【怪盗クイーンと魔窟王の対決】あらゆる願いをかなえる伝説の石をめぐる冒険。シリーズ第3巻【怪盗クイーンシリーズ】【小学校高学年以上】

2024年4月11日

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怪盗クイーンと魔窟王の対決 はやみねかおる/作 K2商会/絵 講談社青い鳥文庫

魔窟王が所有する伝説の石「半月石」が公開される。別名「願いがかなう石」を狙ってクイーンが行動を開始する。香港スターに変装させたジョーカーに随行するマネージャーに成りすましたクイーン。はてさて……

この本のイメージ 怪盗の美学☆☆☆☆☆ 神出鬼没☆☆☆☆☆ 変幻自在☆☆☆☆☆

怪盗クイーンと魔窟王の対決 はやみねかおる/作 K2商会/絵 講談社青い鳥文庫

<はやみね かおる>
日本の男性小説家(1964年4月16日~ )。三重県伊勢市出身。代表作は「都会のトム&ソーヤ」「怪盗クイーンシリーズ」「名探偵夢水清志朗シリーズ」など

<K2商会>
Niki&Nikkeの二人組イラストレーター。「怪盗クイーン」シリーズはNikiの担当。テレビゲームのキャラクターデザインやカードゲームのデザインのほか、ファンタジー小説の挿絵も担当している。

  はやみねかおる先生の怪盗クイーンシリーズ第3巻、「怪盗クイーンと魔窟王の対決」です。初版は2004年。

 「怪盗クイーンシリーズ」は基本的に一話完結でどこから読んでも楽しめるようになっていますが、一応第1巻からお読みになったほうがわかりやすいでしょう。

 第1巻のレビューはこちら

 今回のお話は……

 香港の人工島四龍島の魔窟王・王嘉楽(ウォン・カーロツ)。
 彼が所有する半月石(ハーフムーン)は、持ち主のあらゆる願いをかなえるという。

 この半月石が公開されると知り、クイーンは狙いを定める。

 ジョーカーを香港期待のアクションスター李龍狼(リー・ロンロン)に変装させ、自身はマネージャー朱麗青(ジィ・レイチィン)に成りすまし、いざ香港へ。

 はたして、クイーンは半月石を盗み出せるのか?

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回のお話の魅力は、クイーンの七変化。
 厳密には七回と言うわけではありませんが、怪盗ものの魅力のひとつには「変装」があります。

 何に成りすましているのかわからない、思いもよらぬところから怪盗が現れる驚き。その変幻自在な活躍がたまらないのです。

 そのうえ、クイーンは必要にせまられて行うことよりも純粋に楽しくてする仕事以外の行動がさらに突拍子もなかったりして……心の底から人生楽しんでます、クイーン。

 クイーンの物語は他のシリーズに比べてもはるかに現実には起こりえない荒唐無稽なことばかりなのですが、スピード感あふれる展開とあいまって、この荒唐無稽さが心地よい。

 今回は新キャラも続々登場。
 ドイツ人の探偵卿ヴォルフ、インド人の双子姉妹シャンティとシャクティ。考古学者のパシフィスト・ドゥ・ルーベ。そして、陽気なイタリア人スケルツィ。

 彼らは今後も出番がありそうなので楽しみです。

 クイーンのシリーズはいつも華やかで現実ばなれした楽しさを味わわせてくれます。普通の人なら迷ったり悩んだりするようなことでも、クイーンは一刀両断。いいかげんのように見えるけれど、いっそすがすがしい。

 現実の世界は割り切れないことも多いし、スカッとすることはむしろ少ないものです。
 なんだかモヤモヤとしたことをモヤモヤとしたまま受け入れないといけないこともあるし、自分のしたいことが誰かの不利益になることもあればその逆もある。そんなに簡単には割り切れません。

 ままならない世界で、なんとかかんとか折り合いをつれながら生きている現代生活に、クイーンの軽快さは癒しです。と、言うのは大人の感想なのでしょうか。子どもは純粋に楽しいのかも。

 ドキドキハラハラを思う存分楽しめて、それでいて人は死なない。あっと驚く、タネもシカケもあるトリックを魅せてくれるのが怪盗小説の醍醐味です。

 文章はテンポよく読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってあります。小学校高学年からですが、賢い子なら中学年からでも楽しめるでしょう。
 今回は、外国の名前のキャラクターが多いので小説を読みなれていない子は少し混乱するかもしれませんが、キャラクター相関図を書いたりメモをしながら読むとわかりやすいでしょう。
 文章自体がすばらしく読みやすいので、すいすい読めます。

 日常生活にちょっぴり疲れたとき、悩み事を抱えて少ししんどくなったとき、抱えているものをいっとき脇に置いてクイーンの大冒険を楽しんでみましょう。
 クイーンとジョーカーのやり取りを読んでいると、小さなことでクヨクヨしているのがばからしくなってくるのも不思議です。

 華麗なステップで世界中を軽やかに駆け巡る、クイーンの物語をぜひどうぞ。

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。わくわくドキドキの怪盗小説です。残酷シーンも流血シーンもなく、ただただ「面白い」「かっこいい」を堪能できるジュブナイルです。

 読後は中国茶でティータイムを。

 

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