【風雷きんとん】豆吉が出会った、ちょっと気になるアイツは……? 新キャラ続々、お江戸パティシエ物語、第三巻【お江戸豆吉】【小学校中学年以上】

2024年3月30日

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風雷きんとん お江戸豆吉   桐生環/作 野間与太郎/絵  フレーベル館

きんとんのご注文に、白豆を買いに出た豆吉。だけど、大切な銭を人ごみですられてしまい……。犯人を捜すうちに、あれよあれよと事件に巻き込まれてゆく豆吉。「お江戸豆吉」シリーズ第三巻!

この本のイメージ 新しい友だち☆☆☆☆☆ きんとん☆☆☆☆☆ 変幻自在☆☆☆☆☆

風雷きんとん お江戸豆吉   桐生環/作 野間与太郎/絵  フレーベル館

<桐生環>
静岡県出身。本とちょんまげ好きがこうじて、子ども向けの時代物創作を始める。賞歴に、第15回小学館「おひさま大賞」童話部門・最優秀賞「コイになった とのさま」(「おひさま」本誌、おひさまセレクション「楽しくなっちゃうおはなし16話」に掲載)。第2回フレーベル館ものがたり新人賞優秀賞を受賞し、本作が初の出版となる。好きな和菓子は、みたらし団子。

<野間与太郎>
岡山県出身。児童書の挿絵、学習まんが、広告まんがなどを手がける。主な作品に「学習まんが日本の伝記SENGOKU 明智光秀」(集英社)、「幕末明治サバイバル! 小説・渋沢栄一」(KADOKAWA)など。好きな和菓子は、豆大福。

桐生環先生の、新感覚時代劇、「お江戸豆吉」シリーズ第三弾、「風雷きんとん」です。初版は2022年。

 「けんか餅」「のろいまんじゅう」の続きになります。お話は一話完結でどこから読んでもわかるようになっていますが、最初からお読みになったほうが人物の関係などわかりやすいので、できれば第一巻「けんか餅」からお読みください。

 「けんか餅」のレビューはこちら

 さて、今回のお話は……

 若旦那と豆吉のお店「若豆屋」の常連、佐太郎さんは足が悪い。毎日店に通えるような身体ではないけれど、若豆屋の菓子をごひいきにしてくれます。

 そんな佐太郎さんが「きんとん」を食べたいと言い出しました。きんとんとは、白あんを使った上品なお菓子。佐太郎さんのためにおいしいきんとんを作ってあげたくて、豆吉は白豆を買いにお使いに出ます。

 ところが、その道中で大切な銭をスリにすられてしまいました。

 若旦那の許しをもらい、お駒ちゃんたちに手伝ってもらいながら犯人を捜すうち、豆吉は不思議な少年に出会います。

 そして、あれよあれよと言ううちに、事件に巻き込まれてしまうのでした……

 ……と、いうのがあらすじ。

 新キャラがかなり登場するのですが、それについて詳しく説明してしまうとストーリーのネタバレになってしまうので、今回は内緒。

 けれど、魅力的なキャラ満載です。

 一巻から登場するお竜さんやお駒ちゃん、辰五郎さんたちにもそれぞれ見せ場があり、締めるところは締めてくれています。お駒ちゃん、強くて頼もしい。

 今回登場するお菓子は、白あんを使った「きんとん」と、透明な寒天の中にそぼろあんが散った「錦玉羹(きんぎょくかん)」。この場合の「きんとん」は、おせち料理に入っている「栗きんとん」ではなく、白あんで作った、あじさいのような、タンポポのようなお菓子です(お正月の「栗きんとん」は正しくは「茶巾絞り」といいます)。「きんとん」も「錦玉羹」も、どちらも綺麗でおいしそうです。

 いままで若豆屋が取り扱っていたのは、大福だったりおまんじゅうだったりと、手軽なお菓子でしたが、今回は手の込んだ美しいお菓子。若豆屋も進化しているのです。

 文章は読みやすく、総ルビではありませんが簡単な漢字以外はだいたい振り仮名が振ってあります。小学校中学年から。

 今回のお話のテーマの一つでもありますが、男の子の豆吉が気弱だけど頑張り屋、女の子のお駒ちゃんが元気でおてんば、という対比があり、性別関係なく楽しめるように描かれています。どのキャラクターも生き生きとして魅力的で、男の子でも女の子でも面白く読めることまちがいなし!
 もちろん、若旦那や辰五郎さんなど、オーソドックスな男性キャラもいますよ。

 六つの章に分かれていて、それぞれの章と章のあいだに「豆吉のお江戸豆ちしき」として江戸時代の風俗についての解説があるのがうれしい。これがまた、詳しいんです。

 さて、このシリーズも今回で三作目。若旦那と豆吉の周囲に、なかなか濃ゆい面々が集まってきました。これは、いつか彼らがオールスターキャストで大活躍する大捕り物があるかもしれません。

 まだまだ、名前だけで登場しない伝説の人物などもいて、続きが楽しみです。

※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。昔の時代劇好きならニヤっとしてしまう、ちょっと粋な展開です。豆吉を取り巻く人々がみなあたたかく、人情にあふれ、江戸の下町の活気とやさしさが伝わる物語です。

 読後は、おいしいきんとんと緑茶でひとやすみしましょう。豆吉のおかげで和菓子に詳しくなりそうです。

 

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