【100万回生きたねこ】猫の日に、猫の絵本を。命とは、愛とは? 愛されるロングセラー。【子どもから大人まで】

2024年3月24日

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100万回生きたねこ 佐野洋子/作 講談社

100万年も生きた猫がいました。100万回も死んで、100万回も生きたのです。100万人の人がその猫をかわいがり、100万人の人がその猫が死んだときに泣きました。けれども、猫は一回も泣きませんでした……

この本のイメージ 愛とは☆☆☆☆☆ 命とは☆☆☆☆☆ 人生とは☆☆☆☆☆

100万回生きたねこ 佐野洋子/作 講談社

<佐野洋子>
佐野 洋子(さの ようこ、1938年〈昭和13年〉6月28日 – 2010年〈平成22年〉11月5日)は、日本の絵本作家、エッセイスト。
北京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科卒。1967年から1968年にかけて、ベルリン造形大学においてリトグラフを学ぶ。主な作品に「だってだってのおばあさん」(フレーベル館)、「わたしのぼうし」(ポプラ社)、「おじさんのかさ」(講談社)などの絵本や、「アカシア・からたち・麦畑」(文化出版局)などのエッセー集がある。「おじさんのかさ」でサンケイ児童出版文化賞推薦賞を、「わたしのぼうし」で講談社出版文化賞絵本部門賞を受賞。

 あまりにも有名な絵本です。初版は1977年。
 ただし、わたしは子供の頃にこの絵本に出会うことが出来ず、20代の頃「大好きな絵本がある」と職場の先輩に教えられたのでした。

 残念ながら、当時のわたしは、この絵本の意味をよく理解できませんでした。この絵本を読み込めるほど、心が成熟してしていなかったのです。

 この猫は、100万人の飼い主にこんなに愛されてきたのに、どうして心がこんなに冷たくて、何があっても苦しくも哀しくもなかったのかしら、とわたしが言ったとき、先輩は「飼い猫だったからよ」と答えました。

 でも、当時のわたしは「飼い猫だって飼い主を好きじゃない? 飼い猫が不幸ってことはないんじゃない?」と思って、さらにわからなくなりました。それくらい、心が幼くて感じ方がシンプルでした。(ちなみに、後述しますが、この「飼い猫だから」は比喩であり、わたし自身いまでも現実の飼い猫は幸せだと思っています)

 今だと、そう答えた先輩の言葉の意味も、少しわかります。この本は、いろんな解釈や感じ方が出来て、正解はありません。これを命の物語と思う人もいるし、恋の物語と思う人もいるし、人生の物語と思う人もいます。

 しかし、佐野先生の生まれた時代を考えると、「飼い猫だったからよ」と言う言葉は、それはそれで一理あるなと感じられるようになりました。そう考えると、これは単純な恋や愛の物語ではないのかもしれません。

 お恥ずかしいお話ですが、わたしは、佐野洋子先生のほかの作品をちゃんと読んでいません。しかし、この絵本の著者紹介の写真がとにかくかっこいいので驚きました。オートバイにまたがっている写真なのです。
 佐野先生は、昭和13年生まれ。つまり、わたしの母世代。この時代に、オートバイに乗る女性、って言うだけで規格外です。

 著者紹介の写真にこれを選ぶのはメッセージ性があります。オートバイは「自分一人で運転して操縦でき、自由自在に移動できる乗り物」だからです。

 そう考えると、先輩の「飼い猫だったから」と言う言葉の重みを感じるようになりました。

 この絵本の主人公はオスのとらねこなので、この物語は一見、「愛を知らない男性が、100万回生まれ変わって、ついに最愛の女性にめぐり合った物語」のように感じます。
 しかし、よく読むと、と言うより、よく読まなくても、わたしの先輩のように、一瞬で感じ取る人もいるのです。「一度たりとも自分で自分の人生を選び取ることができなかった人が、自分の人生をはじめて生きたとき、ほんとうに自分以外の誰かを大切にすることができた」「自分で自分の人生を決められなかった人が、はじめて喜怒哀楽も含めて自分の人生を生ききって、思い残すことはなくなった」物語だと。

 前者の視点では、少し古風な、バイタリティのある男性的な物語に読めますが、後者の視点で読むと、封建的な世界で窮屈に生きた女性の物語に読めます。そして、もしかしたら、前者がカムフラージュで、わざとそう描いたのではないかとも。

 「すごい絵本だな」
 と、言うのが、正直な感想です。

 とは言え、こんなふうに考えるようになったのも、この歳になってから。

 小さな子がこの絵本の意味を掘り下げられるかどうかは、わかりません。けれども、長い人生のなかで何度も読み返す絵本があってもいいんじゃないかと思います。

 字は、ほぼひらがなで、簡単な漢字には振り仮名がふってあります。文章は読みやすく、「読む」だけなら4歳から読めますが、幼いと「ふーん」だけで終わってしまうかもしれません。けれども、「これはこういうお話なのよ」と大人が教えないほうがいい絵本でもあります。

 お子さまが、一つのものをさまざまな方向から考えられるようになったら、この絵本はおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 猫は何度も死ぬのですが、ネガティブな感じはしません。ただ、お子さまが飼ってた猫が死んだばかりとか、そういうときは避けたほうがいいかもしれません。

 HSPやHSCの方のほうが多くのメッセージを読み取れると思います。しかし、何を感じ取るかは、その人しだい。様々な感じ方ができる絵本です。

 読み聞かせに、プレゼントに。子どもから大人まで、全年齢におすすめです。

 

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