おいしいお寿司で、一件落着!お寿司屋の息子とおてんば娘が若侍の事件を一緒に解決する、新感覚の時代児童小説です。【小学校中学年以上】

2024年1月26日

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すし食いねえ 吉橋道夫 講談社

「与兵衛すし」のひとり息子、豆吉は、おとっつぁんの手伝いで屋台のすし屋の店番をしています。そこに通りがかった、なにやら訳ありの若侍。そして、そのお侍を助けてくれた腕っ節の強い娘さん。ひょんなことで親しくなった三人は、一緒に若侍さんの困りごとを解決しようと……。

この本のイメージ おいしそう☆☆☆☆☆ お寿司豆知識☆☆☆ 痛快時代劇☆☆☆☆

すし食いねえ 吉橋道夫 講談社

 昔、屋台でお寿司を食べさせてくれる寿司屋が変身して戦う戦隊ヒーロー番組がありました。そのときは「屋台で寿司屋……」ってびっくりしたんですけど、どうも屋台寿司屋って、江戸時代ではとってもポピュラーだったみたいですね。無知で失礼しました。この物語は、屋台寿司屋の息子が主人公の新感覚時代児童小説です。

 屋台寿司屋「 与兵衛すし」の息子、豆吉は、店番中、暴漢に襲われそうになった若侍と出会います。彼を助けたのは、通りすがりのおてんば娘、おきょう。
若侍、文四郎は、寺子屋の若先生として雇われ、おきょうも寺子屋に通い始めたことで、三人は仲良くなります。

 じつは、この若侍、故郷の笠井から、重大な使命を背負ってはるばるお江戸にやってきたのでした。

 さて、文四郎様は故郷の笠井を救えるのでしょうか。そして、小さな屋台寿司屋、与兵衛は、念願の内店をもつことができるのでしょうか。

 と言うストーリー。

 主人公豆吉のお寿司屋さんサクセスストーリーと、文四郎様の笠井領救済の問題が同時進行します。最後はこのふたつの話がひとつになって、同時に解決する構成になっています。

 また、「与兵衛すし」という寿司屋は実在したらしく、その寿司屋が「にぎりずし」を開発したのだそうです。それまでは、江戸のお寿司はネタを酢でしめて重石を置いた押し寿司だったのだそうで、これは寿司業界の画期的発明だったのですね。

 この、実話をもとにした「にぎりずし誕生」の物語も味付けに入っていて、痛快時代劇を楽しみながら、お寿司の豆知識も頭に入るという、盛りだくさんな内容の児童小説です。
文章とせりふが江戸っ子口調で書かれており、読み聞かせをするとお子様はよろこばれるかも。軽快でテンポがよく、すいすいと読める文章ですよ。

 登場人物は、みんな気のいい江戸っ子ばかりで、なごみます。
豆吉と文四郎、おきょうちゃんのドタバタ三人組がすごくいい雰囲気で、深刻な事情なのになんだかとぼけた雰囲気があって、ほほえましいのです。

 また、豆吉はおとっつぁんから「べらぼうな舌」と呼ばれる、優れた味覚の持ち主でした。この力で、おとっつぁんを支え、まぐろのづけから握り寿司開発までをサポートするわけです。

 クライマックスは、いろんなお店のいろんなお寿司が出てきて、どれもおいしそう。それぞれのお寿司の詳細な挿絵もあります。

 江戸文化の説明もあり、当時の食文化や風俗を知るのにも役に立ちます。歴史にも詳しくなり物語も楽しめる、一石何鳥もする本です。
今はテレビで時代劇もやらなくなりましたから、江戸時代の文化も遠くなりました。このような物語で昔の歴史に触れるのもいいかもしれません。

 刀を振り回すチャンバラシーンもあるのに、どこかのどかでほのぼのしているのが魅力です。読み終わったら、おなかがすいてしまうかもしれませんから、それだけはご注意くださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

ネガティブな要素はありません。でも、読んだら絶対お寿司が食べたくなるので、パックのお寿司でも、ちらし寿司でも、お好きなお寿司をご用意くださいね。

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