【あひるのバーバちゃん】あひるのバーバちゃんがおかいもの。愛されるロングセラーほのぼの絵本【3歳 4歳 5歳】

2024年3月31日

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あひるのバーバちゃん 神沢利子/作 山脇百合子/絵 偕成社

あひるのバーバちゃんがまちへかいものにでかけます。「おいしい いちごがたべたいわ。ミルクとさとうをたっぷりかけて……」バーバーちゃんがのんびり歩いてゆくと車に轢かれている人をみつけてびっくり仰天……

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ おおらか☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 

あひるのバーバちゃん 神沢利子/作 山脇百合子/絵 偕成社

<神沢利子>
1924年、福岡県に生まれ、北海道、樺太(サハリン)で幼少期をすごす。文化学院文学部卒業。詩、童謡、絵本、童話、長編と、児童文学の第一線で幅広く活躍。日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞、日本童謡賞、路傍の石文学賞、巌谷小波文芸賞、モービル児童文化大賞など数多く受賞。

<山脇百合子>
(やまわき ゆりこ、1941年〈昭和16年〉12月3日 ~2022年〈令和4年〉9月29日)は日本の絵本作家、挿絵画家。東京府出身。東京都立西高等学校、上智大学外国語学部フランス語科卒。高校三年の頃より童話の挿絵や絵本の仕事を多く手がける。
児童文学者の実姉・中川李枝子との共著も多く、「ぐりとぐら」(福音館書店)は海外にも翻訳されている。旧姓は大村。

 先日亡くなられた山脇百合子先生を偲んで、代表作の一つ、「あひるのバーバちゃん」をご紹介します。お話は、「くまの子ウーフ」の神沢利子先生。初版は1974年です。

 山脇先生が挿絵を描き、お姉様の中川李枝子先生がお話を書いた「ぐりとぐら」は、伝説的なロングセラー絵本で、あの丸くてふわふわしたカステラが心に残っている人は多いのではないでしょうか。

 わたしは、大人になってから絵本の魅力を知った人間なので、子どもの頃にあまりたくさんの絵本を読んできませんでした。そんなわたしでも、「ぐりとぐら」は心に残っています。
 今、絵本関係のお仕事をしている方々にとって、大村(山脇)百合子先生の絵の記憶は、それぞれに格別な想いでもって心の深いところにしまってあるはず。

 山脇先生の絵は、素朴なあたたかみがあって、そして、ちょっぴりなんともいえないおかしみがあるのです。小さな子どもの仕草を見て「ふふっ」と笑ってしまうような、そんなあどけなさがある絵なのです。

 お話は……

 バーバちゃんは、いちごが食べたくてお買い物にでかけます。途中で、車に轢かれてる人に出会ってびっくり仰天。でも、それは轢かれてるのではなくて、車を修理していたお兄さんでした。

 お兄さんは、つなぎのたくさんのポケットから、いろんなものを取り出して、最後は煙草を出して一服します。バーバちゃんは、お兄さんのたくさんのポケットがうらやましくなってしまいます。

 スーパーマーケットに着いたバーバちゃん。いちごだけでなく、オレンジや、レタス、クッキー、バターとほしいものをどんどん買ってしまいます。でも、買い過ぎてしまって、持ちきれません。
 それではと2階のバッグ売り場で、ポケットがいっぱいついたリュックを買うのでした。

 リュックを背負って歩いている途中に、まいごのひよこたちに出会います。
 バーバちゃんは、ひよこたちをリュックに乗せて運んであげます。ところがひよこたちは、リュックの食べものを食べてしまい……

 ……と、いうのがあらすじ。

 伝統的で教訓的な絵本に慣れていると、欲張って欲しいものを買い過ぎたバーバちゃんがあとでひどい目に遭うような話だと思うでしょう?
 そんなことはぜんぜんなくて、とっても心温まるハッピーエンドなんですよ。

 むしろ、現代の若い人のほうが意外に思うかもしれません。
 しかし、作者の神沢先生や山脇先生の世代の方々はみな、戦時中に食べるものがなく、お腹をすかせて苦労してきた世代です。わたしも祖父母や両親から食べ物で苦労した話はよく聞かされました。

 だから、なんでも売っているスーパーマーケットで欲しい食べ物を好きなだけ買い、おなかをすかしている小さな子どもたちに食べさせてあげると言うのは、このうえなく幸せなことなのです。

 バーバちゃんはおおらかで優しいあひるです。

 少し思慮が足りないけれど、アクシデントがあっても、前向きにとらえ、楽しみながら自分なりにちゃんと対処します。
 そして「いちごが食べたいな」「あんなポケット欲しいな」「ピクニックしたいわ」など、やりたかった願いはぜんぶ叶えてしまうのでした。

 このとぼけた感じ、ビアトリクス・ポターの「あひるのジマイマ」を思い出してしまいます。ジマイマも、ポジディブで行動的なわりに、どこかのんきなあひるでした。

 字はすべてひらがなとカタカナ。字はほどよい大きさで50音が読めれば大丈夫なので、ひとり読みにも向いています。サイズも、22cm×18cmと、子どもが持ちやすい大きさ。

 とても、ほのぼのとしていて、いい絵本なのですが、自動車修理のお兄さんが煙草を吸うシーンがあるので、ご家庭内で煙草がタブーのおうちでは、ちょっとそぐわないかもしれません。(昭和は煙草を吸う人がとても多かったので…… まあ、わたしも個人的には煙草の煙は苦手なんですけども)
 でも逆に、ご両親がスモーカーの家では自然に感じられるかもしれませんね。

 とても心があったかくなる、ほのぼのとした絵本です。動物たちと人間が何の説明もなく共存しているファンタジー空間なのですが、それがまたなんともいえないユートピア感があって、不思議な魅力です。

 おおらかで、やさしいバーバちゃんのお話を読んで、親子でピクニック気分を楽しんでみませんか。好きなものを好きなだけお買い物をして、いろんなものが入るたくさんのポケットにしまってと、子ども心をわくわくさせる要素がいっぱい詰まっています。

 字をおぼえ始めたばかりのお子さまと読み聞かせに、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。優しくて、楽しくて、そして、どこかとぼけた、ほのぼの絵本です。バーバちゃんがとにかく前向きでおおらか。どんなアクシデントも「あらあら」と言いながら、楽しく乗り越えてしまいます。

 読後は、おうちでピクニック気分でクッキーやいちごをいただきましょう。読めば絶対、そうしたくなるので、あらかじめご用意を!

 

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