【少年ケニヤ】【入手困難】ケニヤで生き延びる日本少年ワタルのサバイバル【復刊希望】【小学校中学年以上】

2024年2月11日

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少年ケニヤ 山川惣治/作・絵  角川文庫

アフリカ、ケニヤで親とはぐれた日本人孤児ワタルは、マサイ族の族長ゼガに助けられ、たくましく育ちます。ワタルは父を、そして父大助はワタルを探して、アフリカの地を旅します。

この本のイメージ 受難☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆ アフリカ☆☆☆☆☆

少年ケニヤ 山川惣治/作・絵  角川文庫

<山川惣治>
山川 惣治(やまかわ そうじ、1908年2月28日 – 1992年12月17日)は主に昭和20年代(1945年から1954年)から昭和30年代(1955年から1964年)に活躍した絵物語作家。福島県郡山市生まれ。戦前より紙芝居作家として、戦後は絵物語作家として多くの作品を発表した。

 1951年10月7日から1955年10月4日まで「産業経済新聞」(現:産経新聞)に連載されていた絵物語であり、1984年に角川書店がアニメ映画化した際には1983年から角川文庫でリバイバルされて、全20巻が復刊されました。

 最近は、こういうテイストの小説、ないなあと思ってご紹介。
 このサイトは読書サイトではありますが、ふつうなら新刊や話題の本、メディア展開されたりニュースになったりする本を取り上げたほうがアクセスが稼げるとわかっていながら、あえて、時々、古い本や入手困難な本をご紹介しています。

 というのも、やはり、70~90年代、日本の景気が右肩上がりだった頃に出版されていた書籍には名作が多かったのです。この「少年ケニヤ」は、もともとは1951年の作品ではありますが、1983年にリバイバルされ、そのさいもかなりの話題になった物語でした。

 あらためて、今の子どものための児童小説としても充分通用するよなあ、と思い、角川さま、再販してくれないかしらという気持ちでレビューを書いています。

  男の子が異郷の地で大冒険するという、日本版「ジャングル・ブック」のような荒唐無稽な物語ですが、令和でこういう物語をつくろうとすると、いろいろと多方面に問題が出て、異世界ものとかじゃないと書けないのでしょうね。制約は多そうです。(今、この物語を再版しようとすると、時代背景を含めてたくさん注釈を入れないといけなくなることでしょう。けれども、古い小説をたくさんの注釈つきで出版することができたら……素敵な本との出会いの機会は、大きく広がる気がするし、そんな柔軟な世の中になればいいのにとも思うのです)

 しかし、とにかく、次から次へと襲い来る困難、それに対して、真正面から挑む主人公、そして、その主人公の勇気や熱意に心動かされるマサイの戦士や動物たち、と、王道の冒険物語です。

 アフリカはケニヤの地に、商社の仕事で駐在中だった村上大助(どっかで聞いた名前だ……)とその息子ワタルですが、途中で第二次世界大戦が始まってしまいました。ケニヤは英国領だったことから、イギリスの捕虜になることを恐れ、村上親子は夜にジャングルの奥地へと逃れますが、途中でサイに襲われ離れ離れになってしまいます。

 ワタルはサイにしがみついたまま、ジャングルの奥へ奥へと連れ去られてしまいました。

 父大助と息子ワタルは、それぞれが1人で逃亡の旅を続けることとなります。ワタルは、マサイを追われた元族長ゼガを助けたことで、ゼガと親しくなり、槍の使い方などを教わりながら二人で旅をするようになります。
ここまでが1巻のお話。

 2巻以降は、美少女ヒロインも登場し、息もつかせぬ展開で引き込まれます。

 絵物語なので、全編に躍動感あふれる挿絵が入っており、文章は平易で読みやすく、いまでも充分通用して面白い物語です。

 「少年ケニヤ」連載当時の産経新聞は、「ケニヤ新聞」と呼ばれるほどの大人気だったらしいので、今、復刊されれば、お爺さん世代、お父さん世代、孫世代と、三代、下手したら四代で楽しめる物語になると思います。
オンデマンドでもいいので、解説付きで復刊してもらいたい本のひとつです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

  戦ったり、傷ついたりするシーンはあるのですが、うまく描かれていて、あまり残酷さを感じさせません。「そういうシーンがあるのだな」と身構えていれば大丈夫な方なら、じゅうぶん読めると思います。
  もともとは絵物語なので、お子様でもだいじょうぶ。
  図書館や古書店などで出会ったときは、ぜひ読んでみてくださいね。

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