【コンビニたそがれ堂】ほしいものが必ずある? 不思議なコンビニのファンタジック・ハートフルストーリー【小学校高学年以上】

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コンビニたそがれ堂 村山早紀/作 こより/絵 ポプラ文庫ピュアフル

風早の街、駅前商店街のはずれに、夕暮れ時になると不思議なコンビニ「たそがれ堂」があらわれる。大事な探し物がある人は、ここへ行けば必ずみつかるという。心があったかくなる、ハートフルファンタジー。

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ ハートフル☆☆☆☆☆ 子どもから大人まで☆☆☆☆☆

コンビニたそがれ堂 村山早紀/作 こより/絵 ポプラ文庫ピュアフル

<村山早紀>
1963年長崎県生まれ。日本の児童小説作家。「ちいさいえりちゃん」で毎日童話新人賞最優秀賞、椋鳩十児童文学賞を受賞。主な作品は『シェーラひめのぼうけん』『新シェーラひめのぼうけん』シリーズ、『風の丘のルルー』シリーズ、『はるかな空の東』などであり、近年は風早の街を舞台にした『コンビニたそがれ堂』シリーズ、『カフェかもめ亭』シリーズ等が人気を博している。

 

コンビニたそがれ堂 村山早紀/作 こより/絵 ポプラ文庫ピュアフル

 初読です。
 もとは、2006年にポプラ社から刊行された児童書で、これはその文庫版のようです。文庫版の初版は2010年。児童書版は現在、市場では入手できないようです。2006年と言うと、わたしが人生でいちばん忙しかった頃で、これは当時、出会えていなくてもしょうがない。
 ポプラ社さま、リニューアルしてくださってありがとうございます。出会えました。

 もともとが児童書なので、とてもあたたかく、やさしい気持ちになれる短編集です。

 イメージとしては、昭和の30分テレビアニメシリーズ。藤子不二雄先生のアニメの、もうちょっと繊細なハートフル版と言う感じです。毎回、主人公が「たそがれ堂」を訪れ、それぞれが、棚に自分の「探し物」を見つけ、買ってゆきます。

 不思議な「たそがれ堂」は、たぶんお稲荷さんの化身。探しものがある人の前にあらわれ、問題が解決すると消えてしまいます。

 お話は

 ・コンビニたそがれ堂
 ・手をつないで
 ・桜の声
 ・あんず
 ・あるテレビの物語

 の五編です。

 どれも、しみじみとしたあたたかい気持ちが広がる、悪人のいない優しい世界の物語です。傷つけあう者同士の話でさえ優しくて、救いがあります。

 わたしが一番好きなお話は「桜の声」。
 桜子さんが出会うのが、過去だけでなく未来もあると言うのが、本当に好きなのです。

 桜子さんは、わたしなどからみたら充分お若いのですが、それでも女性として生きて、年齢や人生について悩める歳になりました。自分の仕事はやりがいがあるけれど、本当にこれでいいのか、悩む年頃です。

 女性には、こういう時期が定期的にあります。
 「自分のしたいこと」、「目指したいもの」と、「こうあるべき」「ふつうはこうだろう」のあいだで揺れ動くのです。

 そんな桜子さんが出会ったのが、「過去」だけでなく「未来」だと言うのが、「ああ、本当にいいなあ」と思ったのでした。

 わたしは、古い物がだいすきです。レトロな小物が飾られた雰囲気いっぱいの純喫茶や、小民家、昔の建物を改造した美術館などには、コロナ禍の前は、見つけると思わず吸い寄せられていました。明治も大正も昭和も、それぞれの雰囲気があって良いのです。もちろん、江戸も平安も。

 だからといって新しいものが嫌いなのでもなく、最新のものも好きなのです。ちゃんと使いこなせてはいないけれど、コンピューターやインターネット、便利なハイテク機器も大好きです。

 わたしにとっては、古い物はファンタジー、新しいものはSFって感じなのです。

 時代が大変化しているときは、古くて愛しいものが、どんどん失われてゆきます。それは、本当につらく寂しいときもあるのですが、新しくてすばらしいものも生まれてきていて、そこには、素敵な出会いがたくさんある。

 たとえば、インターネットがなければ、わたしはこの小説に出会っていなかった、と思います。

 わたしは、過去と未来のどちらもが桜子さんを訪ねてきて、そして、桜子さんが自分の「現在」を肯定したことに、安堵とうれしさの混じった「ああ、いいなあ、これ」と言う気持ちになったのでした。

 正直言うと、わたしは「この世界は人類を愛している」と、心の底から信じきることができません。
 ときどき、ふと「こんな人類でごめんなさい」と思ってしまったり、「こんなことでいいんだろうか」と感じたり、心が揺れ、疲れきってしまうこともあります。

 けれど、そんなとき、こういう小説に心が救われるのですよね。「この世界は人間を愛している」と信じている人の作品は、それを信じきれない人間の心も癒すのです。ありがたいことです。

 文章は平易で読みやすく、あたたかい、やさしい物語ばかりです。大人用にリニューアルされた文庫なので、振り仮名が少なくて、子どもには大変かもしれませんが、ぜひ、小学校高学年から挑戦していただきたい名作です。子ども時代のやわらかい心に、届けたい。もちろん、大人の和み本としても。

 シリーズ物になっていますから、続きが楽しみです。こつこつと読み進めてゆくつもりです。

 巣篭もり期間の癒しにぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素がほとんどありません。悪人の出てこない、やさしい世界です。HSPやHSCの方にとくにおすすめします。もともとが児童書なので、子どもが主人公の話が多く、ノスタルジックな雰囲気があります。子ども心に帰りたいとき、なつかしい雰囲気に触れたいときに。

 読後は、コンビニに行って、好きなものを買ってティータイムを。
 今なら、やっぱりアイスクリームでしょうかしらね。

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