【タイムライダーズ】世界中でヒットしたタイムトラベルSFの第2巻。【紀元前6500万年からの逆襲】【中学生以上】
タイムマシンによる「時間汚染」を食い止めるため、世界各地、様々な時代から「死ぬはずだった」若者たちが集められ、タイムライダーズが結成された。今回のミッションは「タイムマシン」のを生み出すきっかけとなる若者の命を守ることだ。
この本のイメージ SF☆☆☆☆☆ 恐竜☆☆☆☆☆ サバイバル☆☆☆☆☆
タイムライダーズ 紀元前6500万年からの逆襲 1 & 2 アレックス・スカロウ/作 金原瑞人/樋渡正人/訳 ワカマツカオリ/絵 小学館
<アレックス・スカロウ>
1966年イギリス生まれの作家。大学卒業後ロックギタリストとして活動。その後、グラフィック・アーティスト、ゲームデザイナー、シナリオ作家を経て、作家となる。
アレックス・スカロウの「タイムライダーズ」シリーズ第2弾です。
本国では完結しているようですが、日本では、三作目までしか翻訳されていないようです。三作目が出たのが2015年なので、もしかしたら、もう続きは出ないかもしれませんが、かなり面白い作品なので、続きが翻訳されることを願って、ご紹介。
今回のお話は……
タイムトラベルを阻止したいなんらかの組織が、タイムマシンの理論のもとになる論文を書くことになる若者、エドワード・アーロン・チャンの暗殺をもくろみ、一人の若者を過去に飛ばします。
その青年レオナルド(本名ハワード)からエドワードを守るべく、「タイムライダーズ」のリアム・オコナーと支援ロボットベックスが2015年にタイムトラベルします。しかし、そのさいのアクシデントで、その場所にいた全員が白亜紀に飛ばされてしまいました。
突然、恐竜時代でのサバイバルを強いられるリアムたち。
彼らがどの時代に飛ばされたのか、基地にいるマディたちにはわかりません。
リアムたちは、いったいどんな手段で自分たちのいる時代を伝えるでしょうか。そして、エドワードは守れるのでしょうか。
そして、リアムは基地に戻れるのでしょうか。
……と、いうのがあらすじ。
タイムライダーズは、1912年のアイルランドの少年リアム、2010年のアメリカの少女マディ、2026年のインドの少女サルが、2001年のニューヨークに集められて結成されました。
彼らはそれぞれの時代で「死ぬはずだった」若者たちです。
創立者フォスターの誘いで集められた彼らですが、「タイムライダーズ」の結成の成り立ちや、他にも仲間がいるのかどうかなど、組織には謎が多く、それらの謎解きはこれからと言う感じ。
前回のミッションで破壊された支援ロボット「ボブ」は、現在は基地のメインコンピュータに記憶が組み込まれていますが、この記憶をもとに、彼らはもう一度新しいボディでボブを生み出そうとします。
ところが、サルの手違いで、生まれてきたのは女性型でした。
ボブの記憶を持つ女性(しかも脳はAI)と言う、突拍子もないキャラクターが今回のヒロインです。ヒロイン?と言っていいのか、それは微妙ですが、論理的で無表情、常に冷静だけど、馬鹿力で、馬鹿強いと言うスーパーガール。
前回のボブと同様、リアムとともに行動するうちに心らしきものが芽生えてきます。
一方、リアムを捜索するマディたちも、失敗を繰り返しながら成長してゆきます。
手探りで作戦を考え、行動しますが、どの作戦もすんなりと計画通りにはゆきません。予想外のことが次々と起こります。しかし、最初はとまどうばかりだったマディも、想定外の事件の連続に対応できるようになります。
キャラクターの心理描写や教訓的なテーマなどはほとんどないのですが、純粋なエンターテイメントSFとして、クオリティが高く、わくわくしながら最後まで読めます。
ラストでは、少しだけ、リアムの秘密がわかります。
タイムライダーズたちの今後の運命は? この世界は今後どうなってしまうのか? 世界は、歴史は救われるのか?
たくさんの謎をはらんだシリーズです。
全体を流れる大きなストーリーはあるのですが、エピソードそのものは、それぞれで完結しているので、この「紀元前6500万年からの逆襲」だけでも楽しく読めます。
新作の翻訳は、かれこれ六年出版されていないので、今後続きが翻訳されるかどうかは微妙ですが、逆に巣ごもり生活で本の需要は伸びています。最近は電子書籍も定着してきたので、せめて電子ででも出版していただけたらうれしいです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
残酷シーンや流血シーンはあります。苦手な方はご注意ください。「そういうシーンがあるのだな」と身構えていれば大丈夫な方にはおすすめ。
2001年の基地と白亜紀のメンバーたちのストーリーが交互に入る、アクションいっぱいの謎解きとサバイバルのストーリーです。
特撮SF映画などが好きな方は、週末の息抜きにぜひどうぞ。
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