【氷の上のプリンセス】フィギュアスケートを愛する女の子の成長ストーリー。友情の第3巻。【カルメンとシェヘラザード】【小学校中学年以上】

2024年4月2日

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氷の上のプリンセス カルメンとシェヘラザード   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

少しずつ自信をつけて成長をはじめたかすみ。最近、友だちの塁くんの様子が変で心配です。何か、他人には言えない悩みがあるみたい。そんなある日、かすみがリンクで塁くんにぶつかったことで、塁くんが怪我をしてしまい……

この本のイメージ 女の子の成長☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 秘密☆☆☆☆☆

氷の上のプリンセス カルメンとシェヘラザード   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

<風野潮>
大阪府生まれ。大学時代は吹奏楽部に所属。第38回講談社児童文学新人賞を受賞した「ビートキッズ」で1998年にデビュー。同作で、第36回野間児童文芸新人賞・第9回椋鳩十児童文学賞受賞。その他の作品に「クリスタル エッジ」シリーズ、「竜巻少女」シリーズ、「レントゲン」(いずれも講談社)などがある。

<Nardak>
韓国在住のイラストレーター。おもな挿絵に、「失恋探偵ももせ」(電撃文庫)、「睦笠神社と神さまじゃない人たち」(宝島社)などがある

氷の上のプリンセス カルメンとシェヘラザード   風野潮/作 Nardak/絵  講談社青い鳥文庫

<この季節おなじみのスケートトーク。不要な方はスクロールしてね>

 先週末はクリスマスでしたね。みなさまのクリスマスはどんなでしたか?
 フィギュアスケートのファンにとってのクリスマスはもちろん、「全日本選手権」です。

 日本のフィギュアスケートの全日本はクリスマスに開催すると決まっているのです。曜日の関係で少しずれることはありますが、今年は、土日にばっちりはまっていましたね。チキンやケーキを頬張りながら美しい演技を堪能する……毎年恒例の冬の楽しみです。

 全日本選手権は、翌年の世界選手権の選考要素もあるので、毎年盛り上がります。

 坂本花織選手、優勝おめでとございます!
 さすが世界のカオリサカモト。貫禄の演技でした。坂本選手の演技はパワフルでゴージャス。豪快なジャンプとキレのある動きが魅力です。文句なしに女王の演技でした。

 三原舞依選手、銀メダルおめでとうございます!そして、世界選手権出場、おめでとうございます!ショートフリーともに素晴らしかった。三原選手特有の、体重がないかのようなジャンプ、どこまでものびるスパイラル、美しいバレエジャンプ、感情をゆさぶる表現力など、今年の集大成のような演技でした。世界選手権、楽しんで滑ってくださいね。

 島田麻央選手、銅メダルおめでとうございます。新時代の息吹を感じさせる、躍動感あふれる演技。まだ15歳だというのに、どのエレメンツも完成されていてすばらしい。今回は、トリプルアクセルと四回転に挑戦し、どちらも転倒しましたが、それでもこの得点なのはすごい。今後も期待しています。

 渡辺倫果選手、世界選手権代表おめでとうございます。少し疲労があったと思います。でも試合でトリプルアクセルを決めてくるところがすごい。世界選手権、期待しています。

 個人的にあと少し書かせてください。
 中井亜美選手、すばらしいフリーでした!ショート8位からの、フリーのトリプルアクセル二発というこの構成、完全に「勝ちにきていて」大好きです。そして、やってのける。感動しました。今後も期待しています!

 千葉百音選手、繊細で心にしみる演技でした。柔軟性があり、それぞれのポーズが美しい。四大陸も頑張ってください。(千葉選手のショート「シンドラーのリスト」が地上波で放送されなかったと知って、驚いて追記しています。一見の価値があります。まだのかたはぜひごらんになってください!)

