【こどもの日】【きみがいま】忙しいお父さんに読んでもらいたい!少年の日のきらめきを描いたアリスン・マギーの絵本。【読み聞かせ】【5歳 6歳 7歳】

2024年3月28日

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きみがいま アリスン・マギー/ぶん ピーター・レイノルズ/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社

君は今、出会うことすべてに夢中。小さな男の子が、好奇心いっぱいに人生で出会うすべてのことに喜ぶ様子を描いた絵本。こどもの日にぴったりの、愛情にあふれたメッセージ絵本です。

この本のイメージ 子どもへの愛☆☆☆☆☆ 今を生きる☆☆☆☆☆ 人生のすばらしさ☆☆☆☆☆

きみがいま アリスン・マギー/ぶん ピーター・レイノルズ/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社

<アリスン・マギー>
児童書作家。“Rainlight”でミネソタ・ブック・アワード受賞、“Shadow Baby”でピューリッツアー賞にノミネートされるなど、高い評価をえた作品を発表しつづけている。メトロポリタン州立大学で創作を教えている。ミネソタ州在住

<ピーター・レイノルズ>
絵本作家、イラストレーター。「てん」、「ジュディ・モード」シリーズのイラストなど作品多数。米国マサチューセッツ州在住 

<なかがわちひろ>
創作絵本や海外絵本の翻訳など、児童書のさまざまな分野で活躍。「天使のかいかた」「まほろ姫とブッキラ山の大テング」など。

 日本では、五月五日は端午の節句、こどもの日です。
 昔は、三月三日が桃の節句で、女の子の成長を祝い幸せを祈る日、五月五日は男の子の成長を祝い幸せを祈る日とされていましたが、昭和中期以降は五月五日は性別関係なく子どもの成長と幸せを祈る「こどもの日」となりました。

 本日ご紹介する絵本は、アリスン・マギーのメッセージ絵本、「きみが いま」です。原題は、Little Boy.アメリカでの初版は2008年。日本での初版は2019年です。

 ちいさな男の子が、目にするものすべてに驚き、好奇心をもち、毎日を思いっきり生きる様子が描かれています。

 きみがいま むちゅうなのは
 きいろい カップ おはようの うた きらきら まぶしい あさのひかり  にじいろに かがやく むしの はね  そして・・・
 おおきな ダンボールばこ(引用)

 男の子は、毎日いろんなものに夢中になり、最後に大好きな段ボール箱遊びに帰ってきます。
 そして、男の子が成長するたびに、夢中になって遊ぶ段ボール箱の大きさが大きくなってゆきます。

 動物と遊んだり、水溜りではねたり、砂遊びをしたり、
 背丈を計り、料理をし、サッカーをしたり、宇宙に夢中になったり……

 そして、段ボール箱はその都度、車になったり、台になったり、船になったり、秘密基地になったりします。

 そうそう、小さい頃って、どうしてだかダンボール箱が好きだった。箱って、子どもにとって想像力でいろんなものになりました。

 この絵本は、小さな子どもが自分で読んでも「ふうん」で終わってしまうかもしれません。けれど、保護者の方が読むと、お子さまとのかけがえのない一瞬一瞬が輝いて、蘇ってくるのではないかと思います。

 また、もしかしたら、母親が娘の将来に思いを馳せ幸せを祈る「ちいさなあなたへ」の男の子版を期待された方は、「少し違うな」とお感じになり、がっかりしてしまうかも。

 しかし、この絵本の中に「お父さん」の姿が登場するように、これはお父さんが男の子に読み聞かせをすることを想定して書かれた絵本のようなのです。

 多くの場合、家庭のお父さんは仕事で忙しく、子どもの「今」すら知らないことが多いものです。むしろ、子どもの将来については、家に帰らなくても、子どもと一緒にいなくても、親の頭の中だけであれこれと考え、計画することもできます。

 しかし、我が子の今は「いま」だけ。

 男の子は、将来のことなんて考えもせず、目の前の出来事に夢中。大好きな段ボール箱に夢中です。
 そして、この一瞬一瞬は、二度と戻ってこない、かけがえのない瞬間なのです。

 おそらく、この絵本は「パパこれ読んであげて」とお父さんに読み聞かせをお願いすることによって、「お父さんと子どもに『今』を共有してもらおう」と言う意図があって作られたのではないでしょうか。

 お父さんに背丈を計ってもらったりお父さんと一緒にお菓子を作る男の子は心の底から幸せそうです。

 土曜日の夜に一緒に絵本を読み、読みながら「お、うちでもやってみたいな」と、翌日の休日に一緒にボール遊びやクッキーつくりが出来たら楽しいかも。

 お父さんと息子の距離を縮めてくれるかしれない絵本です。やんちゃな男の子がいるおうちは、お父さんの読み聞かせ用に一冊、いかがでしょう。

 また、この絵本は、もう大きくなってしまった男の子を持つ保護者の心にしみる絵本でもあります。息子さんのお誕生日や、卒業、成人、就職祝いなどに、「こんな気持ちで見守っていたんだよ」との想いをこめてプレゼントするのもおすすめです。
 きっと、想いは伝わるはず。

 今日は「こどもの日」。幼かった頃、なんにでも夢中になれた頃を思い出し、大切な人と、大切なお子さまと、または一人で、絵本を読む素敵な時間を過ごせますように。

 ※まったくどうでもいいことですが、この男の子、「誰かに似てるなあ」と思って読んでいたのですが、フィギュアスケート選手の鍵山優真選手にそっくりなのです。お父さんと仲良く遊ぶ様子がとてもほほえましく、読んでいて鍵山選手を思い出してしまいました。ほんとにかわいいんですよ。(←まさにどうでもいい)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。お父さんから息子への愛にあふれたメッセージ絵本です。どちらかと言うと、子ども心より大人の心を揺さぶる言葉が書かれており、おそらくは、忙しくてあまり家にいないお父さんに、たまの休みに読み聞かせをしてもらって親子の時間を増やしてもらおうという意図があって作られた本のように思えます。

 「たまには家で子どもの面倒を見てよ」と口で言うよりも、理解してくれるかも。そんな絵本です。
 また、成長した息子さんへのプレゼントにもおすすめです。

 

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