【続・レモンをお金にかえる法】絵本で経済を学ぶ!世の中で何が起きているかがわかる、子どものための経済入門書【”インフレ⇒不況⇒景気回復”の巻】【小学校低学年以上】

2024年3月28日

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続・レモンをお金にかえる法 "インフレ⇒不況⇒景気回復"の巻 ルイズ・アームストロング/文 ビル・バッソ/絵 佐和隆光/訳 河出書房新社

レモンをレモネードにして販売するビジネスについてはもう説明したね?では、原料のレモンが値上がりしたらどうなるだろう?レモネードは値上がりしてしまう。すると、レモネードが欲しい人たちは、もっと高い賃金が必要になり……

この本のイメージ インフレ☆☆☆☆☆ 不況☆☆☆☆☆ 景気対策☆☆☆☆☆

続・レモンをお金にかえる法 "インフレ⇒不況⇒景気回復"の巻 ルイズ・アームストロング/文 ビル・バッソ/絵 佐和隆光/訳 河出書房新社

<ルイズ・アームストロング>
ニューヨーク市に生まれる。フレンズ・アカデミーやハンター大学付属高校など、いくつかの学校に通ったあと、パリで音楽を学ぶ。その後、週末にはマンハッタン島周遊船のツアーガイドをしながら、広告のコピーライターとして才能を発揮。彼女のガイドはとてもユニークで、乗客にとても人気があったとか。初めて書いた本は、「お子さまのためのフロイト入門」という愉快な本。ほかにも、若者や大人向けの数多くの著作がある

<ビル・バッソ>
ブルックリン育ち。工芸高校を卒業して、大学に一年在籍した後、イラストレーターの助手を4年務める。本業はイラストだが、漫画家としても活躍。現在はニュージャージー州に住む

<佐和隆光>
本職の京都大学研究所所長のほかに、いくつかの政府審議会の委員を兼任。とくに環境と経済のかかわりについて、積極的な著述活動を繰り広げている。もともとは、数学・統計学を駆使する計量経済学を専門としてきたが、最近では、活動領域の幅を広げて、日本経済の現状と課題、グローバリゼーション、そして子供の経済教育などについても論陣を張っている

 原題は"HOW TO TURN UP INTO DOWN INTO UP:a child’s guide to infletion,depression,and economic recovery".アメリカでの初版は1978年。日本語版の初版は1982年です。

 以前ご紹介した「レモンをお金にかえる法」の続編です。まずは初歩である「レモンをお金にかえる法」を読んだほうがわかりやすいでしょう。「レモンをお金にかえる法」のレビューはこちら

 成人年齢が18歳に引き下げになりました。
 ということは、18歳で、各種契約が個人の判断で可能になります。ただ、18歳と言うと、まだまだ親と同居している場合がほとんど、高校生の場合もあるので、どのような契約であれ親や家族に無断で契約書に押印するのは危険です。

 いままでは、高校を卒業してから成人するまでに二年間の猶予期間があったので、このあいだにアルバイトをしたりして先輩やアルバイト先の上司から世の中のことを教えてもらう機会がありました。しかし、これからは、もういきなり「世間」へほうり出されます。

 最近は、若い人向けのクレジットカードで「リボ払い専用」(恐ろしく手軽で恐ろしく金利の高い借金)などもあり、年寄りのわたしは本気で心配になってしまいます。(リボ払いは絶対ダメ)

 日本人は、お金に対して潔癖な教育を受けているので堅実に生活できるところはいいのですが、お金関係のことに免疫がなく、大人になってからトラブルに巻き込まれるケースが多いのです。そして、1番狙われるのは、成人したての若者と老人です。

 これからは、子どもの頃からある程度、経済について知っておいたほうがいい時代になったと考え、子ども向けの経済入門書や絵本などをご紹介しています。

 わたしがなんらか経済の専門家かと言えば、まったくそうではありません。むしろ、これらの子ども向けの本で学びなおしているくらいのレベルです。けれど、正直、歳をとっても、必要なんですよ……。何度も言いますが、若者と年寄りは、あやしい話の標的になりやすいのです。

 今回の「続・レモンをお金にかえる法」は、マクロ経済のお話です。「レモンをお金にかえる法」が、レモネードスタンドを例にとって、事業を立ち上げてたたむまでを描いた物語だとすれば、「続・レモンをお金にかえる法」は、レモネードスタンド事業とそれを取り巻く子どもたち、人々を例にして、社会全体の経済の流れを説明しています。

 これがたいへん、わかりやすい。
 絵本の物語の流れを追うだけで、物価の高騰、インフレ、不況、失業など、世の中で起きていることの意味がわかるように描かれています。

 最近は、「あつまれどうぶつの森」など、ゲーム内経済があるゲームも多いので、ゲーム内で借り入れをしたり、商売をしたりすることで、経済を肌感覚で理解しているお子さまも増えていると思います。

 それを絵本で言葉にしてまとめてくれたものを読めば、「ああ、あれはああいうことだったのか」と理解しやすいかもしれません。

 いや、しかし、本当に大人が読んでもわかりやすいんですよ! これは、本当にいい絵本です。

 「レモンをお金にかえる法」と「続・レモンをお金にかえる法」は、この2冊さえ読んでおけば、新聞に登場する経済用語がほぼほぼ理解できるようになっています。しかも、楽しい絵でストーリー仕立てになっているので、とてもわかりやすく、面白い。

 毎日「不景気だ」「不況だ」と合言葉のように大人は言ってるけれど、なんのことだかわからない…… そんな小さな子どもの疑問に答えてくれる絵本です。

 登場する用語が専門的なので、小学校低学年から。しかし、総ルビなので、お子さまに根気があれば、一人でコツコツと読むことが出来るでしょう。これを総ルビにしてくれる出版社さまの気合が熱い。

 「こんなに小さな頃からお金にガツガツしなくても……」と言うのが一般的な日本人の考え方。それはそれで美しいのですが、現実にアメリカではこういう絵本が子ども向けに出版されているのです。

 お金にガツガツはしなくていいけれど、小さな頃からこういう教育を受けてきたビジネスマンと渡り合わなければならない時代がついに来てしまったのも事実。

 のんびりした時代に生きて来れたわたしたちには、過酷な時代を生きる子どもたちにエールを送ることしかできませんが……子どもたちが楽しく学びながら、世の荒波を乗り越えてゆけることを祈るばかりです。

 初歩から解説するビジネスと経済入門書です。
 子どもから大人まで、全年齢におすすめ。基礎から経済を学びたい方、子どもと一緒に読みたい方、プレゼントに、読み聞かせに、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ストーリーと言っても情緒的ではないので、小説的な物語ではありません。
 たいへんわかりやすい、経済入門書です。「続・レモンをお金にかえる法」では、社会全体の経済をテーマにしており、最初から読むと、インフレや不況など、世の中でおきていることの仕組みがわかるようになっています。

 

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