【かさじぞう】心優しい老夫婦に訪れた大晦日の奇跡。色あせない昔話の絵本【4歳 5歳 6歳】

2024年4月2日

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かさじぞう 柏葉幸子/文 村上勉/絵 小学館

むかしむかし、まずしいけれど、こころのやさしい おじいさんとおばあさんが、おりました。ゆきのふる さむいおおみそかに、おじいさんは、町でうれのこったかさを おじぞうさまに かぶせてあげました……

この本のイメージ 大晦日☆☆☆☆☆ 思いやり☆☆☆☆☆ 奇跡☆☆☆☆☆

かさじぞう 柏葉幸子/文 村上勉/絵 小学館

<柏葉幸子>
1953年、岩手県生まれ。「霧のむこうのふしぎな町」(講談社)で第9回日本児童文学者協会新人賞、「牡丹さんの不思議な毎日」(あかね書房)で第54回産経児童出版文化賞大賞受賞。他、受賞多数

<村上勉>
1943年、兵庫県生まれ。「おばあさんのひこうき」(小峰書店)などで第16回小学館絵画賞受賞。他、受賞多数。装丁や切手のデザインでも活躍

 大晦日の夜の不思議を描いた日本の昔話「かさじぞう」です。初版は2009年。
 「霧のむこうの不思議な町」の柏葉幸子先生と「コロボックル物語」の挿絵で知られる村上勉先生のコンビです。

 日本は、もともとアニミズムの国で、すべてのもの(生物だけではなくすべてのモノ)に魂が宿るという宗教観があります。
 太陽や月、海や川、山や花は神様だし、岩も神様です。
 それだけでなく、使い古された道具や大切にされた人形にも魂が宿るのです。なにしろ、八百万の神々の国ですからね。トイレにも神様がいます。

 そんな国なので、昔話は少しオカルト的な、ファンタジックなお話が多いのです。そのうえ、架空の話ではなくわりと「ほんとうの話」として言い伝えられていることも多くて、そこが面白いところです。

 「かさじぞう」は日本の伝統的な昔話。
 お話によって、細かいところが少しずつ違い、様々なバージョンがあります。

 お話は……

 貧しくても仲の良い老夫婦が小さな小屋で暮らしていました。
 お正月に食べるお餅もないため、おばあさんが頭にのせる傘を五つ編み、それを町で売ってお金にしてお正月のお餅を買ってきてくださいとおじいさんに頼みます。

 おじいさんは雪のなかを町へ行き、一生懸命、傘を売りますが一つも売れませんでした。

 だんだん雪が激しくなってきます。

 帰り道、おじいさんは、六体のお地蔵様が並んでいるのを見つけます。
 雪のなかに立つお地蔵様たちがあまりにも寒そうだと思ったおじいさんは、売れなかった傘をお地蔵様にかぶせ、足りない一つは自分の傘をはずしてかけてあげるのでした。

 傘がひとつも売れず、お地蔵様にあげてきたと伝えるおじいさんに、おばあさんはにこにこ笑って「それはいいことをしましたね」と喜んでくれました。

 大晦日だと言うのに食べるものもろくになく、お粥を食べて眠りについたふたりのもとに、真夜中、六体のお地蔵様がやってきます。

 米俵やお魚、反物、お金のつまった袋など、信じられないほどの贈り物を運んできてくれたのでした。

 おじいさんとおばあさんは大喜びで、餅をつき、お地蔵様にお供えし、そして、その後は幸せに暮らしました……

 ……と、言うお話。

 このお話には、かつてこの老夫婦には六人の子供がいて、貧しくて大人になる前に死んでしまい、お地蔵様として祀られていたことをにおわせるお話や、お地蔵様が「傘の代金を払いに来た」と言って食べ物と金銀財宝を持ってくるお話、お地蔵様たちがおじいさんとおばあさんを極楽浄土につれてゆくお話など、様々なバージョンがあります。

 傘の数もまちまちで、おじいさんが自分の傘を与えるバージョンだけでなく、傘はないが自分の手ぬぐいをあげてほっかむりをさせるというバージョンもあります。

 このお話のお地蔵様たちは「六じぞうに かさをかぶせた じいさまのいえはどこだあ」と声を上げて探しているのがかわいい。

 おじいさんは大喜びで新年の餅をつき、おじぞうさまにもお供えします。
 このようすが、一緒にお餅を食べお正月をお祝いしているようで、それも心温まる光景です。

 字はすべてひらがな。数字などの簡単な字だけが漢字で、それもふりがながふってあります。ひとり読みもできますし、お正月に読み聞かせにも。

 年末年始は、日本の伝統行事に触れることも多いですから、そんなときには昔話がぴったり。
 ほのぼのとしてあたたかい日本の昔話「かさじぞう」。
 この季節にぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 昔ながらの、心温まるいいお話です。日本の伝統的な昔話で、年末年始にぴったりの絵本です。
 昔ながらの日本のお正月を感じたいという方に、おすすめです。

 

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