【ひなまつりにおひなさまをかざるわけ】ひなまつりの由来を物語にした創作童話絵本。心温まる和ファンタジー【小学校低学年以上】

2024年4月7日

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ひなまつりにおひなさまをかざるわけ  妹尾七重/作 岡本順/絵  教育画劇

むかしむかし、大きな川のほとりの小さな家に、一郎次、次郎次、三郎次、という兄弟と幼い妹のおはなが住んでいました……日本の伝統行事「ひなまつり」の由来をわかりやすく描いた創作ファンタジー!

この本のイメージ 和ファンタジー☆☆☆☆☆ 身代わり雛☆☆☆☆☆ ひなまつり☆☆☆☆☆

ひなまつりにおひなさまをかざるわけ  瀬尾七重/作 岡本順/絵  教育画劇

<瀬尾七重> 
東京都生まれ。立教大学文学部卒業。「ロザンドの木馬」(講談社)で講談社児童文学新人賞佳作を、「さうよなら、葉っぱこ」(講談社)で日本児童文芸家協会賞を、「さくらの花でんしゃ」(PHP研究所)でひろすけ童話賞を受賞。他の作品に「だれのしわざ?」(旺文社)「しぐれ山のひみつ」(教育画劇)等、多数ある

<岡本順>
1962年愛知県生まれ。絵本作品に「ふっくらふしぎなおくりもの」(ポプラ社)「クマの子太郎」(佼成出版社)「どうぶつえほん」シリーズ(偕成社)、さし絵作品に「中学生日記」シリーズ(ポプラ社)「コロッケ天使」(学研)「ぼくたちJ2スペシャル!」(童心社)等、多数ある

 今日は3月3日。ひなまつりです。
 ひなまつりは、中国由来の上巳(じょうし)の節句が日本古来の「祓い」の行事と融合し、独自の形になったものだといわれています。

 上巳は3月最初の巳の日のことで、古代中国ではこの日に川で不浄を祓うためのみそぎをする風習があったようです。日本では、「巳の日の祓い」として、紙などで「人形」という身代わり人形をつくり、身体をなでてて川に流す風習がありました。

 今でも晦の大祓いなどで「人形」は使われています。「身代わり」と言う発想はどうも日本由来のようです。
この「上巳の節句」と「身代わり雛」の風習が混ざり合い、今の形の桃の節句になったようです。

 本日はせっかくなので、ひなまつりにちなんだ絵本をご紹介いたします。初版は2001年。

 ストーリーは……

 むかし、大きな川のほとりに小さな家がありました。
 そこには、一郎次、次郎次、三郎次という兄たちと、幼い妹のおはながきょうだいだけで暮らしていました。

 山へ狩りにでかける一郎次と次郎次、家で幼いおはなの世話をしながら畑仕事をする三郎次。

 三郎次はおはなに桃の小枝と草の蔓で粗末な人形をつくってあげました。おはなは、その人形で遊ぶのが大好き。おんぶしたり抱いたりしていつも一緒です。

 ところがある日、おはなが足を滑らせて川に落ちてしまいます。
 あわてて三郎次が助けあげましたが、もともと身体の弱いおはなは、高い熱を出して寝込んでしまいました。

 必死に看病をする三郎次ですが、おはなはなかなか良くなりません。

 十日目の夜、自分を呼ぶ小さな声に目を覚ました三郎次は……

 ……と、いうのがあらすじ。

 「身代わり雛」の由来をストーリー仕立てにしてわかりやすく描いた創作童話絵本です。
 木でできているだけの人形が妙に表情豊かでかわいい。
 お話はわかりやすく、女の子にとって桃の節句が大切なお祭りである理由もよくわかります。

 文章は漢字まじりですが、すべての漢字にふりがながふってある総ルビなので、50音が読めればひとりでコツコツ読みきることが出来ます。
 ただし、絵本としてはかなりボリュームがあり、文章が多いので、絵本と小説のちょうど中間くらい。小学校低学年が目安ですが、賢い子なら幼稚園からでも大丈夫。

 物語に起伏がありますので、読み聞かせをしても楽しいはずです。

 気になるのは病弱なおはなに冷淡な兄たちの存在ですが、これはふたりの兄たちが父親的仕事を担い、家にいて家事と畑仕事をしている三郎次が母親代わりとしておはなを育てていると言う表現(つまりはワンオペ)ではと思われます。

 起承転結のあるドラマチックなストーリーは心に残りやすく、伝統行事の由来説明にはぴったり。桃の節句のベースにある、「女の子が元気で幸せに成長しますように」と言う母の祈りが伝わる物語です。

 物語を全部読んだ後、あらためて表紙を見ると三郎次とおはなが幸せに暮らしている様子がわかって、それもなんだかじーんときます。

 「ひな祭り」に込められた想いを、創作童話で感じてみてはいかがでしょう。
  物語好きのお子さまに、とくにおすすめです!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほぼありません。病弱な妹を世話する三郎次の想いが、身代わり人形を生んだ心温まる和ファンタジーです。
 明るく楽しい伝統行事の裏に、大切な子どもの健康と幸せを祈る気持ちがこめられていることがよくわかります。

 

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