 吉田陽菜選手、トリプルアクセルがやや惜しかっただけであとは素晴らしい演技でした。緊張する舞台でここまでまとめてきてすばらしい。四大陸、期待しています。

 横井ゆは菜選手、これで最後なのですか?とてもさみしい。最後のステップで全開の笑顔で滑ってくれたのがうれしかった。横井選手にしかない魅力がたくさんありました。今後の人生に幸あれ。

 河辺愛菜選手、今年は悔しいことが多かったと思います。でも、河辺選手の良さが表現された年でもあると思います。わたしは、ショートのステップが大好きです。(すみません、書いた記事が消えていたらしく、本気で慌てています。) 人生山あり谷ありですが、応援しています。

 紀平梨花選手、満身創痍でがんばってくれました。まずは身体を休めてください。いままでにも長く競技を離れていながら復活を遂げた選手はいます。元気になって帰ってきてくれることを祈ります。

 本田真凜選手、悔しい結果でしたが、ステップ、スピン、表現力はさすがです。今後どうするのかはわかりませんが、まだまだ見たいところはたくさんある選手です。がんばって。

 そして、男子。
 宇野昌磨選手、優勝おめでとうございます!
 文句なしの絶対的勝利でした。
 宇野選手は技術と芸術が両方とも国内では飛びぬけていて、多少のミスがあっても結果をひっくり返せないレベル。それでも、世界ではマリニン選手などの強敵がいます。日々の努力と研鑽を怠らない宇野選手、世界選手権も期待しています!

 島田高志郎選手、銀メダルおめでとうございます。
 ジャンプが安定しており、スピン、ステップなどもハイレベルですばらしい演技でした。繊細でしみじみとした情緒と、ユーモアたっぷりの仕草。フリーのチャップリンは島田選手にぴったり。きっと今後島田選手の代表作になると思います。四大陸、頑張ってください。

 浪速のエンターティナー友野一希選手、銅メダルおめでとうございます。そして、悲願の世界選手権スタメン出場おめでとうございます!どんなときでも大崩れしない友野選手は頼りになります。今回も、満開の笑顔で会場を沸かせてくれました。表現力はピカイチです。世界選手権、期待しています。

 山本草太選手、今回は悔しい結果となりましたが、世界選手権出場、おめでとうございます。度重なる骨折で競技を離れていた頃は、山本選手が四回転を跳べるまでに回復してグランプリファイナルで2位、世界選手権に出場するなど想像できなかった人も多いと思います。まさに奇跡です。世界選手権頑張ってください。

 他選手のことも少し。

 佐藤駿選手、悔しい結果となりましたが、高いジャンプは健在。高難度ジャンプはリスクと隣り合わせですが、それでも決まったときには代えがたい魅力があります。これからもバンバン跳びつづけてください。四大陸、期待しています。

 三浦佳生選手、フリーの序盤は固かったですが、後半の追い上げが見事。リカバリーが熱かった。これからも期待しています。四大陸頑張ってください。

 鍵山優真選手、渾身の演技を見せてくれてありがとうございます。フリーは「四分間滑りきることが目標」と聞いて、そこまでの状態なのかとびびりました。しかし、すべてのエレメンツが美しい、そして、気迫のこもったすばらしい演技。鍵山選手はいきなりものすごく背が伸びたので、怪我をした時は身体の栄養が足りてなかったのですね。元気になって戻ってきてくれることを信じています。

 西山真瑚選手、ひとりだけ違う競技なのかなと思えるほどのスケーティング。今後はアイスダンスに専念するのですね。シングルの演技、見られてよかった。いいものを見せていただきました。

 今回の男子は、グランプリファイナルに出場した選手は全員調子が悪そうでした。多種類四回転時代、疲労の蓄積が無視できないと思います。もともと、NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権は日程が近すぎて調整が難しいとは言われていました。トップ選手になればなるほど、このグランプリファイナル→全日本の日程が響きます。
 今回いちばん上手く調整できたのが、ふだんから体調不良と付き合って競技生活をしている三原選手だと言うのに感動してしまいました。何事も無駄ではないのですね……

 ペアは「はるすみ」こと村上遥奈、森口澄士組が優勝。
 「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組は、不幸なことに航空機遅延とロストバゲージで出場できませんでした。ただし、世界選手権は出場決定です。

 はるすみは、ふたりともシングルとの二刀流でそれぞれシングルの試合にも出場して好成績を残しています。とくに森口選手はペアのフリーの四時間後に男子シングルのフリーに出場しノーミスで総合7位という鉄人ぶり。いい意味で恐ろしいペアです。

 そしてアイスダンス、「かなだい」こと村元哉中・高橋大輔組、優勝おめでとうございます!
 とんでもなく技術が上がっていて、すばらしい演技でした。フリーの「オペラ座の怪人」のラストのミスだけが残念でしたが、その直前までがすばらしすぎて息をするタイミングがわからないくらい。
 これで、高橋選手は、シングルとアイスダンス、両方の全日本の金メダルを獲得したことになります。まさに伝説です。

