【流れ星レース】あの名作の姉妹シリーズ。危機に継ぐ危機の野良猫ハードボイルド第3巻【三日月島のテール】【小学校高学年以上】

2024年4月7日

広告

流れ星レース 三日月島のテール 3 竹下文子/作 鈴木まもる/絵 偕成社

おれの名はテール。海の宅配便「ドルフィン・エクスプレス」の配達員だ。「ドルフィン・エクスプレス」にライバルがあらわれた。ルール無用でドルフィンのなわばりを荒らしてくる「カモメ・ネット」にドルフィンはレースで勝負をつけようと……あの「黒ねこサンゴロウ」の姉妹版が新装版で。

この本のイメージ 野良猫☆☆☆☆☆ ハードボイルド☆☆☆☆☆ レース☆☆☆☆☆

流れ星レース 三日月島のテール 3 竹下文子/作 鈴木まもる/絵 偕成社

<竹下文子>
竹下 文子(たけした ふみこ、1957年2月18日 ~ )は 日本の児童文学作家。夫は画家の鈴木まもる。福岡県生まれ、東京学芸大学教育学部卒業。大学在学中より執筆を行う。1978年「月売りの話」で日本童話会賞受賞。1979年『星とトランペット』で第17回野間児童文芸推奨作品賞受賞。1985年『むぎわらぼうし』で絵本にっぽん賞受賞。1994年『黒ねこサンゴロウ旅のはじまり』『黒ねこサンゴロウキララの海へ』で路傍の石幼少年文学賞受賞。2009年『ひらけ!なんきんまめ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。2020年『なまえのないねこ』で日本絵本賞、講談社絵本賞受賞。(wikipediaより)

<鈴木まもる>
1952年、東京都に生まれ。「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さしえ賞を、『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。

 伝説の児童小説「黒ねこサンゴロウ」の姉妹シリーズ「三日月島のテール」シリーズ。初版は2004年岩崎書店から。第1巻「ドルフィン・エクスプレス」が出版されてから20年経って2022年、偕成社から新装版が出版されました。表紙は鈴木まもる先生描き下ろし。挿絵も新しいカットが追加されています。

 お話は一話完結で、どの巻から読んでも大丈夫なつくりになっていますが、第1巻「ドルフィン・エクスプレス」から順番にお読みになったほうがわかりやすいでしょう。

 「ドルフィン・エクスプレス」のレビューはこちら
 

 また、このシリーズだけでも充分面白くて楽しめるのですが、「黒ねこサンゴロウ」と同じ世界観ですのでより深く理解するためには「黒ねこサンゴロウ」シリーズと「黒ねこサンゴロウ旅のつづき」シリーズをお読みになったあとにお読みになることをおすすめします。

 「黒ねこサンゴロウ」のレビューはこちら

 今回のストーリーは……

 テールが働く海の宅配便「ドルフィン・エクスプレス」にライバルが登場。
 その名も「カモメ・ネットワーク」。ライバルの登場に社長夫人のヒナコさんは最近ピリピリしています。

 お得意様を奪われ、無理な仕事が増え、ミスや事故も増えてきた「ドルフィン・エクスプレス」。
 不審な動きをするアルバイトもいて、気が抜けなくなってきました。

 そんなとき、幼馴染のジョナが「三日月ジョリー」のコンサートのチケットが当たったのでと誘ってくれます。
 なんとか一緒に行きたいテールですが、思わぬ事件に巻き込まれ……

 ……と、いうのがあらすじ。

 この物語は「ねこ族」と言う二足歩行している猫が服を着て人間の言葉をしゃべり生活している世界でのファンタジー。「黒ねこサンゴロウ」シリーズと同じ世界観で、今回の舞台は三日月島です。

 かなりニヒルなサンゴロウにくらべ、テールは若くて熱い。ジョナとのやりとりもとっても初々しく、応援したくなるカップルです。

 このシリーズは、「ねこ+海+ハードボイルド」がコンセプト。

 挿絵は可愛らしい鈴木まもる先生のイラストですが、お話はかなり本格的なハードボイルドです。児童小説で本格派のハードボイルドって珍しいなと思うのですが、根強い人気のロングセラーなので、どうやらハードボイルドを愛する心に年齢はないようです。

 毎回わたしは、「ハードボイルドは若者の特権」と主張していますが、「大人の世界」を「渋い」「かっこいい」と感じるのは若いからなんですよ。

 歳をとれば、大人は(自分を含めて)たいして大人ではないし、渋くもかっこよくもないと身にしみてわかってきます。歳とっても人間は案外子どもなんです。

 でも、最近話題の「おじさん構文」「おばさん構文」などを気にして、無理して若そうにふるまうこともないとも思います。歳をとるのは案外楽しいし、昔風だったりレトロだったりするのも、案外おしゃれです。いいんですよ、文章が古くたって。(と、開き直る)

 児童文学の世界は何十年と愛されているロングセラーが多く、それぞれの作品に独自の代えがたい魅力があります。古い小説は文章も古いのですが、それがえもいわれぬ魅力になっていて、わたしは大好きなのです。

 翻訳もの小説は今風の感覚をとりいれるために時々新訳が出版されます。
 現代の子どもにとっては新訳のほうが読みやすいかもしれないし、「赤毛のアン」シリーズのように旧訳では省略されていた部分を翻訳してくれている新訳もあるので、すでによく知られている物語でも新訳を読む喜びがあります。
 けれど、新訳が登場したからといって旧訳がいらなくなるわけではなく、どちらにもよさがあるのです。

 令和の今、ハードボイルドはどこか懐かしさを感じるジャンルです。

 このジャンルが生まれたときは新しく若々しく、斬新なジャンルだったのかもしれませんが、今はちょっとレトロな雰囲気が漂います。

 子ども向けのアニメーションや特撮でもハードボイルドは定期的に創られ、愛されてきました。
 「ルパン三世」や、「紅の豚」「カウボーイビバップ」「仮面ライダーW」「コブラ」「シティーハンター」などが好きなら、「三日月島のテール」のシリーズは気に入ると思います。

 テールはサンゴロウよりはずっと熱いので「仮面ライダーW」みたいな感じでしょうか。「仮面ライダーW」も今となってはかなり古い特撮番組になってしまいましたが、最近では「風都探偵」がアニメ化されたので、ご存知の方が増えたはず。あれです、ああいう感じがハードボイルド。

 この物語はだいたい対象年齢が小学校高学年くらい。ふつうの文章よりはひらがなの配分が多く、総ルビではありませんが簡単な漢字以外には振り仮名が振ってあります。物語を読みなれた賢い子なら中学年くらいから。

 今回のお話はサスペンス要素が強く、最後までハラハラさせられますが、ラストのどんでん返しが気持ちいい。読んだあとはスカッとします。

 猫が好きでサスペンスやミステリーがお好きな方に。
 老若男女楽しめる児童小説です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 サスペンスストーリーなのですが気をつけて書かれているので、ネガティブな要素はありません。
 「黒ねこサンゴロウ」と同じ世界観なので、サンゴロウシリーズを読んでからのほうがわかりやすいですが、読まなくても理解できます。謎解き要素もあるので、ミステリーやサスペンスが好きな人におすすめです。

 物語がドラマチックでどんでんがえしもあざやか。男の子も女の子も楽しく読めることまちがいなしです。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告