【氷の上のプリンセス】フィギュアスケートを愛する女の子のステップアップストーリー。試練の第4巻。【こわれたペンダント】【小学校中学年以上】

2024年4月7日

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氷の上のプリンセス こわれたペンダント   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

全日本ジュニアを目指すかすみ。だけど、ある日突然、ママが倒れて入院してしまう。ママの入院中一人で暮らせるの?と悩んでいたところ、ひょんなことで瀬賀冬樹の家に泊めてもらうことになったかすみだけど……

この本のイメージ フィギュアスケート☆☆☆☆☆ 身近な死の克服☆☆☆☆☆ 怪我との向き合い方☆☆☆☆☆

氷の上のプリンセス こわれたペンダント   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

<風野潮>
大阪府生まれ。大学時代は吹奏楽部に所属。第38回講談社児童文学新人賞を受賞した「ビートキッズ」で1998年にデビュー。同作で、第36回野間児童文芸新人賞・第9回椋鳩十児童文学賞受賞。その他の作品に「クリスタル エッジ」シリーズ、「竜巻少女」シリーズ、「レントゲン」(いずれも講談社)などがある。

<Nardak>
韓国在住のイラストレーター。おもな挿絵に、「失恋探偵ももせ」(電撃文庫)、「睦笠神社と神さまじゃない人たち」(宝島社)などがある

氷の上のプリンセス こわれたペンダント   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

<この季節おなじみのスケートトーク。不要な方はスクロールしてね>

 先々週は羽生結弦アイスショー、先週末は世界ジュニアと話題が目白押しのフィギュアスケートです。わたしはライトなファンなので全部を追いかけることはできないのですが、フィギュアスケートが盛り上がっているのはうれしいですね。

 まずは、世界ジュニア、
 島田麻央選手優勝おめでとうございます。トリプルアクセルと4回転を同じプログラムに両方いれて成功というおまけつき。4回転はわずかに回転不足だったようですが、そんなこと問題にならないくらいの偉業です。
 どうぞこれからも、健康で、怪我なく、のびのびと自分のスケートを続けてくださいね。応援しています。

 中井亜美選手、銅メダルおめでとうございます。冒頭のトリプルアクセルのみ悔しいですが、あとは素晴らしい演技でした。キレのあるジャンプが大好きです。これからも応援しています。

 三浦佳生選手、堂々の金メダルおめでとうございます! 素晴らしい「美女と野獣」ジュニアバージョン。相変わらずの爆速でジャンプ体勢に入るので見ているほうがいつもびびりまくりなのですが、このスピードでやりぬいてしまうのはさすが。最後は倒れこんでしまうほどの渾身の演技でした。

 吉岡希選手、銅メダルおめでとうございます。すばらしいパイレーツオブカリビアン! 来季はシニアだそうで、また期待の選手が増えました。応援しています。

 ペアの「はるすみ」こと、村上遥奈/森口澄士組、総合4位おめでとうございます。日本のペアが着実に育っていてうれしい。ふたりともシングルとの二刀流でがんばっています。ペアでは年齢の問題で来季シニアでもジュニアでも出場できないそうなのですが……あまりにももったいない。なんとかなりますように。これからも応援しています。

 アイスダンスの「きだもり」こと来田奈央/森田真沙也組。若いのに華のある演技が素晴らしかった。すでに多くの方が語っていますが、森田選手の転倒後の対応力がすばらしいですね。来田選手の華やかなオーラは年齢を忘れさせるほど。これからも応援しています。

 そして、羽生結弦選手(選手呼び本人希望)の前代未聞の東京ドームワンマンショー「GIFT」。

 わたしは、現地ではなく、配信で楽しませて頂きました。
 いやいや、規格外すぎるでしょう、フィギュアスケーターが東京ドームでワンマンショーて。
 どうなるのかしら、どうやるのかしらと興味津々だったのですが、すばらしいショーでした! 映像パートとアイスショーパートが交互になっていて、羽生選手の休む時間や衣装替えの時間が確保されています。

 オープニングは「火の鳥」で、炎の中から復活するイメージ。
 しかし、決して明るく楽しいだけのショーではなく、いままでの羽生選手の悩み、苦しみ、心の葛藤などをありのままに表現したインパクトのある構成でした。
 印象深かったのは、北京オリンピックのショートプログラム「序奏とロンドカプリチオーソ」を六分間練習からすべて再現したこと。羽生選手としては悔いの残ったあの2分50秒、応援していた人々と一緒に昇華できた、美しい時間でした。

 もちろん、それは一発勝負で4回転も含めて完璧に演技できなければ意味がないことなので、それをショーのプログラム(そして、おそらくはこれがメイン)に入れてしまうことが規格外なのですが……。

