【時間割男子】これできっと勉強が好きになる?前代未聞の乙女ゲームチック五教科擬人化ラブコメ第9巻【想い伝われ、文化祭!】【小学校中学年以上】

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時間割男子 9 想い伝われ、文化祭!  一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫

わたし、花丸円(まどか)。国語算数理解社会英語の教科書が変化(へんげ)した、不思議な「科目男子」たちと一緒に暮らしているの。もうすぐ文化祭。科目男子たちと最高の思い出を作りたいな。そんなとき、親友の優ちゃんが……

この本のイメージ 五教科擬人化☆☆☆☆☆ この発想はなかった☆☆☆☆☆ 人間と人外との恋☆☆☆☆☆

時間割男子 9 想い伝われ、文化祭!  一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫

<一ノ瀬三葉>
東京都在住。 おうし座のO型。『トツゲキ! 地獄ちゃんねる』で第4回角川つばさ文庫小説賞《大賞》受賞。主な作品に「ソライロ♪プロジェクト」シリーズ(角川つばさ文庫)などがある。

<榎のと>
榎のと:マンガ家・イラストレーター。主な作品に「うちタマ?!」(KADOKAWA)、「僕らに恋は早すぎる」(一迅社)などがある。

時間割男子 9 想い伝われ、文化祭!  一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫

 前代未聞の五教科擬人化ラブコメファンタジー、「時間割男子」の第九巻です。第六巻で英語担当エイトくんも参戦、四教科から五教科になりました。初版は2022年7月。

 この記事から最初に読んだ方は、あまりの設定についてゆけないかもしれないので、まずは第1巻からお読みください。

 第1巻のレビューはこちら

 このブログでは、定期的にお子さまが学校の勉強が楽しくなりそうな本をご紹介しています。
 学生時代、毎日の大部分を学校とその勉強に使います。だから、「学ぶこと」が楽しくないと、毎日がなかなか楽しくなりません。

 「勉強が楽しくなくても、学校に友だちがいれば学校は楽しい」とはよく聞く言葉ですが、その場合、人間関係がすべてを決定してしまいます。もちろん、人間関係は大切ですが「学ぶ」ことそのものが楽しければ、学校生活ももっと楽しくなるはず。とはいえ、そんな簡単な問題でもないんですけども。

 「子どもが学ぶことを楽しめるような本は無いかな……」と探していたときにめぐり合ったのがこれ。一ノ瀬三葉先生の「時間割男子」。

 国語算数理解社会英語の五教科の教科書が人間に変化してヒロインまどかちゃんの勉強を手伝うという、五教科擬人化乙女ゲームチックラブコメ(!)。

 小さい頃にお父さんを亡くしたまどかちゃんは、お母さんが大好き。でも、お母さんは病気で死んでしまいます。

 大好きなお母さんを喜ばせるために勉強していたまどかちゃんは、自暴自棄になって教科書を捨ててしまいました。しかし、「神様のはからい」でその教科書たちは人間になって、彼女の家にやってきてホームステイすることになったのでした。

 「家族」が増えたまどかちゃんは、家族と過ごす楽しい日常を取り戻します。

 しかし、そこに大きな問題が。
 まどかちゃんのテストの点数が、科目男子たちの「寿命」と連動しており、まどかちゃんが0点を取ると、その教科の男子は死んでしまうのです!

 ……これが基本設定。
 いや、一ノ瀬先生、天才過ぎでしょう。

 最近になって、この科目男子は教科書の「付喪神」の一種だということがわかり、彼らを人間に戻すことができるかもしれない「古文書」が発見されます。

 うひい、この突拍子もない設定にオカルト的つじつまがあってまいりました。死んだお父さんは民俗学者だったとわかり、まどかちゃんはこの古文書の謎を解こうと奮闘します。

 今回のお話は、そんなメインストーリーから少しだけ外れて、まどかちゃんの親友成島優ちゃんのお話がメインになります。

 いつも仕事で忙しいお父さんとお母さんを安心させたくて、勉強もスポーツもがんばる優等生の優ちゃん。文化祭では、苦手な合唱にも挑戦し、なんとか両親に自分のがんばる姿を見せたいようです。

 なぜって、小学校最後の文化祭だから。
 でも……

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 お父さんと一緒にいたい、文化祭をみてもらいたい、ほんとうは寂しい、など、優ちゃんは両親に迷惑をかけたくないために、いろんなことを言わずに我慢してきました。

 今回は、優ちゃんがそれをがんばって伝えるお話です。

 不平不満を言わず、いつも笑顔で全力でがんばる……
 それは、すばらしいことだけど、もしかしたら、小さな子どもの心にはたいへんな負荷がかかっているのかもしれません。

 ご存知のように、この国では2011年に大きな震災があり、それからも天変地異が度重なることとなりました。
 2011年の震災だけでなく、その後の災害や伝染病など突然のことで大切な人を失った人も多いはず。

 あれ以降、「日ごろから身近な人になるべく感謝の言葉を伝えようと心がけるようになった」と言う話をよく聞きます。いつ死ぬかわからないからです。

 いつ死ぬかわからないと思うと、つまらない喧嘩をしないで仲良くしようとか、ネガティブな言葉で会話を切らないようにしようとか、別れ際は明るい会話にしようとか、そんなことが気になってしまいます。

 けれども、逆に、そうなるとネガティブなことを過剰に我慢することにもなってしまいかねません。

 「本当は言いたいことだけど、わがままになっちゃいけないな」と言いたいことを飲み込んでしまったり。
 そして、それは、知らず知らずのうちに積み重なってゆくのかも……。

 優ちゃんは、両親に心配をかけたくなくて、常に笑顔で頑張る子です。
 忙しいお父さんに「どうしても文化祭に来て欲しい」と言うことができませんでした。でも、その我慢がだんだん辛くなってきて、悲しみがあふれ出しそうになっていました。

 もしかしたら、こう言う人、今、増えているのかもしれません。
 災害や伝染病など、不測の事態が続いていて、景気も不安定、皆、忙しく働いています。
 そのうえ「いつなんどき、何があるかわからない」と思うと、不平不満を出すタイミングがわからなくなってしまいます。それに、そもそも不平不満って、あんまりいいものじゃないですしね。

 でも、だからといって限界まで我慢してパンクしてしまったら……

 そういう意味でも、この優ちゃんのエピソードには、救われる子も多いのではないでしょうか。我慢しすぎないで、してほしいことは相手に伝えてもいいのです。
 優ちゃんの事情におせっかいだと知りつつ介入するまどかちゃんの友情も熱い。

 様々な困難を一緒に乗り越えてゆく、まどかちゃんと科目男子たち。これからの展開も楽しみです。

 文章は読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってあります。面白くてかわいくて、知育要素もある、新感覚ファンタジーです。今回は、勉強だけでなく音楽や合唱の楽しさ、みんなで一つのことをやり遂げる喜びなども描かれています。

 まずは試しに第1巻から。そして、面白ければ、つづきを。
 新感覚の乙女ゲーム風ファンタジー。勉強が好きになりたい女の子におすすめです。

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。乙女ゲーム要素もあって、ラブコメとしても面白く読めます。今回は、まどかちゃんと親友の優ちゃんの熱い友情のお話でもあります。今回は音楽や合唱の楽しみ方も書かれています。

 読後はまどかちゃんの大好物のプリンでティータイムを。

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