【数字はわたしのことば】200年前の偉大な女性数学者、ソフィー・ジェルマンの伝記絵本。読み聞かせに。【ぜったいにあきらめなかった数学者ソフィー・ジェルマン】【5歳 6歳 7歳 8歳】

2024年3月30日

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数字はわたしのことば  ぜったいにあきらめなかった数学者ソフィー・ジェルマン  シェリル・バードー/文 バーバラ・マクリントック/絵 福本友美子/訳  ほるぷ出版

フランス革命の時代、パリにソフィーという数学が大好きな女の子がいました。女の子が教育を受けられない時代、ソフィーは1人で、家のなかで独学で数学を勉強し続けました。やがて……

この本のイメージ 女の子の自己実現☆☆☆☆☆ 不可能への挑戦☆☆☆☆☆ 数学の魅力☆☆☆☆☆

数字はわたしのことば  ぜったいにあきらめなかった数学者ソフィー・ジェルマン  シェリル・バードー/文 バーバラ・マクリントック/絵 福本友美子/訳  ほるぷ出版

<シェリル・バードー>
米国の作家。シカゴのフィールド自然史博物館の元シニア・プロジェクト・マネージャー。現在は、夫は数学教師、2人の子ども、ネコとともにコネチカット州に住む。日本で刊行されている本に、「グレゴール・メンデル―エンドウを育てた修道士」(BL出版)がある。

<バーバラ・マクリントック>
米国ニュージャージー州生まれ。19歳で絵本作家を志し、ニューヨークに移る。現在は、家族と3びきのネコとともにコネチカット州に住む。日本で刊行されている本に、「ないしょのおともだち」「おじいちゃんのコート」(以上、ほるぷ出版)、「シモンのおとしもの」(あすなろ書房)、「シンデレラ」(岩波書店)など。

<福本友美子>
公共図書館勤務を経て、現在は児童書の研究、翻訳をしている。訳書に、「としょかんライオン」(岩崎書店)、「おやすみ、はたらくくるまたち」(ひさかたチャイルド)、「ホイホイとフムフム たいへんなさんぽ」「ふたりはバレリーナ』(以上、ほるぷ出版)など多数。著書に「図書館のトリセツ」(共著、講談社)などがある。

 原題は、NOTHING STOPPED SOPHIE. アメリカでの初版は2018年。日本での初版は2019年。
 実在した女性数学者、ソフィー・ジェルマン(Marie-Sophie Germain、1776年4月1日 ~1831年6月27日)の生涯を描いた絵本です。

 幼少期にフランス革命を体験したと言うんですから、かれこれ200年以上前の女性です。100年前の段階で、女性が論文を書いても学会に入れてもらえなかったのですから、彼女の苦難の道というのはそれ以上です。学会どころか、教育の場もありませんでした。

 しかし、裕福な絹商人の娘だったソフィーは自宅で、父親の数学の本を読みながら独学で数学を勉強しました。数学が楽しくて楽しくて、しかたがなかったのです。

 両親は、ソフィーが賢くなりすぎることを「女性としてよくないこと」と思い、最初は夜、ソフィーが勉強ができないように暖かい服を取り上げ、暖炉の火を消してしまいました。しかし、翌日、毛布にくるまったまま机に突っ伏して眠っている娘の姿を見て、彼女を応援することにしたと言います。

 女性なので大学に行けなかったソフィーは、大学の数学の課題を手に入れ、レポートを書いて、数学者たちに送ることにしました。ムッシュー・ルブランと言う男名前の偽名で。

 ラグランジュやガウスなど、当時の高名な数学者たちが、この顔も知らぬ男性数学者の能力を見抜き、高く評価しました。やがて、ラグランジュは「ムッシュー・ルブラン」の家を訪ね、「彼」が若い女性だったと知ります。

 やがて、ソフィーは「数学ができる女性」として、社交界にすがたをあらわすのですが……

 ……と、いうのがあらすじ。

 1940~50年代、アメリカには「コンピューター」と言う職業がありました。今はコンピューターと言うと機械のことですが、当時のコンピューターとは「計算手」と言う「数学の計算をする人」と言う意味でした。

 「ドリーム」(原題は『Hidden Figures』)という映画でも描かれましたが、電子計算機黎明期、アポロ計画などの裏で活躍したのが、この「コンピューター」と呼ばれる女性たちでした。

