【14ひきのあきまつり】不思議な森の秋祭り！やまねずみ大家族のロングセラー絵本【14ひきシリーズ】【3歳　4歳　5歳】

2023年10月16日2024年4月14日

秋です。森でこどもたちはかくれんぼ。あれれ、ろっくんが見つからないよ。みんなでろっくんを探しているうちに、森のきのこたちの秋祭りに出会いました。かえるも虫も参加してなんだか楽しそう……　(14ひきのあきまつり　いわむらかずお/作　童心社　)

この本のイメージ　動物ファンタジー☆☆☆☆☆　大家族☆☆☆☆☆　秋の森☆☆☆☆☆

14ひきのあきまつり　いわむらかずお/作　童心社　

＜いわむら　かずお＞
日本の絵本作家。「14ひきのシリーズ」（童心社）や「こりすのシリーズ」（至光社）は国内だけでなく、フランス、ドイツ、台湾などでもロングセラーとなり、世界の子どもたちに親しまれている。
「14ひきのあさごはん」で絵本にっぽん賞、「14ひきのやまいも」などで小学館絵画賞、「ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ」（偕成社）でサンケイ児童出版文化賞、「かんがえるカエルくん」（福音館書店）で講談社出版文化賞絵本賞受賞。2014年にフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。1998 年4月栃木県馬頭町に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館。絵本・自然・子どもをテーマに活動を始めた。

14ひきのあきまつり (14ひきのシリーズ)

　いわむらかずお先生のかわいいやまねずみの物語、「14ひきの」シリーズ。「14ひきのあきまつり」は1992年初版です。
　「14ひき」は、おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさんと、いっくん、にっくん、さっちゃん、よっちゃん、ごうくん、ろっくん、なっちゃん、はっくん、くんちゃん、とっくんの10匹きょうだい。
　彼らは、森の大きな木のうろの家で暮らしています。

　今回のお話は……

　秋、黄金色に染まった森で14ひきの家族たちが森でかくれんぼをします。
　一匹ずつ見つかってゆくなか、ろっくんだけが見つかりません。

　家族でろっくんを探しながら森をゆくと、きのこたちが集まってなにかをしています。

　小さなきのことかえるたちが大きなきのこのお神輿をかついで、わっしょいわっしょいと秋祭りです。
　虫やカタツムリなど、森の小さな生き物たちも参加しています。

　やまねずみたちも祭りに巻き込まれてわっしょいわっしょい。

　と、突然の突風にきのこたちは吹き飛ばされてしまいます。
　そして、見つかったろっくん。

　山ぶどうや木の実、きのこを運んで、やまねずみたちは家族みんなでおうちに帰ります。
　さあ、秋のごちそうだ！……

　……と、いうのがあらすじ。

　今回の絵本には、秋の魅力がいっぱいに詰まっています。
　秋の自然の美しさ、体育祭や秋祭りなどの楽しいイベント、秋の風物詩台風、そして、秋のくだものや食べ物。それが、森の生き物たちなりの生活として描かれています。

　やまねずみたちは家族全員、秋を全力で堪能しています。
　おじいちゃんもおばあちゃんも、おとうさんもおかあさんも、子どもたちと一緒に遊び、働き、食べるのです。

　令和の今、親子三代で一緒に暮らすこともまれになりました。
　子育てを祖父母が手伝うのも珍しくなりましたが、昔はこんなふうに祖父母や長兄、長女が幼い子どもたちの面倒を見て子育てしていたのです。
　きょうだいの多い家では、いちばん上のお姉ちゃんは「ちいさなお母さん」と言う位置づけでした。
　迷子になったろっくんを見つけて面倒をみていたのは、長女のさっちゃんです。さっちゃんは世話好きですね。

　ろっくんを探しているうちに迷い込んだ、不思議な不思議なきのこたちの秋祭り。
　ちょっぴり「ムーミン」のニョロニョロたちのお祭りを連想してしまいます。

　きのこって、正体は菌なので、温度や湿度などの条件が揃うと一夜にして大量に出現したり一日にしてきれいさっぱり消え去ったりします。

　森中をにぎやかに行進したきのこのお神輿が突然の突風であっと言う間に幻のように消えてしまうのも、まさに秋の森らしさ。

　そして最後は「14ひきシリーズ」の最大の魅力、「家族みんなで食べるごちそう」のシーンです。
　家族全員が笑顔で囲む食卓。
　親子三代で食事するようなことは久しく見ない時代になりましたが、心を許す人たちと大勢で食べる食事には格別の美味しさがあります。

　文章はすべてひらがなとカタカナ。文は見開きに一行しかなく、ほぼ絵だけの絵本ですから、五十音が読めるお子さまなら、ひとりで楽しむことができます。もちろん、読み聞かせ煮も。親子で読みながら一緒にろっくんを探すのも楽しそうですね。

　秋の魅力をあますところなく味わえる一冊。
　この季節の読み聞かせに、プレゼントに、ぜひどうぞ！