【風の丘のルルー】生きる意味とは? 児童小説の名作を電子書籍で。人生を考える第7巻【魔女のルルーと楽園の島】【電子書籍】【小学校中学年以上】
死んだ姉エルナが話していた楽園の島に行ってみたくなったルルー。旅の途中で同じように楽園の島を目指す人々と出会い、彼らとエメラルド島にたどり着いたルルーは…… (魔女のルルーと楽園の島 風の丘のルルー 7 村山早紀/作 ふりやかよこ/絵 ポプラ社)
この本のイメージ 異世界ファンタジー☆☆☆☆☆ 生きる意味☆☆☆☆☆ 人生とは☆☆☆☆☆
魔女のルルーと楽園の島 風の丘のルルー 7 村山早紀/作 ふりやかよこ/絵 ポプラ社
<村山早紀>
1963年長崎県生まれ。日本の児童小説作家。「ちいさいえりちゃん」で毎日童話新人賞最優秀賞、椋鳩十児童文学賞を受賞。主な作品は『シェーラひめのぼうけん』『新シェーラひめのぼうけん』シリーズ、『風の丘のルルー』シリーズ、『はるかな空の東』などであり、近年は風早の街を舞台にした『コンビニたそがれ堂』シリーズ、『カフェかもめ亭』シリーズ等が人気を博している。
<ふりやかよこ>
山口県生まれ。 大分県立芸術短期大学油絵科卒。 「ばあちゃんママのなつやすみ」で絵本にっぽん新人佳作、「いらいらあきあきとりかえっこ」でニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞。
2004年にポプラ社から出版された児童文学の名作です。現在は電子書籍で全巻読むことができます。
お話自体は一話完結の形でどこから読んでもわかるようになっていますが、大きな流れはありますのでルルーが風の丘で暮らすようになった第1巻から読み始めたほうがわかりやすいでしょう。まずは、第1巻「魔女の友だちになりませんか?」から。
「魔女の友だちになりませんか?」のレビューはこちら↓
今回のお話は……
昔、姉エルナから聞かされた、人魚のいる海にうかぶ南の島の話を思い出したルルー。休暇をとって姉さんが話していた島へ行ってみたくなりました。
旅の途中で出会った医師のエルネストと看護士のハニー、奇術師のイルバチオ、作家志望のジェーン。
ルルーは彼らとエメラルド島にむかいます。
そこで彼らが見たものは……
……と、いうのがあらすじ。
ルルーの物語はこれで最後。
今回のお話は、様々な解釈が出来ますがわたしが受け取ったメッセージは「限りある命をどう使うか」でした。
魔法を使う代償として命を削り、どんどん寿命が短くなる魔法使い。
生まれつき魔法を使う力があり、はてしなく長い時を生きるかわりに死んだあとは身体も残らず消えてしまう魔女。
どちらの人生がいい、悪いではなく、どちらも誰かを助けるために懸命に生きる……
人間の寿命はその人自身が決めることはできません。
人生には個人のがんばりや努力ではどうしようもないことがいくつかあって、それが「寿命」です。
けれど、その「どうしようもない問題」にも、選択肢はいくつかあって、それが「どう生きるか」なのです。
この歳になると、友だちが現世から旅立つのを見送ることもあります。自分が体調を崩し、残りの人生を考えるときもあります。
けれど、はっきりしていることは、欲望のままに生きようが他人のために生きようが、長生きしようが短い人生だろうが一生は一生。その人ができることは「今」を「どう生きるか」を選択することだけ。
魔女と魔法使いは寿命の長い短いの差はあれど、「誰かの役に立ちたい」「苦しんでいる人を助けたい」と言う気持ちは同じでした。
魔法を使うたびに命を削り続ける魔法使いも、人間たちを置いてずっと長生きしなければならない魔女も、人を助ける喜びもあり大切な人と別れる悲しみもあるのは同じ。
「人生の価値は長さじゃないんだな」としみじみ感じます。
昔は「七歳までは神のうち」と言われました。
小さな子どもは七歳くらいまでは、ふいの事故や病で簡単に死んでしまうことが多かったからです。
そして、そんな幼児期は自分が「生きている」と言う認識すら、ぼんやりとしたものでした。
小学生低学年の頃は、まだまだ「命」の概念があいまいです。
死別した祖父母も、翌日になればまた会えそうな気がするし、なんとなくまだすぐ傍にいる気がしてしまう。どこへ行ってしまったのか、ぴんとこない時もあります。
成長して、だいたい小学校中学年くらいからなんとなく「命とは」「死とは」を考えるようになります。
このような時期に「生きるとはどういうことなのか」「人生の目的とは何か」と言うような哲学的な問題に出会えるとその子の人生は深いものになります。
もちろん、その年齢で結論が出せる問題ではありませんが「考える」ことで、命の大切さを考えたり他者への思いやりを学んだりと多くの複雑な情緒が芽生えるのです。
「風の丘のルルー」は、人生における様々な課題を真正面から受け止めるルルーのすがたを通してわたしたちに心の奥にある純粋な気持ちの大切さに気づかせてくれます。
誰かを助けたいという気持ち、大切な人を笑顔にしたいという願い……
児童文学には、小さな子どものくじけかけた心を励まし、疲れた大人の心にピュアなパワーを蘇らせてくれる力があります。
秋深まる季節に、ちょっとせつない魔女物語を。
電子書籍なので、電子書籍リーダーがあればいつでもどこでも手軽に楽しめますよ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。哀しいシーンはありますが気をつけて書かれています。非常に繊細なお話なので、HSCのお子さまのほうがより多くのメッセージを受け取れるでしょう。
読後はふわふわのドーナツとあたたかい紅茶でひとやすみを。
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