 その後も「オペラ座の怪人」などが披露され、これは想いの残ったプログラムを浄化するショーでもあるのかなと感じました。そんな構成のなか、「阿修羅ちゃん」でセルフコレオなど新しい試みもあり、いつでも挑戦を続ける羽生選手らしい。

 これだけ積み上げてこれだけ成功した人でも、なかなか癒えない傷を抱えることもある。けれども、羽生選手は傷を傷のままにしておかず、こんな素晴らしいショーを創りあげました。渾身の作品を魅せてくれてありがとうございます。

 また、あのCLAMP先生とのコラボで絵本を出版されることも決定しています。
 昔から、「CLAMP先生の描くキャラクターのプロポーションそのまま」と言われていた羽生選手。どんな絵本になるのか、今からわくわくしています。

 浅田真央さんもご自身のカンパニーでアイスショーツアーを続けており、今、フィギュアスケートはプロ、アマ、ともに熱いのです。浅田真央ツアーはほんとうにプラチナチケットなので、ぜひ、映像配信してくださる企業さまに名乗り出て頂きたいところ。(できればアマプラで……!)

 わたしは体力とお財布の限界があるので、すべてのショーを見に行ったり(冷え症なのでかなり難しい)、すべての動画サブスクに契約したりはできないのですが、これからも自分のペースで楽しんでゆきたいと思います。
 スケーターの皆さま、これからも応援しています!

<ここからが本題。本日の本紹介>

 本日、ご紹介するのは講談社青い鳥文庫の人気シリーズ「氷の上のプリンセス」第4巻「こわれたペンダント」です。初版は2015年。たいへん人気のシリーズで、ノービス編から始まり、現在はシニア編に物語がすすんでいるようです。

 このシリーズは、第1巻から完全にお話が続いていますので、レビューを読んで興味を持たれた方は、まずは第1巻「ジゼルがくれた魔法の力」からお読みください。

 第1巻のレビューはこちら

 今回のお話は……

 全日本ジュニアを目指すことになったかすみでしたが、ある日、ママが盲腸で倒れてしまいます。
 ママと二人暮らしのかすみは、ママの入院中一人暮らしをするつもりでしたが、ひょんなことから瀬賀冬樹くんのおうちでお世話になることに。

 そこは、以前「ジゼルさん」こと花音さんが使っていた部屋。複雑な想いで部屋を使うかすみ。

 一方、冬樹は以前、リンクで塁と衝突してからどうやら怪我を隠していたらしく、ついには隠し切れない事態に。なんとしてでも練習を休んでほしいかすみですが、冬樹の花音さんへの想いとふたりの約束を知ることになります。

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回は、「怪我」と言うアスリートにとって避けては通れない問題と、かすみちゃんにってのお父さん、冬樹君にとっての花音さんと言う「大切な人の死をどう乗り越えるか」と言うふたつの問題がテーマとなっています。

 子どもにとって最初の「大切な人の死」は祖父母と死であることが多く、たいていは小学校時代にそのときが訪れます。小学校低学年の頃はまだ「死」の概念が薄いので、人がどこから来てどこへ行くのかなど、あまり深く考えることがありません。10歳くらいになると次第に自我が固まってきて、哲学的なことも考えるようになります。

 フィギュアスケートはスポーツですが芸術的要素が大きいので、心の問題がダイレクトに影響します。
 繊細で傷つきやすい人のほうが、人の心に訴えかけるすばらしい演技ができますが、そのぶん、メンタルの揺れが演技に悪いほうに影響してしまうこともあるのです。

 今回は、その後者のほう。
 瀬賀君とかすみちゃんは、それぞれの心がゆさぶられる事件が起きてしまい、予想もつかなかった事態に。

 はじめてお話が「引き」がある状態で終わっています。(つまり、終わってない)
 続きは次巻「波乱の全日本ジュニア」にて。冬樹とかすみはこの危機を乗り越えられるのでしょうか?

 文章はかすみちゃんの一人称で書かれており、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。ボリュームはありますが読みやすいので、小学校中学年から。でも賢い子なら低学年でも読めるかも。

 キャラクターも増え、群像劇の盛り上がりも見せています。フィギュアスケート好きのお子さまにはぴったりの子ども向け少女小説。読むと、スケートの試合を見るときにさらに楽しめそう。巻数が多いので、長く楽しめます!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほぼありません。
 今回の巻は、身近な大切な人の死を乗り越えようとするお話で、小学校中学年くらいのお子さまには考えさせられる部分も多いと思います。

 癖のある人は登場しますがほんとうの悪人はいない、やさしい世界です。フィギュアスケート好きのお子さまにおすすめです。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

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