【賢者の贈り物】100年以上読み継がれてきた O.ヘンリーの名作。若い夫婦のクリスマスの奇跡【小学校中学年以上】

2024年3月2日

広告

新訳 賢者の贈り物 ・最後のひと葉 オー・ヘンリー/作 越前敏弥ほか/訳 椎名優/絵 角川つばさ文庫

ジムとデラは若い、貧しい夫婦でした。デラは貧しいながらも、なんとかしてジムにクリスマスプレゼントを贈りたいと考えます。けれども、家にはお金がありません。デラにあるのは、美しい髪だけ。そこで……

この本のイメージ 珠玉の短編集☆☆☆☆☆ はずれなし☆☆☆☆☆ 一度は読むべき☆☆☆☆☆

新訳 賢者の贈り物 ・ 最後のひと葉  オー・ヘンリー/作 越前敏弥ほか/訳 椎名優/絵 角川つばさ文庫

 O.ヘンリーの短編集は、様々な出版社から発売されていますが、お子様へのクリスマスプレゼントとして、今回はこれをセレクト。表題作のほかに10作の短編が収録されています。

 「賢者の贈り物」はあまりにも有名で、国語の教科書などにも掲載されていたこともありますから、ご存知の方のほうが多いと思います。しかし、今回じっくり読んでみて、このお話は、O.ヘンリーの作品のなかでは、わりと地味なほうの作品なのだと知って驚きました。

 たしかに「賢者の贈り物」は教訓的な名作なのですが、あわせて収録されている物語がどれも、心が引き込まれる完成度の高い短編ばかりなのです。

 O.ヘンリーは短編の名手で、生涯で280作の短編を残したそうですが、短編と言うよりもショートショート、掌編小説と呼ばれるくらい短いものが多く、作家としては珍しいタイプだと思います。

 ところが、これが全部面白い。
 全部読んでしまうと、最も有名な「賢者の贈り物」と「最後のひと葉」がいちばん印象に残らないくらいのレベルなのです。天才だったんですね。

 わたしは「ハーグレイブズの二役」が好きです。おおおっ、と言う驚きとともに感動が押し寄せてきます。「お金の神様と恋の神様」もダイナミックですばらしい。「最後のひと葉」もいいんですが、やっぱり、ハッピーエンドが好き。

 短い作品の中に心をとらえるエッセンスがぎゅっと詰まっています。
 ひとつひとつのお話が、緻密に計算されており、しっかり伏線もあってラストはきれいに収束しています。

 これはおすすめです。
 たいへん短い作品ばかりなので、毎日一遍ずつなど、読み聞かせにも最適。テーマと起承転結がしっかりしているので、子どもから大人まで理解しやすく、テイストはやわらかで、人間の善意に満ちた作品ばかりです。

 O.ヘンリーの小説の中には救いのないお話もあるにはあるのですが、この本はクリスマスプレゼントにすることを前提にこまやかな配慮で作品がセレクトされており、ちょっとクスっとしたり、幸せ気分になったりと心温まる作品集になっています。これはうれしい。

 また、絵も今風のかわいらしいイラストなので、小さなお子様にはなじみやすいでしょう。古典名作への入り口として、テーマ、内容、読みやすさ、すべてにおいてぴったり。

 文章は平易で読みやすく、内容的にも正統派のハートフルなお話ばかりなので、どなたにもおすすめできます。対象は小学校中学年以上ですが、短い話ばかりで、すべての漢字に振り仮名がふってあるので、かしこい子なら低学年からでもこつこつ読めると思います。

 もちろん、大人が読んでも楽しめます。フォントが読みやすいので大人の和みタイムにもおすすめ。漫画風のイラストがお好みなら、ぜひこれを。

 子供向けに編集されていながらも、上等のチョコレートボックスのような名作集です。漫画で言えば藤子不二雄先生や萩尾望都先生の、16ページの名作短編ばかりで構成された傑作選みたいな豪華さ。

 寒い冬に、熱いミルクティーかハーブティーをお供に、100年以上愛され続けた傑作短編をお楽しみください。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。ネガティブな要素はありません。心温まる名作短編ばかりです。

 ただし、ご存知の方も多いと思いますが「最後のひと葉」のお話だけが、「街に肺炎が流行する」と言う設定のお話なので、それだけ先にお伝えしておきます。
「そういう話なのだな」と身構えていれば大丈夫ならば、おすすめです。ハッピーエンドです。

商品紹介ページはこちら

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告