【ルルとララ】シャーベットを作ってみよう!不思議なお菓子屋さんと、氷の妖精のファンタジー【小学校低学年以上】
小学校低学年の女の子に大人気、ルルとララのクッキングファンタジーです。森の不思議なお菓子屋さんの小学生店長ルルとララ、そしておとなりのシュガーおばさんが、森の人たちの悩みを解決しながら、おいしいお菓子を作ります。さて、今回のゲストは氷の妖精です。どんな事件が起きるのでしょう。
この本のイメージ ほのぼの☆☆☆☆☆ レシピがいっぱい☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆
ルルとララのシャーベット あんびるやすこ/作 岩崎書店
<あんびるやすこ> 群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」「魔法の庭ものがたり」「なんでも魔女商会」シリーズなど。
森の小さなお菓子屋さん、小学生店長ルルとララシリーズです。ほかのシリーズに比べると、物語部分よりレシピ部分が多く、レシピのついた物語と言うより、物語のついたレシピという感じです。
今回のお菓子は「シャーベット」。夏にぴったりのお菓子です。
シュガーおばさんが森の入り口の広場で行われるパーティーに、氷の彫刻を飾りたいと言い出しました。それで湖の水を凍らせて、彫刻用の氷を作ったのです。
練習用の氷で、氷の妖精像を彫り上げたシュガーおばさん。これは、なかなか素晴らしい出来!
ところが、その彫像から、ほんものの氷の妖精が飛び出してきたので、さあたいへん!
いたずらな妖精に、家中のものを凍らされてしまいます。
ジュースや水、ヨーグルトがカチカチに凍ってしまったのを見て、困り果てていたルルとララですが、シュガーおばさんがシャーベットの作り方を教えてくれました。
そして……というお話。
このお話のポイントは、自分の評判は自分では正確にはわからない、と言うこと。
氷の妖精は、ふだんは冬に活動していたので、冬のさなかの森の動物たちの話しか聞けなかったのです。
「早く春になるといいね」とか、「冬は寒くてかなわないな」とか。
みんながこんなに春を待ち遠しく思っているってことは、自分はよっぽど嫌われているのね、と感じていた氷の妖精でしたが、真夏の暑い日に、森のウサギたちが冬の寒さを思い出し、凍った湖で滑るスケートや、草原の霜柱を踏んで遊ぶことを楽しみにしているのを知ってびっくりしたのでした。
自分たちの事を楽しみにしてくれている存在がいる……。
えてして人間(物語の中では動物たちですが)なんてそんなもので、真冬にはあたたかい春や夏を待ち望み、真夏には寒い冬を懐かしむものです。真冬にさんざん、寒い寒いとこぼされていた氷の妖精でしたが、真夏には待ち望まれていたのです。
これが、あんびる作品のやさしさだなあ、と、ひとりで感動。
たいていのお話の場合、自分の前ではいい顔をするけれど、実はかげて嫌われていました、と言う話が多いものですが、ここで逆を行くんですね。たしかに、影で悪く言われることもあるならば、影でよく言われることもある。それが世の常と言うもの。
本当は愛されていたんだ、と知った氷の妖精は、ルルとララに喜んで協力してくれることになりました。
氷の妖精とルルとララの三人は、協力していろいろなシャーベットをたくさん作り、たくさんのお客さんに喜んでもらうことができました。
めでたしめでたし。
心温まるお話に、かわいらしい挿絵だけでなく、ふんだんにレシピが入っています。読みながら「これを作ってみたい」「あれもおいしそう」と、あれこれ計画を立てるのも楽しそう。
おはなしを楽しむだけでなく、読んだらお菓子を作りたくなる、一冊で二倍楽しい絵本です。
お料理やお菓子が好きな女の子だけでなく、お料理に興味がある男の子にもおすすめです。
読み終わったら、一緒にシャーベットつくりもいいですね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。心温まるほのぼのファンタジーです。むしろ、HSCのお子さまにはおすすめの絵本です。読み終わったら、お菓子が作りたくなるシリーズなので、ぜひ、シャーベットつくりに挑戦してみましょう。
楽しさが二倍になる絵本です。
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