【ポリアンナの青春】あの、ポジティブシンキング少女の物語続編。さわやか青春ストーリーです。【小学校中学年以上】
あのポリアンナが成長して帰ってきた……!ひょんなことでボストンのカルーさんの家に滞在することになったポリアンナ。でも、カルーさんはなかなかの難敵で……
この本のイメージ さわやか☆☆☆☆☆ 青春☆☆☆☆ ポジティブ☆☆☆☆
ポリアンナの青春 エリナー ポーター /著
「少女ポリアンナ」の続編です。
スーパーポジティブ少女、ポリアンナの青春物語です。
「少女ポリアンナ」のラストで入院していたポリアンナは、すっかり良くなってポリーさんのもとへ帰ります。
すると、病院で知り合った看護婦のデラ・ウェザビーさんから、姉のところにしばらく滞在してくれないかと手紙が来るのです。デラさんは、とある不幸な事件があってからふさぎこんでいる姉を元気付けるには、ポリアンナがいちばんいいと思ったわけです。
そんなわけで、(本人は事情を知らないまま)ポリアンナはカルー夫人の屋敷に三ヶ月ほど滞在することになりました。
物語の構成は、「少女ポリアンナ」のほうが完成されています。そういう意味では少し物足りないところもある話ですが、今回は新しい土地ボストンで、カルー夫人の心を開いたりセイディーやジェイミーと言った新しい友達ができたりと、ポリアンナの世界は広がっていきます。
今回の話では、おそらく当時「少女ポリアンナ」で潜在していた問題点について、キャラクターどうしが話し合うシーンがあります。
つまり、ポリアンナの「喜びのゲーム(良かった探し)」は、小さい子供だから許される行為で、大人になってしまうと説教臭くて、相手を傷つけてしまうかもしれないと。 (おそらく、読者からそんなご指摘があったんでしょうね)
ポリー叔母さんはポリアンナを大切に思っているので、いろんな人がポリアンナのポジティブパワーを欲して、困っている人のもとへ差し向けようとしたり、困っている人がポリアンナのもとへ押し寄せたりして、ポリアンナがごくふつうの少女として生きていけなくなるのを危惧し、いったん海外へと住居を移します。
「少女ポリアンナ」同様、「ポリアンナの青春」も、後半は怒涛の展開で、様々な苦難が押し寄せてきます。
心のすれ違いや、ぶつかり合いもあり、一筋縄ではいかない状況に陥ってしまいます。そして、またしても、ポリアンナ自身も、そう簡単に「喜びのゲーム」ができなくなり、深く悩むことになります。
わたしは、この物語のこういうところがとても好きです。どんなことがあってもポジティブに解釈して乗り越えていく主人公、ではないところが。それでもちゃんと解決するんです。
それぞれの登場人物がどのような悩み、どのように解決していくのかは読んでみてのお楽しみですが、作者が「少女ポリアンナ」を執筆してから、どんな感想や意見、批評があったのか、少しだけ感じとれた気がしました。
「ポリアンナの青春」では、ポリアンナは大好きな村ベルディングスビルを離れて、都会のボストンや、海を渡ったドイツなど、広い世界を知ることになります。
そして、大富豪のカルー夫人や、貧しい暮らしのジェイミーなど、様々な状況の人々にも出会います。
それでも、どんな状況の人にも「喜びのゲーム」は有効なのです。最終的には、生まれ育った環境も身分も年齢もばらばらな彼らが、ポリアンナの「喜びのゲーム」の力でつながっていきます。
多少、未回収の伏線があったり、最後は少し駆け足だったりして、もしかしたらさらにもう一冊続編を書くつもりだったのじゃないかと感じられる部分もありますが、この本だけでもかなりボリュームがあり、読み応えがあるので、まずは「少女ポリアンナ」を読んでから、ぜひこの本を読んでみてください。
ポリアンナがぶつかって悩んでいる問題は、現代にも通じるものがあり、悩める現代人にもしかしたら答をくれるかもしれません。
いつも思うのですが、下手な自己啓発本より、児童文学や少年・少女小説のほうが、絶対役立つと思います。
週末の午後、リラックスした気持ちで、読んでみてくださいね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はほぼ無いと思います。励まされる本です。まずは「少女ポリアンナ」から読んでみてください。
読書のお供は、草原や森の香りがするハーブティーなどがおすすめです。
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「少女ポリアンナ」
エリナー・ポーターの名作「ぼく、デイヴィット」
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