絵本界のロングセラー。空の上のかわいいパン屋さんのおはなし。【幼稚園~】
いずみがもりは、からすのまちでした。からすのパン屋さんのおうちに、かわいい四羽のあかちゃんが生まれました。
この本のイメージ かわいい☆☆☆☆☆ たのしい☆☆☆☆☆ おいしそう☆☆☆☆☆
からすのパンやさん かこさとし/作 偕成社
たいへん有名な、絵本界のロングセラー「からすのパンやさん」です。
いずみがもりは、からすの多い、からすの町でした。
その町のパン屋さんの夫婦に、子どもが四羽生まれます。どういうわけか、この四羽は黒くありませんでした。白いからすはオモチちゃん、黄色いからすはレモンちゃん、赤いからすはリンゴちゃん、茶色いからすはチョコちゃんと名づけられ、両親にかわいがられながらすくすくと育ちます。
でも、子どもが四羽もいると、子育てがたいへんなので、どうしても時々パンを焦がしてしまいます。四羽は、そんな失敗作のパンを食べて育ちました。
ところが、四羽が食べているパンを見て、近所の子どもたちがうらやましがるようになりました。
やがて、子どもたちにねだられてパン屋さんにたくさんのお客さんがやってきます。
子どもたちも手伝って、たくさんたくさんパンを焼き、たくさんたくさん買ってもらいました。
パン屋さんは大繁盛。
めでたしめでたし。
というお話です。
もともと、人間にあまり好かれていない「からす」という真っ黒な鳥が主人公の物語です。
その、からすの子どもたちなのに、ぜんぜん黒くないヒナが四羽も生まれてくる。
でも、両親は、そんなことかまわずにかわいらしい名前をつけ全力でかわいがって育てる。
すると、仕事と育児を両立できなくて失敗してしまう。
ところが、この「失敗パン」を子どもたちは、「世界中でお父さんしか焼けない特別なパン」だと自慢する。
その結果、近所の子どもたちがうらやましがって、買いに来る…
と、短いお話の中に、たくさんの示唆が含まれています。
字が多めの絵本なので、絵ばかりの絵本を卒業したくらいから。そして、この本は、断然、読み聞かせにおすすめです。
親子で一緒に読むと、心の交流が生まれるような配慮が随所に施されており、「あなたが生まれたときはね……」と思い出話をはさんだり、「このパンの形はなあに?」と質問したり説明したり、「さあ、パンの数を数えてみようね」と数を数える練習をしたり。
パン屋さんが繁盛するくだりでは、間違えて消防署に電話してしまう人がいるなど、いろんな職業が登場するので、子どもの好奇心を満たし、知育の効果もあります。
また、絵がとてもかわいらしく、細かいところまで書き込んであるので、何度読んでも新しい発見があります。
パンの絵はおいしそうで、いろんな形のパンが並んでいるページは壮観です。(数えてみたら88個ありました!)
いちごの形のいちごパンや、みかんパンなど、まともでかわいらしい形のものから、ヨットの形のヨットパンや、のこぎりの形ののこぎりパン、でんわパン(ああ、この形はいまの子どもは知らない……)、バイオリンパンなど、どうしてこの形のパンを作ろうとしたのか謎なパンもたくさんあります。
でも、読んだら、きっと作りたくなるはず。「うちでも、パン屋さんやろう!」って。
そして、からすのパン屋さんは、半焼きだったり焦げたりするのが「とくべつ」なので、失敗してもOKなのです!
何度読んでも、随所に親子の交流が生まれるように作られており、ロングセラーになるのも納得だな、と首がもげるほどうなずいてしまいました。
1冊あるだけで、何度も楽しめる「からすのパンやさん」。まだ読んでいない方は、いまからでもぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。大人が読んでも、かわいらしくてほほえましい本です。休日の午後やお風呂上りに読むと癒されます。お気に入りのパンをご用意くださいね。(読み「ながら」食べるのではなく)。
絵本とトートバッグがセットになった、ギフトセットもあります。プレゼントにぴったり。絵本もバッグも、かぶっても問題なし!お子様のいるご家庭に、ぜひどうぞ。
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