【時間割男子】勉強が楽しくなる、前代未聞の乙女ゲーム風四教科擬人化ラブコメ、第2巻!【消えないで、カンジくん!】【小学校中学年以上】
わたしは、花丸円(はなまるまどか)。ママが死んじゃって勉強なんてどうでもよくなっていたとき、4人の不思議な男の子があらわれたんだ。それは、四教科の教科書が「神様のはからい」で変化した男の子たち。彼らが家庭教師となって……
この本のイメージ 抱腹絶倒☆☆☆☆☆ この発想はなかった☆☆☆☆☆ 乙女ゲーム風ラブコメ☆☆☆☆☆
時間割男子 2 消えないで、カンジくん! 一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫
<一ノ瀬三葉>
東京都在住。 おうし座のO型。『トツゲキ! 地獄ちゃんねる』で第4回角川つばさ文庫小説賞《大賞》受賞。主な作品に「ソライロ♪プロジェクト」シリーズ(角川つばさ文庫)などがある。
一ノ瀬先生がおくる、前代未聞の四教科擬人化ラブコメ、「時間割男子」の2巻目です。今回はストーリーが少し複雑になった分、知育部分は少なめ。
けれども、要所要所に豆知識などが挿入されています。
今回のお話は……
テストの点数がいちばんよかったのにもかかわらず、身体が透明になり、消えかけているカンジくん。
まどかは、カンジくんを救おうと、国語を必死で勉強します。ところが、成績が上がっても、カンジくんの症状はいっこうによくなりません。
そんなとき、体育祭の季節がやってきました。勉強をしなければならないまどかを思いやり、ケイくんは「体育祭をボイコットする」と宣言して騒ぎを起こします。
それは、まどかが体育祭を休みやすくするため。カンジくんを助けるために勉強しなければならないまどかに時間を作ってあげるためでしたが、そこへ親友の成島優ちゃんが異を唱えます……
と、いうのがあらすじ。
今回は、カンジくんを救うまどかたちのがんばりと、親友の優ちゃんの問題などが絡み合ったストーリーです。
優ちゃんは、この巻から、四教科男子たちと深くかかわるようになります。
第1巻で「誰かのために勉強する」から「勉強が楽しいから勉強する」へと成長したまどかですが、今回はふたたびカンジ君のために勉強しようと頑張りはじめます。
でも、カンジくん本人は、そういう無理なプレッシャーを「まどかに負担をかけている」と思っていたようで……
今回は、まどかと優ちゃん、四教科男子の心の交流とともに、「身体を使っておぼえると記憶が定着する」と言う、脳科学的アプローチも導入されています。なにげにすごいです、この小説。
勉強って、嫌々やっていても苦行なだけだし、強制されて勉強していても「どうしてこんなことしなければならないの」と疑問もわいてきてしまいます。学校で教わることがそのまま社会で使われている場面って、実際にはあんまり見ないですからね。
けれど、たいていのことは成長してから学ぶことの基礎になっているので、知らないよりは知っていたほうがいいし、本来は「知らなかったことがわかるようになる」のは楽しいこと。
その「知る楽しさ」「学ぶ楽しさ」がどうすれば感じられるようになるのか……子どもの頃に「その感覚」にいち早くたどりついた子は幸運です。
そして、すべての学びの基礎になるのは「読解力」。
読解力は、大量に本を読むことで培われます。とくに幼児期は「読む楽しみ」を知るためなら、本のジャンルはなんでもよく、読む人が「楽しい」と思えるものをどんどん読んだほうがいいのです。このあたりのことは読書術の本のレビューで紹介しています。
文学作品は深い情緒を育てますが、推理小説は論理的に考える力を、ファンタジーは創造力を育みます。親しみのある、漫画調の表紙や挿絵だと、とっつきやすく読みやすいので、読書を好きになってもらうのには効果的。
小さなお子さまが勉強がもっと好きになって、勉強の楽しさを感じられるような、そんな本はないかしら……
そう思って探していたときに、見つけたのがこのシリーズです。
四教科擬人化ラブコメ。
国語、算数、理科、社会の四教科の教科書がイケメンボーイズに変身し、自宅にホームステイ、家庭教師となって勉強を教えてくれると言う、乙女ゲームチック知育ファンタジー(?)です。
算数の化身、算数ケイくんは、毒舌のクール系。
国語の化身、国語カンジくんは、やさしくて理知的。
理科の化身、理科ヒカルくんは、かわいくてキュート。
社会の化身、社会レキくんは、明るいプレイボーイ系の男の子です。
しかも、テストの点数が四教科男子たちの寿命と連動していて、悪い点を取ってしまうと、やがて彼らは消えてしまうのです……彼らの命を助けるためには、まどかが勉強しないと!
すごい設定だ…… 一ノ瀬先生、天才じゃないかしら。
今回は、「体育祭」と言う、四教科以外にも学校には大切な科目があるよ、と言うお話なので、まどかは文武両道を目指して頑張ります。まどかちゃんも、一歩ずつ成長しているのです。
「どうしたら娘が勉強好きになってくれるかしら」とお悩みのお母さま、もしかしたらこの本が解決してくれるかもしれません。漢字にはすべて振り仮名が振ってあるので、小学校中学年以上の小説ですが、かしこい子なら低学年からでもコツコツ読めば読めると思います。小さなお子さまなら、読み聞かせしてみても。
「さあ、カンジくんのために漢字の勉強しようね」と言ったら、がんばるかもしれません(?)。
物語が完全に続いているので、まずは「第1巻」から。
ナンセンスファンタジーとしても純粋に面白いので、おすすめです。電子書籍もあります。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。大爆笑のトンデモファンタジーです。登場人物は善良な人ばかりで、悪人のいない、やさしい世界です。
知育要素もあり、読書中に学んだことや気になったことを読後にインターネットで調べる横展開も期待できます。
勉強嫌いの子がだんだん勉強が好きになってゆくお話なので、読書慣れしていない子や、勉強嫌いの子にもおすすめです。
読後は、まどかの大好きなプリンでティータイムを。
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