 全日本選手権が終わると、2月の四大陸選手権、そして3月の世界選手権が楽しみです。激戦でお疲れのみなさまは年末年始に身体をやすめて、残りのシーズンを元気に駆け抜けてくださいね。

 今回の全日本では、かつてのスター選手がリンクサイドやキスアンドクライにいて、それもうれしい光景でした。安藤美姫さんはさすがのもと世界女王のオーラ。本郷理華コーチはマスク姿で目しか見えないのにまばゆい美の光線が。これからはキスクラも楽しみです。

<ここからが本題。本日の本紹介>

 本日、ご紹介するのは講談社青い鳥文庫の人気シリーズ「氷の上のプリンセス」第3巻「カルメンとシェヘラザード」です。初版は2014年。たいへん人気のシリーズで、ノービス編から始まり、現在はシニア編に物語がすすんでいるようです。

 このシリーズは、第1巻から完全にお話が続いていますので、レビューを読んで興味を持たれた方は、まずは第1巻「ジゼルがくれた魔法の力」からお読みください。

 第1巻のレビューはこちら

 今回のお話は……

 全日本ノービスを目指して練習をつづけているかすみ。

 そんなとき、かすみはリンクメイトの水島塁くんが何か秘密を抱えているらしいことを知ります。
 偶然にも、塁くんの事情を立ち聞きしてしまうかすみ。

 けれど、塁くんの気持ちを考えると親友の真子ちゃんにも言えず、苦しんでしまいます。

 なんとか事情を話せてわかりあえたと思ったのも束の間、かすみと塁くんがリンクでぶつかったことがきっかけで塁くんが怪我をしてしまい、試合に出られないことに。

 かすみのせいで塁くんが怪我をしたと美桜ちゃんは大憤慨。それだけでなく、真子ちゃんもなんだかよそよそしいのです。

 真子ちゃんや美桜ちゃんと気まずくなってしまったかすみは……

 ……と、いうのがあらすじ。

 スポーツに怪我はつきもの。けれど、どんなスポーツでも接触事故はおこりうるので、それが不幸な事故でもつい「だれのせい」と言うような感情にはなりがちです。

 かすみちゃんは、塁くんの怪我がきっかけで、親しかった友だちとすこしだけぎくしゃくしてしまいます。

 このあたりの誤解は解けるのですが、いままでの友だちと距離があったあいだに、新しい友だちもできました。

 仙台のスケートクラブで練習している七海優羽ちゃんです。
 髪を三つ編みにして眼鏡をかけ、大事そうにノートを抱えている、地味で図書委員のような雰囲気の優羽ちゃん。
 優羽ちゃんは、「スケートノート」に練習記録を丁寧に記録し、他の選手のいいところも研究して参考にする勉強熱心な女の子。かすみちゃんのジャンプの飛び方が好きで、以前から注目していたと言います。

 自分以外の、自分よりランクの下の選手の滑りも参考にすると言う優羽ちゃんの姿勢にかすみちゃんはびっくり。

 そして、試合になって優羽ちゃんの姿にさらにびっくりするかすみちゃんなのでした。

 第2巻で登場した星崎真白ちゃんは美しい容姿と関西弁のギャップがかわいい美少女でしたが、七海優羽ちゃんもなかなかのギャップ美少女。新キャラがどんどん登場して、盛り上がってまいりました。

 フィギュアスケートのシステムやルールなどを詳しく描きながら、女の子たちの気持ちのすれ違いや熱い友情を描く少女小説です。
 真子ちゃんとかすみちゃんの気持ちのすれ違いは女の子なら一度は考えてしまうようなリアルさがあり、思わずうなずいてしまうことも。

 文章はかすみちゃんの一人称で書かれており、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。ボリュームはありますが読みやすいので、小学校中学年から。でも賢い子なら低学年でも読めるかも。

 冬のおうち時間にはぴったりの子ども向け少女小説です。読むと、スケートの試合を見るときにさらに楽しめそう。巻数が多いので、長く楽しめますよ!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほぼありません。真子ちゃんの悩みは、積極的にお友だちを作ろうと努力している小さな女の子特有の悩みで、とてもリアルです。

 フィギュアスケートが大好きなお子さまにおすすめです。

 

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