【読書と子育て】学力向上だけじゃない読書の効能。小学校では学べない、一生役立つ読書術。【小学校低学年以上】
読書することで、君も今日から魔法使いだ! 読書をすると、成績がみるみる良くなるし、他の人が考えていることがわかるようになるし、過去のことも未来のこともわかるようになんだ! この本では、そんな読書術をおしえてあげるよ!
この本のイメージ 読書の効能☆☆☆☆☆ 読書術☆☆☆☆☆ 大人にも有効☆☆☆☆☆
小学校では学べない 一生役立つ読書術 斎藤孝/著 KADOKAWA
<斎藤孝>
明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導
このブログでは、子供から大人まで楽しく豊かな読書ライフをサポートする本や記事をご紹介しています。本日ご紹介するのは、教育学者の斎藤孝先生の子供向け読書指南書です。
わたしが若い頃も、クラスでの成績が下から数えたほうが早かったような子が、夏休みの間に大量読書をして、休み明けには成績がトップクラスになったことがありましたが、このような事例は珍しくないようです。
成績を上げる近道は読書。本をたくさん読むことで、読解力や理解力、論理的思考や推理力が身につきます。これは、どのような読書術本にも共通して書いてあることですが、教科書や参考書、純文学でないといけないわけではなくて、どんな本でもいいそうです。
むしろ、本の質を選ぶよりも、量を読むほうが効果が高いとされ、とっかかりを掴むために、漫画やアニメーションのノベライズや、かわいい漫画風のイラストが挿絵の本や、アニメの原作などから入ってもいいのだ、と言うのも共通しています。
とにかく、たくさん読むことが大切なのです。
これは大人にも言えることだと思います。
今は、世の中が不安定で、将来、社会がどうなってゆくのか、予測できません。一昔前なら、いい大学に入っておけば、とか英語ができれば、とか、理系の科目の成績がよければ、とか、それなりの生き残り術があったのですけど、今はまったく不透明です。
けれども、どんな世の中にも共通する力というものがあって、それが「読解力」なのです。
読解力とは、文章を読んで、それが何を伝えようとしているかを理解する力です。どんなものでも言葉で書いてあるので、言葉を理解する能力を身につけると、成績がぐんと上がります。
その読解力を上げる近道が読書です。
たくさん本を読むことは、いかなる勉強や仕事においても、地力を上げるいちばんの近道。そして、もっとも簡単で手軽な方法です。
この本では、読書のゴールデンエイジと言われる小学4年生から中学2年生までの間に、どれくらい本が読めるか、読書をより好きになり、たくさんの本を楽しみながらより多くのことを学べるように様々なノウハウが書かれています。
以下項目のみを引用
第1章 まずは「本を好きになる魔法」を教えよう!
この本では、読書好きになるためのとっかかりについて書かれています。
まずは1冊、どんな本でもいいから読みきること。本を1冊読みきると、「達成感」を感じることが出来ます。
そして次に10冊読むこと。10冊読みきる頃には、読書好きになっている、と言うわけです。
確かに10冊読むと自信がつきますね。読みたい本リストをノートに書いて、読んだあとチェックマークしてゆくのも楽しいし、達成感があります。
また、お母さんに本をおねだりする方法なども書かれていて、ちょっとかわいい。
※賛否両論あるだろう項目について
この本では、楽しく読書するために、「本に書き込みをする」「心に残るページを折る」方法をすすめていますが(もちろん、他人の本ではしてはいけないと書いてあります)この方法は、教科書や参考書、ビジネス書ならいいけれど、小説や詩集などでは抵抗がある方もいるはず。
とくに、小説だと、書き込んだり汚したりしてしまうと年下の子にお下がりしてあげられなかったりするので、本が貴重品だと考えると、なかなか難しいと思います。(わたしならしません)
なので、折ったり書き込んだりするかわりに、ふせんを使ったり、心に残った箇所を自分の読書ノートに書き込む方法をすすめてみてはいかがでしょう。もし、どうしてもお子様がこの本の内容に影響を受けてしまうのがご心配な場合は、この四ページのみ、袋とじにしてしまってもいいと思います。
第2章 「タイムスリップの魔法」で大冒険だ!
この章では、本の中に「自分だけの師匠」を見つけたり、「芋づる式読書」で好みの本を見つけたり、本屋さんや図書館を探検したり、と言う、読書の活用法が書かれています。
本を読むことに慣れてきたら、「本を探し出す」能力を身につけるとき。
好みの本に出会えた喜びも、この時期に知ることになります。
第3章 「頭がよくなる魔法」を教えよう!
この章がいちばん大切なことが書かれています。
読書による学力向上のコツの章ですが、
・頭の良い人の本を読むだけで自分も頭が良くなるので、古典や名作と呼ばれているものを読む
・読書することで語彙力を増やす
・読書することで登場人物の心情を理解し、他人の心を思いやれる人になる
・本を読みながら場面を想像し、想像力を育む
・文脈や伏線を野解しながら読むことで推理力を育む
・本の内容を他人に話すことで要約力がつく
・音読することで脳を活性化させる
・ストップウォッチを使って読書することで、読書意欲だけでなく読書スピードも上がる
なかなか実際的なノウハウが満載です。
100年以上前の児童文学は、当時たとえ子供向けであっても小説を書いて出版することができるのは一部のインテリしかいなかったことから、高度に計算された深い物語が多いのです。ですから、古典名作と呼ばれる物語をなるべく読むことは、様々な学びをもたらしてくれます。
また、ストップウォッチを使って読む方法などは、大人でも実践すると効果がありそうです。音読は、親子なら互いに読み聞かせするなどすれば、楽しそうですね。
小さなお子様の読み聞かせの相手は、動物やぬいぐるみでもいいようです。
第4章 ヒミツの「上級魔法」を教えよう!
この章では、10冊以上本が読めた子の次の段階について書かれています。
複数の本を同時に並行して読書する方法や、論説文を読むとき結論から先に読む方法など。
第5章 最後に「勉強が得意になる魔法」を教えよう!
この章はまとめです。本をたくさん読むと、国語力が上がり、国語の成績が上がると他の科目の成績が全体的に底上げされると言う理屈が書かれています。
読書感想文は、「名場面ベストスリー方式」をすすめています。
巻末には、著者の斎藤先生おすすめ70冊リストもあり、至れり尽くせりです。
あとがきには、読書のすばらしさだけではなく、何かを達成するために一番大切なことも書かれており、最後まで子供たちの「学び」に関して、真剣で心のこもった言葉が詰まっています。
大人が読んでも、本を読み始めた頃のわくわくした気持ちが戻ってきて、しみじみと良書だと感じます。
わたし自身、初心に戻って絵本や児童書から読書習慣を再開しています。
この記事では、要点だけを簡単にご紹介していますが、本にはたくさんのノウハウが詳しく書かれているので、興味をもたれたら購入されてお読みになることをおすすめします。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
「本に書き込みをする」「本を折る」と言う箇所に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
それ以外は、とても参考になる良書です。小さなお子様が本に興味を持てるよう丁寧に書かれており、全ページにわかりやすくかわいらしいイラストがあり、男の子でも女の子でも楽しく読めるよう、配慮されています。
この本そのものを読み聞かせしてあげるのもいいかも。
大人の読書指南書としても、けっこういけます。おすすめです。
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