとるのが得意な猫になりましたが、トムはずっとねずみをこわがりました。

 ……と、いうのがあらすじ。

 「ねこまきだんご」!
 この、ねり粉でぐるぐるまきにされたトムが、なんともかわいらしいのです。

 これは、イギリスでは「ローリー・ポーリー・プディング」と言うものだそう。
 牛脂が入った、スコーン生地のようなものにジャムをはさんでロールして、蒸したもののようです。
 食べるときにはカスタードソースをかけるんですって。おお、おいしそう。

 でもこれ、つまりは、トムをねり粉で巻いたら、焼こうと思ってたってことですよね。
 これは、トムにとっては恐怖体験です。
 あわやというところで、助かってめでたしめでたし。

 トムにとっては散々な事件でしたが、ねり粉でぐるぐるにされたトムがなんともかわいいので、トムには悪いけれど、思わずクスっと笑ってしまいます。

 猫がねずみに襲われるなんて!
 と、あべこべ事件にも笑ってしまうのですが、じっさい、大きなねずみって、子猫より大きいのもいます。子猫のときにそんなに襲われたら、そりゃあ、トラウマになりますよね。

 「あひるのジマイマのおはなし」のときと同様、今回も犬が助けてくれます。
 「ピーターラビットの絵本」の世界では、犬は、用心棒的なキャラクターなのかもしれません。

 字はほどよい大きさで、ほとんどがひらがな、そして簡単な漢字にもすべてふりがながふってあるので、ひらがなが読めれば読めます。挿絵は、白黒とカラー、ふんだんに入っており、どの動物たちも特徴をとらえていて、表情豊かです。

 ひげのサムエル夫妻なんて、ほとんどディフォルメされていないねずみの姿なのに、角度や表情でしっかり「悪そう」な顔をしているんです。これがすばらしい。

 マフィアみたいなねずみたちに捕まって、危機一髪だったトムですが、トムのあどけない表情も子どもらしく、子どもと子猫の特徴が両方現されていて、かわいいのです。

 かわいくて、ユーモアあふれる絵本です。小さくて持ち運びもしやすいので、絵本を読みはじめのお子さまに。とくに、猫好きさんにおすすめです。もちろん、大人のなごみ絵本にも。

 タビタさん一家が登場するお話はまだあります。お楽しみに。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素は、ほとんどありません。トムが危ない目に遭いますが、ユーモラスに描かれており、ゆかいです。
 猫好きのお子さまへの読み聞かせに。お風呂上りのリラックスタイムにもおすすめです。
もちろん、プレゼントにも。

 読後は、もちろん、ローリーポーリーでティータイムを。

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