【しあわせなクレヨン】だれにだって素敵な魅力がある! クレヨンたちのものがたり【4歳 5歳 6歳】

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しあわせなクレヨン 丸山陽子/作 BL出版 

箱のなかのクレヨンは、使われるのを待っていました。どんな子が使ってくれるのかな? ルーカスと言う男の子が持ち主となって、クレヨンでいろんな絵を描きました。花の咲く木やボートが浮かぶ海や、ハロウィンのおばけたち……でも、白いクレヨンだけは使われませんでした。

この本のイメージ 絵を描く楽しさ☆☆☆☆☆ 誰にでも魅力がある☆☆☆☆☆ 隠れた力☆☆☆☆☆

しあわせなクレヨン 丸山陽子/作 BL出版 

<丸山陽子>
本と自然や動物が好きな子ども時代を過ごす。デビュー作「もりのおるすばん」(童心社)は、ボローニャ絵本原画展に出展され好評を得て、イタリア、中国でも刊行された。2014年ボローニャ絵本原画展特別展示「スポットライト オン リーディング展」に入選後、海外を舞台にした「LITTLE SANTA」(2017年minedition社)を発表し、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、ウクライナ、韓国、イギリスで出版された。
本書は海外から刊行された2冊目の絵本となり、先にフランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、 カナダで出版された。

しあわせなクレヨン 丸山陽子/作 BL出版 

 やさしい絵の絵本です。どうやら先に海外で出版されたものの日本語版のようです。英題はThe Forgotten Crayon.英語版の初版は2019年。日本語版の初版は2020年です。

 お話は……

 12色の新品のクレヨン。だれの家にもらわれてゆくのでしょうか。みんなわくわくしています。
 ルーカスという男の子がクレヨンの持ち主になりました。

 きみどりいろとみどりいろ、ちゃいろとピンクで、草原に立つ花の咲いた木を描きました。夏になると、水色のクレヨンで海を描き、青いクレヨンでボートを描きました。

 秋がきて、ルーカスは赤や黄色、オレンジのクレヨンでハロウィンの絵を描きました。

 使われたクレヨンたちは短くなったけれど、みんなとても幸せそうでした。

 そのあとも、ルーカスはいろんな絵を描きましたが、白だけは一度も使われませんでした。一度も使われないまま、クレヨンはフリーマーケットにだされることになってしまいました。

 でも、誰もクレヨンに見向きもしません。

 誰にも買われずにこのまま捨てられてしまうのかな……そう、クレヨンが思ったとき、エマと言う女の子がこのクレヨンを見つけます……

 ……と、いうのがあらすじ。

 白いクレヨン、小さな子どもには使い道がわからないかもしれません。たしかに、子どもの頃、白のクレヨンはいつもあまりがちでした。けれども画材の使い方を知ると、白はとても面白い色だとわかります。

 白の使い方は、絵を描く子の個性がいちばん出るのです。

 エマは、彼女の独創的な力で、白のクレヨンで楽しい絵をたくさん描きます。いろんな画材を組み合わせて描いたり、エマは絵を描くのが好きなだけでなく、「こう」という固定観念があまりない子のようです。

 彼女と出会うことで、白いクレヨンは隠れた魅力を発揮して大活躍することになりました。

 自分には何の能力も無い、何の魅力もないと思っていた子が、とんでもない才能にあふれている場合もあります。

 このサイトで取り上げているHSPHSCもそうです。繊細で感じやすく、さまざまな情報を受け止めてしまうHSC。

 彼らにとって、世界の情報は多すぎて、ときに、受け止めかねてしまいます。
 そんな人に対して、「倉庫管理とか人と接触しない仕事につけばいいよ」とアドバイスする人もいます。
 それはそれでその通りなのですが(良いアドバイスではある)、「繊細で感じやすい」と言うのは、弱点なだけではなく長所でもあるので、その特質を生かせば、他の人にはできない分野で才能を発揮できる可能性もあるのです。

 細かいところに気がつくなら商品チェックや検品、匂いに敏感なら微妙な香りを嗅ぎ分ける仕事、音に敏感ならオーディオや楽器関係などなど……もしかしたら、探せばその人だけの特技があるかもしれません。

 この物語では、エマちゃんが白いクレヨンの魅力に気づきました。彼女は白いクレヨンを使って、どんどん魅力的な絵を描きます。白いクレヨンも幸せそう。

 やさしくて可愛らしいお話ですが、多くのメッセージがあふれています。
 内向的で、大人しいけれど我慢強い、そんな白いクレヨンのようなお子さまに、クリスマスプレゼントとしていかがでしょう。

 文章は読みやすく、字はほとんどひらがなとカタカナですが、わずかに使われている漢字にはすべて振り仮名がふってあります。

 白いクレヨンの隠れた魅力が浮かび上がってくるラストは美しいだけでなく、心がほっこりとあたたかくなります。

 寒い日に、あたたかいおうちの中で、ぜひ読み聞かせしていただきたい、しあわせ絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。シンプルなお話ではありますが、HSPHSCのお子さまのほうが、より多くのメッセージを受け取れるでしょう。
 物にも心があると思えるお子さま、絵が好きで、感受性がするどいお子さまにはよりおすすめです。きっとクレヨンで絵を描きたくなります。

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