【歴史探偵アン&リック】歴史にひそむ暗号! 最強バディが挑む歴史ミステリー第4巻。【源氏絵あわせ、貝あわせ】【小学校中学年以上】

2024年4月14日

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わたし、花畑杏珠。相棒は石松陸。ふたりで「アン&リック」。歴史にまつわる秘宝をさがすバディなの。今回はイギリスからやってきたボビーが鹿鳴館時代の謎を解きたいと…… (歴史探偵アン&リック4  鹿鳴館の恋文  小森香折/作 染谷みのる/絵  偕成社)

この本のイメージ 歴史ミステリー☆☆☆☆☆ 凸凹バディ☆☆☆☆☆ 宝探し☆☆☆☆☆

歴史探偵アン&リック4  鹿鳴館の恋文  小森香折/作 染谷みのる/絵  偕成社

<小森香折>
東京都に生まれる。「ニコルの塔」でちゅうでん児童文学賞大賞、新美南吉児童文学賞を受賞。作品に「歴史探偵アン&リック」シリーズ、「夢とき師ファナ」「時知らずの庭」「ウパーラは眠る」など、翻訳に「リスベート・ツヴェルガーの聖書物語」などがある。

<染谷みのる>
奈良県に生まれる。イラストレーター、漫画家。書籍の装画や挿絵、雑誌での漫画執筆を中心に活動

 歴史にまつわる謎を解き、失われた秘宝を探す「歴史探偵アン&リック」シリーズ、第4巻「歴史探偵アン&リック4  鹿鳴館の恋文」は2019年初版です。

 お話は一応一話完結の形をとっており、どの巻から読んでもわかるようになってはいるのですが、アンとリックがはじめて出会いバディを組むきっかけとなった第1巻から読んだほうがわかりやすいでしょう。

 第1巻「里見家の宝をさがせ!」のレビューはこちら

 このシリーズは、歴史の裏に潜む謎を、アンとリックのふたりが力をあわせて解いてゆく歴史ミステリーです。

 史実の部分と史実を膨らませて描かれているフィクションの部分がうまく融合して独特のミステリーになっているのが魅力。
 歴史の案内役は歴史大好きなリックこと石松陸。お話の盛り上げ役とリックの推理の聞き役はファッション大好きなアンこと花畑杏珠です。

 さてさて今回のお話は……

 アンのもとにイギリスからのお客さま、ボビーさんがやってきました。
 しばらくのあいだ、日本にホームステイするそうで、アンの住む古い家を見学に来たのです。

 そのさい、ボビーは自分のひいひいおじいさんのオリバー・ギャラガーと日本の女性「スズコ」とのロマンスを話します。

 ロマンチックな話に夢中になるアン。
 しかし、ボビーは謎に満ちた女性「スズコ」のことを知りたくて日本に来たのです。

 ボビーのひいひいおじいさんの日記をもとに、鹿鳴館時代のミステリーに挑むことになったリックとアン。

 ところが、同時にリックの「クリフ・クライマーズ」でも事件が勃発して……

 ……と、いうのがあらすじ。

 鹿鳴館と言うのは、明治時代に外交の一環として使われていた美しい洋館です。
 日本人はそこで西洋化の象徴として、燕尾服やドレスに着飾ってダンスをしていました。
 ボビーのひいひいおじいさんオリバーと謎の女性スズコは鹿鳴館で出会ったようです。

 今回のミステリーは洋館、ドレス、ダンス、ロマンスと女の子の夢がいっぱい。
 ふだんは歴史なんててんで興味もないアンも目を輝かせます。

 ウエストがくびれてバッスルでスカートを膨らませた美しいドレスや、宝石をちりばめたブローチなど、残された手がかりも美しい。

 この謎をアンとリックがどう解き明かしてゆくか……
 それは読んでみてのお楽しみ。

 今回のもうひとつのテーマは「交渉」。
 明治時代の外交問題が語られる一方で、現代のリックたちが所属する外遊びグループ「クリフ・クライマーズ」にも事件が勃発。
 ただのやんちゃ坊主たちのグループだった「クリフ・クライマーズ」でしたが、リックとみんなのがんばりで、大人たちと正々堂々と「交渉」することも覚えます。

 子どもだからって大人の理不尽にやられまくってばかりではないんだぞ、と言うわけですね。このあたりの展開は爽快。

 わたしは日本の児童小説は海外のものに比べて冒険したり戦ったりする場面はあっても、駆け引きしたり交渉したりするお話は少ないなと常々感じていました。
 海外の児童文学の子どもたちって、もうあたりまえに大人と交渉して堂々と自分の権利を勝ち取るんですよね。こういうものを子どものころから読んで、大人になってビジネスマンになるのだなあ、と戦々恐々としたおぼえがあります。

 今回のリックはやみくもにぶつかるのではなく、小さな協力者たちと力を合わせながら自分よりも強い相手と交渉し、「クリフ・クライマーズ」を守り切りました。

 鹿鳴館の謎解きとともに、このあたりの攻防戦も今回の読みどころです。

 文章はヒロインのアンと推理役のリックの一人称で並行して書かれており、女の子でも男の子でもたのしめるでしょう。
 歴史に詳しくないアンがリックに開設してもらうという形式をとっているため、歴史に詳しくなくてもストーリーを楽しめるようになっています。

 全部の漢字に振り仮名があるわけではありませんが、難しい漢字には振り仮名がふってあるので小学校中学年から。自然に歴史に興味をもてるように書かれているため、並行して歴史も調べるとさらに面白さがアップ。

 謎とロマンに満ちた、歴史ミステリー冒険小説、「歴史探偵アン&リック」。
 歴史が大好きなお子さまも、そしてアンのように歴史はさっぱりわからないけど可愛かったり不思議なものが大好きなお子さまにも。
 読むといままでよりずっと歴史が楽しくなる児童小説です。

 寒い冬、おうち時間にぜびどうぞ!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。史実とフィクションが絶妙の配分で融合した、楽しい歴史ミステリーです。

 物語に登場する人物や歴史的事実を調べると面白さが倍増します。

 読後はあたたかい紅茶でティータイムを。

 

商品ページはこち

 

 

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