【嵐の守り手】時空が交錯する、本格ケルティック・ファンタジー開幕。読み応えあり【闇の目覚め】【小学校高学年以上】

2024年3月17日

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嵐の守り手 1  闇の目覚め キャサリン・ドイル/作 村山利佳/訳 評論社

フィオンのふるさと、アランモア島。彼がこの島に降り立ったとき、島は目覚め、すべてがはじまった。古の魔導士ダグザが遺した秘密、闇の女王の復活、そして、フィオン自身の運命が……

この本のイメージ ケルト☆☆☆☆☆ 本格ファンタジー☆☆☆☆☆ 時空が交錯する☆☆☆☆☆

嵐の守り手 1  闇の目覚め キャサリン・ドイル/作 村上利佳/訳 評論社

<キャサリン・ドイル>
アイルランド西部の大西洋岸で育つ。アイルランド国立大学ゴールウェイ校に学ぶ。祖父母が生まれ育ったアランモア島で語りつがれてきた物語や、実際に島で暮した自身の経験から発想を得て「嵐の守り手」シリーズを執筆。ゴールウェイを拠点としながら、ロンドンやアメリカでも生活。

<村上利佳>
南山大学外国語学部卒業。商社勤務を経て、翻訳の世界に。訳書に「気むずかしやの伯爵夫人」「人形劇場へごしょうたい」(偕成社)「名探偵テスとミナ」(文響社)シリーズなどがある。

 原題はStorm Keeper’s Island.原書初版は2018年。日本語版初版は2020年です。
 すごい作品が出てきたという感じです。

 主人公はフィオン・ボイル。内向的な男の子です。姉は勝気なサラ。そして、心を病んだ優しい母の三人暮らし。父コーマックは生まれる前に死んでいました。

 フィオンが休暇を過ごしに、父の故郷アランモア島に到着してから、島には不思議なことが次々と起こります。
 フィオンの祖父マラキーはキャンドル職人で、家で大量の、不思議なキャンドルを作り続けていました。それは、時間や天候が封じ込められた、魔法のキャンドル。マラキーは、島に選ばれた「嵐の守り手」だったのです。

 しかし、フィオンが島に到着するのと同時に、島に封印されていた闇の女王モリガンが目覚めはじめました。彼女を再度倒すために、魔導士ダグザの子孫たちが立ち上がる運命にあるのです。その鍵となるのが、「嵐の守り手」。

 そろそろ、代替わりの時期となった「嵐の守り手」の後継者は、一体誰なのか……

 と、いうのがあらすじ。

 とにかく構成がすばらしい。

 現代のアイルランド、アランモア島を舞台にしたファンタジーですが、敵らしき闇の女王モリガンと彼女を封印した古の魔導士ダグザの戦いが現代まで続いているなかで、主人公たちは時間と空間を何度も行き来します。


 パズルのように複雑な構成で、あらゆるところに細かな伏線があり、また、登場するキャラクターがすべて、表面的なイメージどおりではなく、様々な表情を見せるのです。

一見、嫌な感じに見えるキャラクターも、実は意外な別の面があったりして、最後まで読むとすべての印象が変わってくるのが面白い。

 主人公が内向的で家庭内で孤立気味のところや、父がすでに謎の死を遂げていること、古からの魔界のものが復活しようとしていること、生まれたときからその敵と戦う特別な運命があることなどは、「ハリー・ポッター」に共通点があります。

 また、無数にある時空を行き来する設定は、個人的な印象ですが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品の雰囲気に似ている気がします。これは、ダイアナファンははまるかも。

 「ハリー・ポッター」の少年漫画風のところと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの多元宇宙もののパズルみたいな魅力のいいとこ取りという感じです。

 キャラクターは「ハリー・ポッター」よりもDWJ寄りです。読み進めてゆくうちに、最初に感じた印象がどんどん覆されます。誰もが表面的な印象通りのキャラクターではないのです。

 ひとつのエピソードはいったんはこの本のラストで終了していますが、全体的なお話は終わっていません。どうやら、三部作になる予定のようです。

 この島の人々が使う魔法道具は杖ではなくてキャンドルだと言うのも、斬新です。たしかに、キャンドルには不思議な魅力があります。
 アイルランドの島の不思議な雰囲気と、主人公たちの現代っ子感覚、摩訶不思議なファナタジー要素が絶妙の配分で組み合わさり、本格ファンタジーが誕生しました。

 文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってありますので、小学校高学年から。主人公のフィオンが11歳なので、それくらいから大丈夫。が、かなりボリュームがあるので、がんばってコツコツ読む必要があります。
 もちろん、大人でも楽しめます。

 「ハリー・ポッター」「クレストマンシー」のファンはとくにおすすめ。ひさびさに、期待の本格ファンタジーの開幕です。すでに第2巻も刊行されているので、急いで読みますね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 いまのところ、流血・残酷シーンはありません。今後はどうなるかわかりませんが、かなり気をつけて書かれているので大丈夫ではないかと思われます。
 「ハリー・ポッター」のような内気な男の子の成長物語としても、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品のようなパズリックな多次元ものとしても面白く、夢中で読める大作です。

 読後はシロップたっぷりのフレンチトーストとミルクティーでティータイムを。

 

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