【りゆうがあります】あれだってこれだって、理由があるんだ。思わずクスっと笑っちゃう、子どものための面白絵本【4歳 5歳 6歳】

2024年4月2日

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りゆうがあります ヨシタケシンスケ/作 PHP研究所

ぼくがお行儀が悪くて、おかあさんの言う通りにできないことには、みんなみんな理由があるんだ……!「優等生じゃない」やんちゃな男の子のための、ゆかいな絵本。ひとり読みもいいけれど、ぜひ、読み聞かせで。大人にもおすすめです。

この本のイメージ クスっと笑える☆☆☆☆☆ 優等生じゃなくても☆☆☆☆☆ 肩の力をぬいて☆☆☆☆☆

りゆうがあります ヨシタケシンスケ/作 PHP研究所

<ヨシタケ シンスケ>
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。スケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞など数々の賞を受賞。

 絵本界では独特な味わいで大人気の、ヨシタケシンスケ先生の絵本です。初版は2015年。

 「りゆうがあります」と言うのは、おそらく、やんちゃなお子さまの保護者の方の叱り言葉として「どうして、そんなことをするの?」と言うのがあるからでしょう。

 主人公の「ぼく」は、大人しくじっとしていられない、一人でいるとそわそわとお行儀のわるいことをしてしまう男の子です。で、おかあさんに見つかると、「これにはりゆうがあるんだよ」と、トンデモ面白い屁理屈を言う。

 「ぼくが爪を噛んでしまうのは、人間には聞こえない音を出してカラスを追い払っているんだ」とかね。

 「どうしてそんなことをするの?」って大人が子どもに叫んだとき、それは、二つの場合があります。
 ひとつは、「どうしてそんなことするの? そんなことしちゃいけないってどうしてわからないの。お母さんを困らせても平気なの? 今後はもう絶対にやらないで」と言う後半の言葉が省略されているとき。

 もうひとつは、純粋に「理由を聞いているとき」です。

 で、社会はたいてい、この前者の「後半の言葉を省略している」意味で「どうしてそんなことするの?」と言っている場合が多いのですが(翻訳本を読んでいても、どうやら海外でも同じニュアンスで使うらしい)、これが伝わる場合と伝わらない場合があります。

 小さな子が「裏の文脈」を読み取るのはまだまだ難しく、ストレートに「理由を聞いてるんだ」と解釈する子も一定の割合でいます。
 また、大人でも「とくに怒ってはいないけれど、純粋な好奇心で理由を聞いている」人が一定の割合でいます。

 ここで、コミュニケーションのすれ違いが発生するわけです。

 わたしは子供のころ、「大人は自分に行動の理由を聞いてるのだ」と思って、がんばって理由を説明して「屁理屈を言う」と𠮟られるタイプでした。
 そんなとき、わたしは子供心に「自分で理由を聞いておいて、相手がいっしょうけんめい話をしていたら怒り出すなんてどういうわけだ」と、怒っていたのですが、どうやら相手の言いたかったことは違ったらしいと気がついたのはかなり歳をとってから。

 逆に、わたし自身が「どうしてそんなことするの?」と他人に聞きたいときは、本当に理由を聞きたい時なので、そこで相手から「すみません」と言われてしまうと面食らってしまいます。
 だから、大人になってからは、「怒っているわけじゃなくて純粋に事情が知りたいんだけど」と何度も前置きをすることにしました。

 これは、もう人種が違うというくらいにあきらかに分かれていて、そこは人間の面白さだと思います。
 おそらく、社会では「どうしてそんなことするの?」を「そんなことしないで」と言う怒りの表明として、相手を𠮟る言葉として使う人が多数派で、だいたい八割くらいだと思っているのですが、わたしの周囲は変わり者が多いので、「理由を聞いているのだ」と言葉どおり解釈する人が五割くらいいます。(わたしも、もともとそのタイプですし、気持ちはわかるのです)

 この絵本で描かれている男の子が、あきらかにその「純粋に理由を聞いていると解釈する」タイプの子に見えるのですが、それなのに非常に好意的に、楽しくゆかいに描かれており、そこでも少し心がほっこりしてしまうのです。

 最後にはお母さんまで「アタシにだって理由があるのよ!」と言い出して、「ぼく」と楽しい掛け合いになります。ここがもう、最高。

 「いいこ」じゃなくても、「優等生」じゃなくてもいいよね。どんなことにも理由があるよね、楽しければいいよね、とふっと肩の力がぬける絵本です。お留守番の時のひとり読みでも楽しいですが、これはぜひ、読み聞かせで。

 読んだ後、「あれだってこれだって、本当は理由があるんだよ」と親子でトンデモ理屈を話し合うのも楽しそう。荒唐無稽でもいいじゃないですか。笑いながら「なんでやねん」と突っ込んじゃいましょう。

 現実社会を真面目に生きていると、たいへんなことばかりです。
 自分なりの理由を探して、気楽にゆるっと、参りましょう。

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。
 一箇所に落ち着いていることができず、常にそわそわしてしまう、爪噛みや貧乏ゆすりをついしてしまう、どうしても大人しくしていられない、やんちゃなお子さま、「どうしてそんなことするの?」としかると真面目に長々と理由を説明してしまうお子さまと保護者の方に。ぜひ、読み聞かせで。

 肩の力が抜けて、心が楽になる絵本です。

 

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