【魔女が相棒?ねぐせのヤマネ姫】いきなりお姫様?おちこぼれ魔女とお城を救え【小学校中学年以上】

2024年4月13日

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魔女が相棒?ねぐせのヤマネ姫  柏葉幸子/作 長田恵子/絵 理論社

ある日、目が覚めるとそこは異世界。今日一日、お姫様の身代わりになれと言われたサヤ。落ちこぼれ魔女と一緒に弓月城を守らなきゃいけないなんて……およそお姫様らしくないサヤ。はたしてサヤの運命は……? 

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 魔女☆☆☆☆☆ 魔女とバディ☆☆☆☆☆

魔女が相棒?ねぐせのヤマネ姫  柏葉幸子/作 長田恵子/絵 理論社

<柏葉幸子>
1953年岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。大学在学中に講談社児童文学新人賞を受賞、審査員であった佐藤さとる氏に認められ、「霧のむこうのふしぎな町」でデビュー、日本児童文学者協会新人賞を受賞、その後ファンタジー作品を多く書き続けている。1987年より「鬼ヶ島通信」編集同人となり、現在は編集委員。1998年「ミラクル・ファミリー」で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2007年「牡丹さんの不思議な毎日」で同賞大賞、2010年「つづきの図書館」で小学館児童出版文化賞、2016年「岬のマヨイガ」で野間児童文芸賞など受賞多数。

<長田恵子>
1965年福岡県生まれ。東京女子大学文理学部卒業。出版社勤務ののち、独学で銅版画を学び、フリーのイラストレーターになり、書籍の装画や雑誌の挿画などの仕事を主に手がける。

 夏休みが終わると街はハロウィンシーズン。オレンジと黒の飾りで賑やかになります。
 この季節限定のお菓子も売り出され、ちょっとしたお祭り騒ぎ。

 海外からやってきた文化も日本風に魔改造され手着する……これが日本あるあるです。

 夏の暑さが厳しいこの国ですが、秋めいてくるとあっと言う間に寒くなって長い冬がやってきます。日本人は厳しい冬をイベントで乗り切る習慣があるため、ハロウィン、秋祭り、クリスマス、忘年会、新年会、バレンタインと春までは定期的にイベントが続くようになります。

 お月見や秋祭りを楽しんだかと思えばハロウィンだのクリスマスだのに夢中になって節操のない民族のようですが、冬の厳しさ年末の忙しさを紛らわせてくれるのがこうした行事です。行事の力は侮れないのです。

 さて、ハロウィンが近づいてきましたらこのブログでも「魔女」「魔法」関係の児童書の紹介が多くなります。「もともとだろ!」と言うツッコミについては、もちろんそうなのですが(開き直り)この季節は遠慮なく趣味に走れるというもの。

 男の子がどれだけ「魔法」に憧れがあるのかはわかりませんが、多くの女の子は魔法が好きです。男の子はもしかしたら「科学」のほうが好きかもしれません。でも、「魔法」好きの女の子にとっては科学も魔法みたいなものなんです。
 魔法も科学も、一見なんでも思い通りに行くように見えながら、案外思い通りにならないところが似ています。きちんと条件が揃わないと効果が出ないところとか、実行者の腕前に左右される場合があるのも。

 本日ご紹介するのは、魔法の腕前がいまひとつの魔女と小学五年生の女の子サヤがひょんなことからバディになって異世界を冒険するお話。「霧のむこうのふしぎな町」の柏葉幸子先生の魔女ストーリーです。初版は2018年。

 お話は……

 「この子にしよう」と話し声がする。不思議な夢を見るサヤ。
 ある日、目が覚めたらサヤは異世界にいました。

 おちこぼれの魔女が一日だけ、「けものの呪い」で呪われたお城のお姫様の身代わりにするために呼んだのでした。
 本物のお姫様は魔女たちが一人だけ呪いから助けて逃がしたのだけど、人数あわせのために別の世界から人を呼んでこなければならなかったようです。

 ところが、呪いをかけた銀の角の魔女の使い魔パタリが数えると、どういうわけか数が合わない。

 いったい何がおこったの……?

 ……と、いうのがあらすじ。

 サヤは、ふつうの女の子とはちょっとちがうところがあります。
 何事も、しっかり自分で確認して納得してからでないと行動しないのです。

 他人に説明されたことを「はいそうですか」とそのままうのみにすることができない。どんなことでもちゃんと自分で理解して行動したい性格なのでした。

 母親からですら厄介でめんどくさいと言われがちなサヤでしたが、今回はその性格が幸いしてお城の危機を救うことになります。

 サヤの何でも自分で確認したいところ、確かめないと納得できないところ、そして困っている人を放っておけないところ……もしかしたら、一見お姫さまっぽくないサヤですが本当はお姫さまに向いているのかも?
 お姫さまは他人の言うことを何も考えずにはいはいと聞いていればいい立場ではないし、いつかは自分で考えて指示を出さないといけなくなるわけですし。

 落ちこぼれ魔女とバディを組んで弓月城の呪いを解くお手伝いをすることになってしまったサヤ。
はたして、無事に「けものの呪い」は解けるのでしょうか。それは読んでみてのお楽しみ。

 文字は大きめで文章は読みやすく、簡単な漢字以外には振り仮名が振ってあります。小学校中学年から。賢い子なら低学年から読めるかもしれません。そんなにボリュームはないので気軽に読ます。

 サヤの性格がさっぱりしていて「キモが太い」(魔女談)ので、男の子でも女の子でも楽しく読めるでしょう。性別の関係なく楽しめるファンタジーです。

 ハロウィンが近づいてくると緑色だった木の葉が黄色や朱色に染まったり、空が高く青く澄みわたったりと世界が魔法がかかったように変化してきます。

 この「魔法のシーズン」に、ゆかいな魔女物語はいかがでしょう。
 読後感は、秋空のようにさわやかです。

 週末の読書タイムにぜひどうぞ!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ゆかいで楽しい魔女ファンタジーです。
 サヤの「どうしても納得してから行動したい」と言う性格が、結果的にたくさんの人を救います。他人の話を鵜呑みにせず、自分で調べ、自分で行動する……サヤは魅力的な女の子です。

 読後は鶏料理が食べたくなるかも、いや食べたくなくなるかも……

 

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