【水の精とふしぎなカヌー】きっとどこかにある、不思議な森。こそあどの森のファンタジック・ストーリー【こそあどの森の物語】【小学校中学年以上】

2024年4月10日

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水の精とふしぎなカヌー こそあどの森の物語   岡田淳/作 理論社

前回の大冒険で足を怪我したトワイエさんは、ギーコさんとスミレさんのガラスびんの家に居候していました。巣きっパーはときどき、トワイエさんのために荷物を運んでいましたが、あるとき、奇妙なことに気がつきます……

この本のイメージ エピソード二本立て☆☆☆☆☆ 水と冒険☆☆☆☆☆ 目に見えないもの☆☆☆☆☆

水の精とふしぎなカヌー こそあどの森の物語   岡田淳/作 理論社

<岡田淳>
日本の児童文学作家。著書『雨やどりはすべり台の下で』で産経児童出版文化賞を、『こそあどの森の物語』で野間児童文芸賞を受賞し国際アンデルセン賞の国際児童図書評議会(IBBY) オナーリストに選ばれた。翻訳家、挿絵・イラスト作家、エッセイストでもある。

 「日本のムーミン谷」とも呼ばれる、「こそあどの森」シリーズ、11巻目は「水の精とふしぎなカヌー」。初版は2013年です。

 「こそあどの森」シリーズは一話完結形式で、どの巻から読んでもわかるように書いてありますが、この世界観を理解するためには、まずは世界設定や住人たちを詳しく描いている第1巻を読んだほうがわかりやすいと思います。 

 第1巻のレビューはこちら。↓

 今回のお話は……

 前回の冒険で子どもたちを助けるために穴に落ちて足を怪我してしまったトワイエさんは、ギーコさんとスミレさんのガラスびんの家に足が治るまで居候することになりました。

 お見舞いに行ったスキッパーは、トワイエさんに頼まれて屋根裏部屋の家から荷物を運ぶことになりますが、トワイエさんの家に通ううち、奇妙な現象に気がつくのでした。

 見えない誰かがいるような気がするのです。

 いったいそれは何者なのでしょうか……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回は二本立てのストーリーで、前半はトワイエさんのお話、後半はスキッパーとふたごたちがまたしても川の上流へと冒険するお話です。この子たち、懲りないところがいいですね。

 毎回違うふたごの名前は、今回はリビーとシュリー。冒険をするから、リヴィングストンとシュリーマンからとったらしい。

 前回の「霧の森となぞの声」はかなり怖いお話だったのですが、この「水の精とふしぎなカヌー」はファンタジックでかわいいお話。目に見えないけれどそこにある、不思議で美しいなにかのお話。

 ふいの風に葉っぱがゆれるとき、花びらがはらはらと落ちるとき、なにやらいい匂いが漂ってくるとき、ふと、目には見えないけれど「なにか良いものがいる」感じが、子どもの頃したことはありませんか。

 大人になると、だんだんとそういう感覚は薄れてきますが、それでもたまーに、ときどき、そんな感覚に見舞われることがあります。

 これは、そんな「あるある」が素敵なメルヘンになった物語です。
 この感覚を忘れないで大人になって、物語にできてしまう岡田先生の感性には心から尊敬してしまいます。読んでいて、わたしも子どものころのことをかなり思い出しました。

 文章は平易で読みやすく、字はやや大きめで漢字まじりではありますがひらがな多め。ごく簡単な漢字以外には振り仮名がふってあります。読みやすいので、だいたい小学校中学年くらいから。

 深い哲学的テーマも潜んでおり、子どもが読めば楽しく好奇心を刺激され、大人が読めばなつかしく癒されます。全年齢におすすめのファンタジーです。

 こそあどの森のシリーズは全部で12巻。完結まで追いかけます。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。
 今回は目に見えない素敵なものを感じ取るお話なので、HSCのお子さまのほうがより多くのメッセージを受け取れると思います。

 

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