【霧の森となぞの声】きっとどこかにある不思議な森。歌声の謎を解きたい第10巻。【こそあどの森の物語】【小学校中学年以上】

2024年4月10日

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霧の森となぞの声 こそあどの森の物語    岡田淳/作 理論社

森の中のとある場所で、歌声のような音が聞こえるのにスキッパーは気がつきました。かすかな歌声を追いかけることに夢中になるスキッパー。でも、その歌声はちょっと危険で……

この本のイメージ  大冒険☆☆☆☆☆ 知恵と勇気で☆☆☆☆☆ けっこう怖い☆☆☆☆☆

霧の森となぞの声 こそあどの森の物語    岡田淳/作 理論社

<岡田淳>
日本の児童文学作家。著書『雨やどりはすべり台の下で』で産経児童出版文化賞を、『こそあどの森の物語』で野間児童文芸賞を受賞し国際アンデルセン賞の国際児童図書評議会(IBBY) オナーリストに選ばれた。翻訳家、挿絵・イラスト作家、エッセイストでもある。

 「日本のムーミン谷」とも呼ばれる、「こそあどの森」シリーズ、10巻目は「霧の森となぞの声」。初版は2009年です。

 「こそあどの森」シリーズは一話完結形式で、どの巻から読んでもわかるように書いてありますが、この世界観を理解するためには、まずは世界設定や住人たちを詳しく描いている第1巻を読んだほうがわかりやすいと思います。 

 第1巻のレビューはこちら。

 今回のお話は……

 スキッパーは森のなかで不思議な声が聞こえるポイントを見つけます。歌声のような風の音のようなその声を聞くことに夢中になるスキッパー。

 トワイエさんは、美しい声で人を惑わし殺してしまう生き物の話をして忠告しますが、スキッパーは歌声を追うことに夢中になって、森に目印のリボンを結びつけながら奥へ奥へとすすんでゆきました……

 はたして、森の奥にはなにが? そして、歌声の正体は?

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 今回のお話はハッピーエンドなのでうまく誤魔化されていますが、けっこう怖いのです。ややホラー要素もあるお話。
 森の中でかすかに聞こえる歌声に魅せられて森の奥へとひとり進んでいったスキッパーは、たった一人で遭難してしまいます。
 そこへ、どういうわけかころがりこんでくるふたごたち。今回のふたごの名前はツクシとワラビです(自分用メモ)。
 この、ふたごたちが来たときの絶望感といったら。
 ふたごが来たことでなんら問題は解決していないし、悪化してすらいる。でも、この物語のふたごって、そういう存在なんですよね。

 「こそあどの森」のシリーズはまずスキッパーやふたごたちが向こう見ずな冒険をして、その後にポットさんたち大人組が出動する、と言うパターンが主流です。

 子どもたちは冒険のきっかけを作るのですが、あまりにも思いつきで行動するため、時々とんでもない事態に巻き込まれてしまいます。
 そんなとき、この「大人組」は子どもたちを助けるためにそれぞれが自分の得意なことを生かして用意周到に準備をして出かけてくれるので、「大人組」が動き出すと物語が大きな安心感に包まれるのです。

 森の住人たちは夫婦なのはラブラブカップルのポットさんとトマトさんだけで、作家のトワイエさんは一人暮らし、スミレさんとギーコさんは姉弟です。スキッパーを養子にしたバーバさんも独身ですし、ふたごにいたっては子どもだけで暮らしています。

 「こうでなければならない」と言うスタイルもなくて、それぞれの生活にそれぞれが口出しをすることもなく自由に生活しているこそあどの森の住人たち。でも、いざ事件があると、一致団結して(楽しみながら)解決してしまいます。
 どこか懐かしくて、そして、どこか新しい…… 
 優しくてあたたかくて、住人たちそれぞれに「あんなふうに生きてみたい」と言う魅力がたっぷりある物語です。

 文章は平易で読みやすく、字はやや大きめで漢字まじりではありますがひらがな多め。ごく簡単な漢字以外には振り仮名がふってあります。読みやすいので、だいたい小学校中学年くらいから。

 時々哲学的テーマも潜んでおり、子どもだけでなく大人が読んでも楽しむことができ、全年齢におすすめのファンタジーです。

 こそあどの森のシリーズは全部で12巻。完結まで追いかけます。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。今回は(よく考えると)ちょっぴり怖いお話。でも、ハラハラドキドキの冒険を楽しめます。

 

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