【あんしんえほん】自分で自分を守る!はじめての「よのなかルールブック」【4歳 5歳 6歳 7歳 8歳】
「あんしん」ってどんなこと?こわいきもちにならないこと。いたいところがないこと。えがおでいられること。そして、じぶんで、じぶんをまもれること……小さな子どもが社会に出てゆくときに大切な「よのなかルールブック」。
この本のイメージ 社会のルール☆☆☆☆☆ 読み聞かせにおすすめ☆☆☆☆☆ 説教臭くない☆☆☆☆☆
あんしんえほん はじめての「よのなかルールブック」 高濱正伸/監修 林ユミ/絵 日本図書センター
<高濱正伸>
「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。保護者を対象にした講演会は、参加者が年間30000 人を超える。「情熱大陸」(毎日放送)、「カンブリア宮殿」「ソロモン流」(いずれもテレビ東京)など、数多くのテレビ番組に紹介され大反響。
<林ユミ>
イラストレーター。「あんしんえほん」「おやくそくえほん」「子どもテツガク」など。
本日は、知育絵本のご紹介です。
著者の高濱正伸先生は、「花まる学習会」と言う学習塾の塾長さんらしいです。わたしは存じ上げないのですが、かなり有名な方らしいですね。
この「花まる学習会」については、何の知識もないので、ここでなんとも書けないのですが、この絵本は「これはすごくいい本だな!」と感動しました。
高濱先生は、教育熱心な保護者の方にはかなり有名な方のようなので、そもそもこのブログで紹介しなくてもいいくらいの、有名な絵本なのかもしれません。
けれども、なんの予備知識もなく、偶然手にとって読んでみて、「ああ、わたしの小さい頃にこんな絵本があったらな」と純粋にそう感じたので、ご紹介したいと思います。
この本には、小さなお子さまが現代社会の生活で気をつけなければならないことが、ほとんど書いてあります。
たとえば(以下、項目を引用)
・どうろをわたるときは、おうだんほどうのあるところにする。
・しんごうがあおでも、みぎ・ひだりをみる。
・はさみは すぐにかたづける
などに始まり、
・しらないひとに ついていかない
・しらないひとから たべものをもらわない
・やりたくない あそびは はっきりことわる
・しらないひとには、なまえやじゅうしょを ひみつにする
などの防犯関係の項目、
また、
・くるまにのるときは、シートベルトをする
・くるまのまどから てやかおをださない
など、車での事故防止の項目もあります。
もちろん、今年出版の絵本なので、手洗い、うがい、マスクのつけ方の項目もあり、至れり尽くせり。
「シャワーのおんどを かってにかえない」等の項目があるのが、きめこまかい。小さなお子さまに注意しなければならないこと、教えなければならないことが、かなり詳しく書かれています。
これ、いちいち口で注意されていたらどうでしょうか。毎日、家の中の空気がギスギスしてしまって、安らげません。
昔から、小さな子どもに社会のルールを教えるのは難しく、各家庭で、それぞれの工夫がなされてきました。でも、全部を言い聞かせてわからせようとすると、毎日しかってばかりになるし、壁に注意書きを貼るのも、増えてしまえば気詰まりです。年長の子にまかせると、お兄さんお姉さんにプレッシャーがかかってしまいます。
そもそも、昔は子どもに何かおきてからしかる、の積み重ねでしか教えられませんでした。
この「あんしんえほん」は、小さな子どもが外遊びを覚え、幼稚園や小学校で友だちと遊び始めた年齢の頃に、気をつけないといけないことがほとんど書かれています。
しかし、それだけではなく、大切な注意事項の中に
・よくたべて、よくねる
・ぐあいがわるいときは、しっかりやすむ
が、入っているのが、いいんです。
そして、最後の項目。
・こころがくるしくなったら、がんばるのをやすむ。
どんなことよりも だいじなのは、
あなたのこころを まもること。
なかよくできない ともだちが いても、
かけっこで いちばんになれなくても、
べんきょうが にがてでも、
あなたのこころが げんきなら、
それでいいんだよ。(引用p53)
この絵本が、この言葉で終わっているのは子どもたちへの救いだと思います。子どもたちにとって、大切なことがたくさん書いてある絵本ですが、大人が怖い顔をして子どもに読ませるなら逆効果。そして、出来ない子のことを「ダメ」とするなら、追い詰めてしまいます。そういう場合のことを予測してか、あらかじめやさしい言葉がたくさんちりばめられているんです。
こんなに大事なことが書いてあるのに、ひとつも説教臭くない。
子どもにも、大人にもやさしい絵本です。
これがあれば、子どものためになるだけではなく、お母さんの負担もぐんと減らしてくれます。日常生活にああだこうだとガミガミ言うことなく、絵本を読むだけで、大切なことを教えられるんですから。
絵本の巻末には、チェックボックスつきの「あんしんルールリスト」がついており、コピーして壁に貼れば、身についた順にチェックして確認することもできます。
これは便利。
この本よりも初歩的な「おやくそくえほん」もあります。
こちらには
・なにかしてもらったら、「ありがとう」という
・なにかしてしまったら、「ごめんなさい」という
・せきやくしゃみをするときは、てやハンカチでくちをふさぐ
など、「これだけは身につけてほしい」と思われる、基本的なことが書かれています。
どちらも素敵な絵本ですが、わたしは「あんしんえほん」の、あふれるやさしさが好きです。
「怒っているわけでも、嫌っているわけでもなく、あなたに安心して人生を送ってほしいのだ」と言う、大人の愛が随所にあふれているのです。
手洗いうがいや、マスク、歯磨きなどに触れているのが、今のお母さんお父さんにありがたいのでは。今は、リモートなどで家族が家にいることが多く、お母さんの仕事が爆発的に増えて、いままで口頭で伝えればすんでいたことも時間が足りなくなってきています。
わたしは、絵本はコミュニケーションツールだと思っています。
言いにくいこと、言えないことを、絵本が代わりに語ってくれるのです。
字はすべてひらがな。ですから、五十音が読めれば、どなたでも読めます。内容的には、小学校低学年くらいまであてはまるので、親子での読み聞かせだけでなく、年長のお子さまの弟さん妹さんへの読み聞かせにも良いでしょう。
お留守番の多いお子さまへのプレゼントにも。でも、これはぜひ、最初の一回は読み聞かせしてあげてください。
なぜなら、
あなたには 「あんしん」して いて ほしい。
だって、あなたは、
せかいで たった ひとりしか いないから。
とても たいせつな ひとだから。(引用p4)
ここは、絶対に、読み聞かせのほうがいいんです。
家の中が張り詰めた雰囲気になるのを防ぐ、やさしいルールブック「あんしんえほん」。あたたかくて、たいせつなことがたくさん書かれています。
クリスマスプレゼントに、そして、なんでもないときのプレゼントに、ぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。小さな子どものための、必要充分な注意事項が、あたたかい言葉とともに書かれています。言葉でしからなくていいので、家庭内が緊迫した雰囲気になるのを防いでくれる、ありがたい絵本です。
「よくたべて、よくねる」や「こころがくるしくなったら、がんばるのをやすむ」など、大人にとっても大切なことが書かれています。
どうぞ、ひとやすみしてくださいね。
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