【クマと森のピアノ】ほんとうの幸せとは?心に音楽が響く、静かでやさしい絵本。【4歳 5歳 6歳】
ある日、こぐまのブラウンは森の中でへんてこなものを見つけました。「なんだろう?」そーっと触ってみるとこれまでに聞いたことのない音がしました。(クマと森のピアノ デイビッド・リッチフィールド/作 俵万智/訳 ポプラ社)
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ くま☆☆☆☆☆ 幸せとは☆☆☆☆☆
クマと森のピアノ デイビッド・リッチフィールド/作 俵万智/訳 ポプラ社
<デイビッド・リッチフィールド>
イラストレーター。イギリスのベッドフォードシャー生まれ。雑誌・新聞の挿絵や装画、Tシャツのイラストなどを手がける。デビュー作「クマと森のピアノ」(ポプラ社)は、2016年にウォーターストーンズ児童書賞(絵本部門)受賞、第11回MOE絵本屋さん大賞2018第10位入賞
<俵万智>
歌人。早稲田大学在学中より、短歌を始め、第一歌集「サラダ記念日」(河出書房新社)で第32回現代歌人協会賞を受賞。以降、幅広い執筆活動を行い、評論「愛する源氏物語」(文藝春秋)で第14回紫式部文学賞を、「プーさんの鼻」(文藝春秋)で第11回若山牧水賞を受賞している。
しみじみと心に響く絵本のご紹介です。原題はThe Bear and the Piano.イギリスでの初版は2015年。日本版は2017年です。
お話は……
ある日、こぐまのブラウンは森の中でへんてこなものを見つけました。そーっと触ってみると、これまでに聞いたこともないような音がします。
この音の出るモノに惹かれたブラウンは、毎日そこに通い、いつしか美しいメロディを奏でられるようになりました。
やがて、素敵なメロディに誘われて森のクマたちが集まるようになりました。親友のクマ、グレイは毎晩、魔法にかかったように耳を傾けてくれます。
ある晩のこと、一人の女の子とお父さんがブラウンの演奏を聴いて立ち止まりました。
ふたりが言うには、そのへんてこなものはピアノ。
ピアノから出る音は音楽と言うんですって。
「一緒に街へ行きましょうよ」と女の子はブラウンを誘います。
街で音楽というものを聴きたい、大勢の人の前でピアノをひいてみたいと思うようになったブラウンは、海を越えて街へゆきました。
そして、ブラウンは大スターになったのです……
けれど……
……と、いうのがあらすじ。
森の中で、それが何であるかも知らずピアノと出会ったブラウンは、自己流で美しい音楽を奏でられるようになります。
その才能に気付いた女の子に誘われて、街に出たブラウンは「ピアノが弾けるクマ」として大スターになり、大きな名声を得るのでした。しかし、ブラウンの心はなぜだか満たされなくて……
ほんとうの幸せとは何か、音楽とは何か、そんなこと静かに問いかける物語です。ブラウンはクマですが、何かの比喩なのかもしれません。
けれど、それをあえて掘り下げなくても、この物語は静かに心の中に入り込んできます。
ラストは美しいハッピーエンド。
しみじみと、あたたかな気持ちが胸に広がってきます。
文章は、漢字混じりですがすべての漢字に振り仮名が振ってあります。文章量は最大で見開きに14行前後、ふつうは5~8行なので、五十音が読めればひとり読みでもコツコツ読めば最後まで読み切ることは可能です。
しかし、これはぜひ、読み聞かせで。
かなり大判な絵本ですが絵が美しく、見ているだけでブラウンの気持ちが胸にせまってきます。
心の中に美しいメロディが響く物語です。動物ファンタジーが好きなお子さま、音楽や楽器がお好きなお子さまにおすすめです。
何か美しくてやさしいものに触れたくなったらぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
おすすめです。HSPやHSCの方のほうがより多くのメッセージを受け取れるでしょう。ピアノや音楽がお好きなお子さまに。
イラストが圧倒的に美しく、ラストシーンは心を打ちます。
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