 女性は忍耐強く、集中力に優れ、一度椅子に座って机に向かうと何時間でも作業を続けられる持久力があるため、「コンピューター」に適性がある、と気づいた人がいたのです。

 彼女たちの活躍は、長い間、伏せられてきました。もしかしたら「知的作業に適性がある女性がいる」と公にしたくない人たちがいたのかもしれません。

 ソフィー・ジェルマンはさらにその時代よりも100年も昔の人です。
 彼女が出会った困難は、現代のわたしたちには計り知れません。しかし、彼女の数学への熱意は、様々な障害を突破しました。

 しかも、当時の常識で凝り固まった学校教育を受けず独学で数学を勉強したことで、彼女は固定観念を破り、多くの数学的な発見ができたようです。

 「ピーター・ラビットの絵本」を書き上げたビアトリクス・ポターも、「イギリスのアンデルセン」と呼ばれたエリナー・ファージョンも学校教育を受けていません。
 当時の女性は学校に行かず、家で行儀作法などを習うことが一般的だったのです。

 しかし、そんななかでも彼女たちは、偉大な足跡を残しています。

 どんな困難も努力すれば乗り越えられる……わけではないし、障害に押し潰されそうになっている人がみな、努力が足りない……わけではありません人生は、そんなに単純なものではない。

 けれど、学校に行けなくても、独学で勉強するしかなくても、どこかに可能性の扉はあって、ノックし続ける事はできる。ソフィーのあきらめない姿からは、励ましをもらえます。

 今、なんらかの事情で学校に行けなくなってしまい、それによって人生の扉がすべて閉じてしまったような気持ちになってしまった子もいるかもしれません。

 でも、自分のための「可能性の扉」がどこかにあるかもしれない。見つけるまでに時間がかかるかもしれなくても。

 読書は、行き止まりに見える人生に、多くの可能性を示してくれます。
 経済的に苦しいときは図書館が強い味方になってくれます。インターネットには、学びたいことを教えてくれる教材がたくさんある。

 小学校時代は、大量に読書をすればかなり遅れを巻き返すことができます。いっぱい本を読んで、九九を暗記すればなんとかなることが多いもの。そして、数字や算数が好きならば、プログラミングなど、今が旬の学問に進める可能性があります。

 読書やお絵描き、数学の計算やプログラミングは、1人遊びとしてやるにはほとんどお金がかかりません。読書は図書館に行けばいいし、お絵かきや計算は紙と少々の画材やペンがあれば大丈夫。今は中古のコンピューターは安いので、子どもがプログラミングで遊ぶくらいのものなら、そんなに高くはありません。

 そして、これらのことは、従来型の「学校の勉強」に適応できない子のほうが適性がありそうなことばかりなのです。

 何か好きなものはありませんか。それがもし、すごく「変わってる」と言われるようなものでも。

 ソフィーは、女性だとばれたあと、話題の人となってさまざまな夕食会に招待されますが、そこで出会う紳士にもレディーにも、心を許せる友だちを作ることができませんでした。

 パーティーでかわされる噂話やたわいもない会話がとてもつらかったのです。彼女がほんとうにしたい「数学の話」をしてくれる人はそこでは見つかりませんでした。

 自分が好きなこと、夢中になっていること、叶えたい夢やのめりこんでいることが「一般的ではない」と、どうしてもそのようなことが起こります。それによって、夢を諦めてしまう人もいます。
 けれど、大好きなことや成し遂げたいことがあるならば、一時的に孤独になったとしても、その道を進むほうがいいと、わたしは思います。

 このブログでは、そんな「あきらめない人」を応援しています。可能性の扉がどこにあるかは人それぞれ。心踊る何かを見つけましょう。きっと、どこかにあるはず。そして、見つけたなら、孤独になっても続けてみてください。それはいつかあなたの強力な味方になってくれます。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。数学に人生を捧げたソフィー・ジェルマンの生涯を描いた絵本です。数字や算数、パズルや積み木が好きなお子さま、とくに女の子におすすめです。

 人生の可能性について描いた絵本です。「計算や数字が嫌いな子が数学を好きになる」タイプの絵本ではありません。どちらかと言うと数字や組み合わせ、計算が好きな子の背中を押す本です。

 

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