【あなたをずっとずっとあいしてる】草食恐竜に育てられたティラノサウルスの赤ちゃんの物語。ティラノサウルスの絵本その4。【ティラノサウルスシリーズ】【4歳 5歳 6歳】
心優しいマイアサウラのおかあさんは、ある日、森で見知らぬ卵を拾いました。彼女が自分の卵と一緒にあたためて大切にそだてていると、生まれてきたのは……
この本のイメージ 生みの親より育ての親☆☆☆☆☆ 母の愛☆☆☆☆ 自己肯定感☆☆☆☆☆
あなたをずっとずっとあいしてる ティラノサウルスシリーズ 4 宮西達也/作・絵 ポプラ社
<宮西達也>
1956年、静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。作品に、「おまえうまそうだな」(けんぶち絵本の里大賞)「おれはティラノサウルスだ」「あいしてくれてありがとう」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「帰ってきたおとうさんはウルトラマン」「パパはウルトラセブン」(ともにけんぶち絵本の里大賞)「うんこ」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「大きな絵本 にゃーご」(第38回造本装幀コンクール展読書推進運動協議会賞)「ちゅーちゅー」(けんぶち絵本の里大賞)「きょうはなんてうんがいいんだろう」(講談社出版文化賞・絵本賞)「ふしぎなキャンディーやさん」(日本絵本賞・読者賞)など多数ある。
初版は2006年。「おまえうまそうだな」にはじまる「ティラノサウルスシリーズ」の第4巻。
このお話、基本コンセプトは同じなのすが、続き物なのかそれぞれが違うお話なのか、そこらへんはあいまいになっています。ただし、このお話は、第三巻とは続いていなそう。
もし、最初からお読みになりたい場合は「おまえうまそうだな」からお読みになるといいでしょう。
「おまえうまそうだな」のレビューはこちら↓
お話は…
草食恐竜マイアサウラのお母さんは、ある日、森でひとつの卵を拾います。
彼女はそれを、自分の卵と一緒に大切にあたためて育てました。
やがて生まれた恐竜は、恐ろしいティラノサウルスだったのです!
驚いたマイアサウラは、ティラノサウルスの赤ちゃんを森へ捨てにゆきます。
けれども、途中で不憫になり、マイアサウラの赤ちゃんをライト、ティラノサウルスの赤ちゃんをハートと名づけ、自分の子どもと同じように愛情をかけて育てることにしました。
ハートは心優しい恐竜に育ち、三匹は赤い実を食べながら幸せに暮らしていました。
ところがある日……
……と、いうのがあらすじ。
「生みの親か、育ての親か」というのは昔からよく言われる言葉です。
自力ではなにもできない赤ちゃんの時から就学前くらいの年齢まで、どれだけ愛情に包まれて育ったかは、その後の人生を大きく左右するからです。
生まれたての赤ちゃんは、大人に迷惑をかけるだけの存在で、毎日が失敗の連続です。
しかし、その「何の役にもたたない」存在が、まるっとそのまま認められることで、心の芯の部分にしっかりとした自己肯定感がはぐくまれるのです。
「自己肯定感」は自己愛や自己正当化とはちがい、自分自身を欠点も含めてまるごと受け入れる力です。自己肯定感の高い人は、むやみにプライドを守る必要もなく、失敗におびえることもありません。
失敗や欠点によって、自分の価値が損なわれないことを本能的に知っているからです。
ティラノサウルスのハートは、マイアサウラのお母さんにありったけの愛情を注がれて育ちました。
それゆえに、人生がひっくり返るような衝撃にも耐えられたし、その後も大きな決断も自分自身で下すことができたのです。
文章は読みやすく、すべてがひらがなとカタカナだけで書かれていますので、50音が読めれば1人でコツコツ読みきることができます。もちろん、読み聞かせにもおすすめ。大人が読んでも深い母性に包まれて癒されます。
深い深い母の愛と、心の強さを描いた絵本です。
子どもから大人まで、老若男女におすすめです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。HSPやHSCのほうが多くのメッセージを読み取れるでしょう。母の愛に育まれて強く成長したティラノサウルスが印象的です。
最近のコメント