【ローワンとゼバックの黒い影】さらわれた妹を救い出す長い旅。一族のルーツを知る第4巻【リンの谷のローワンシリーズ】【小学校中学年以上】

2024年3月16日

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ローワンとゼバックの黒い影  【リンの谷のローワンシリーズ 4 】  エミリー・ロッダ/作 さくまゆみこ/訳 佐竹美保/絵 あすなろ書房

ジラーとストロング・ジョンの結婚式の日、ローワンの妹アナドが空飛ぶ生き物にさらわれてしまった。ローワンはシバの助言のもと、パーレン、アラン、ジールとともにゼバックの都へアナド救出の旅に出るが……

この本のイメージ 冒険☆☆☆☆☆ リンの谷の謎☆☆☆☆☆ 新しい仲間☆☆☆☆☆

ローワンとゼバックの黒い影  【リンの谷のローワンシリーズ 4 】  エミリー・ロッダ/作 さくまゆみこ/訳 佐竹美保/絵 あすなろ書房

<エミリー・ロッダ>
Emily Rodda、1948年4月2日~ 。オーストラリア・シドニー生まれのファンタジー作家。代表作は「ふしぎの国のレイチェル」「リンの谷のローワンシリーズ」など。

 エミリー・ロッダの「リンの谷のローワン」シリーズ第4巻。タイトルは Rowan and the Zebak.
 原書初版は1999年。日本での初版は2002年です。

 「リンの谷のローワンシリーズ」は、2巻と3巻が入手困難本なので、全巻読もうとすると、一部中古か図書館を利用することになりますが、まぎれもない名作なので、お読みになることをおすすめします。
 とくに、内向的なお子さまや、職場で頑張っている大人の方におすすめのシリーズです。

 主人公のローワンは、リンの谷と言う、屈強な人々の暮らす地で、ただひとり、大人しくて内向的な男の子。そのローワンが、様々な困難を勇気を持って解決してゆくお話です。

 今回は、ローワンの母ジラーと、ストロング・ジョンの結婚式の日、ローワンの妹アナドが、翼のある爬虫類生物にさらわれてしまいます。それは、ローワンたちの宿敵ゼバックが飼っている、グラックという生物でした。

 ローワンはゼバックの都へアナドを救出する旅に出ることになります。賢女シバの予言のもと、「旅の人」とリンの民との混血アラン、ゼバックの子どもでありながら旅の人に育てられたジール、そして海の民のパーレンとともに旅立ちます。

 様々な困難や、怪物のいる砂漠を超え、ローワンたちは、ゼバックの都へ潜入します。
 そこで知ったのは、ローワンたちリンの民のルーツでした……

 と、言うのがあらすじ。

 ローワンは、毎回、過酷な冒険の旅に出ますが、そこで出会うのは人間同士の戦いではなく、厳しい大自然や、恐ろしい怪物などです。今回も、「荒れ地」と呼ばれる、ゼバックの都の周囲の砂漠地帯の怪物たちが、おそろしく、気味悪い。

 しかし、シバの予言や、持ち前の知恵で、ローワン一行は困難を乗り越えてゆきます。

 ローワンの美徳は、「出し切ること」。出来ることは少ないローワンですが、つねに、自分のできるすべてを出し切ります。それによって、絶望的だった状況に光が差します。
 単純ですが、誰にでもできることではないですよね。

 これって、「竜退治の騎士になる方法」に通じることでもあります。こちらは、かなり哲学的な本ではありましたが、本質的には同じようなことを言ってる気がします。
 小さなことを積み重ねてゆくこと、そして、自分の力を出し切ること。それが絶望的な状況でも切りひらいてゆく。

 冒頭で、飛竜グルックがアナドを連れ去ったとき、彼女を取り戻すことは到底できないことのように思われました。相手は飛ぶ生き物だし、ゼバックの都は行ったこともないはるか遠くだからです。

 けれど、シバの予言をもとに、仲間たちの力を借りて、たどりつけないと思われていた都に彼らはたどりつきます。そして、生きて戻れないだろうと思われていたのに、戻ってこれるのです。

 エミリー・ロッダは多作な作家で、「リンの谷のローワン」シリーズのほかにも、「デルトラ・クエスト」など、数々のシリーズを生み出していますが、ローワンは段違いの傑作です。作家が名作を書くときは「言霊が降りる」と言われますが、まさに、そんな感じ。

 字はほどよい大きさで読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってあります。おすすめはだいたい小学校中学年から。しかし、ファンタジーとして良質で読み応えがあるので、大人でも読めます。

 第1巻の「ローワンと魔法の地図」は新品で購入できるので、これだけ読むのもおすすめです。通して読んだほうが話がつながりますが、それぞれでも話は完結していて、理解できるようになっています。おこずかいが足りないときは、ぜひ図書館で探してみてください。

 今の難しい時代に生きる子どもたちを励ます物語です。
 ファンタジーを愛する方には、子どもから大人まで、どなたにも強くおすすめしたい名作です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。怪物の描写が少し怖いのですが、ネガティブな要素はほとんどありません。HSPやHSCの方のほうが、多くのメッセージを受け取れるでしょう。

 内向的なお子さまには特におすすめしたい傑作です。ファンタジーがお好きなら、大人でも。
 暗い夜に、光をともしてくれるような物語です。

 

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