【チポリーノの冒険】宮崎駿監督も愛したイタリアの児童文学。たまねぎ少年の大冒険【小学校中学年以上】

2024年3月9日

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チポリーノの冒険 ジャンニ・ロダーリ/作 杉浦明平/訳 岩波少年文庫

ここは野菜とくだものの国。たまねぎの少年、チポリーノのお父さんチポローネは、ひょんなことで偶然、レモン大公の足を踏んづけてしまいます。牢屋に入れられてしまったお父さんをいつか助け出すと心に誓うチポリーノ。そして、チポリーノの大冒険が始まります。

この本のイメージ 冒険☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆ 野菜ファンタジー☆☆☆☆☆

チポリーノの冒険 ジャンニ・ロダーリ/作 杉浦明平/訳 岩波少年文庫

<ジャンニ・ロダーリ>
ジャンニ・ロダーリ(Gianni Rodari、1920年10月23日~1980年4月14日)はイタリアの作家、ジャーナリスト。特に児童文学で有名。1970年には国際アンデルセン賞を受賞し、20世紀イタリアにおける最も重要な児童文学作家とみなされている。

 

 イタリア児童文学の名作、「チポリーノの冒険」です。原題はIl Romanzo di Cipollino.原書初版は1951年。
日本語版初版は1956年。
 根強いファンが多い作品です。わたしは、子供の頃に読みそびれ、恥ずかしながら今回が初読です。
 長く愛されている日本語版の挿絵は、原書のものではなく、ロシア語版の挿絵で、B.スチェーヴァさんと言うのだそうです。

 宮崎駿監督著「本へのとびら」でも、「影響をうけた本」として紹介されています。

 おはなしは

 野菜とくだものの国の子ども、チポリーノは玉ねぎ少年です。
 ある日、お父さんのチポローネが、不幸な偶然でレモン大公の足を踏んでしまい、牢屋に入れられてしまいました。
 「お父さんをきっと助ける」と約束するチポリーノ。

 この国は、横暴なレモン大公や、オレンジ男爵、トマト騎士などに、庶民は苦しめられていたのでした。
 チポリーノは、さまざまな困難を乗り越えながら、貴族のサクラン坊や、モグラのおばあさん、クマの坊やなど、立場や種族を越えて交流し、仲間を増やしてゆきます。

 さて、お父さんは助け出せるでしょうか?
 そして、この国はいったい、どうなってゆくのでしょうか?

 と、いうのがあらすじ。

 冒頭に、チポリーノからの、日本のこどもたちへのメッセージが入っています。
 日本といえば、「火山とさくら」くらいしかイメージが無いけれど、イタリアにも火山はあるし花は咲いていますよ、と言うような書き出しで始まっています。

 そうなんです、日本は今も火山とさくらの国です。
 そして、日本人は野菜とくだものが大好きです。

 かわいらしい野菜と果物たちが駆け巡る、ゆかいな物語です。
 物語は小さな章に細かく分かれているので、読み聞かせにぴったり。毎日一章ずつ読んであげれば、だいたい一ヶ月で読みきれるちょうどよさ。

 文章は平易で読みやすく、簡単な漢字以外には、振り仮名が振ってあるので、小学校中学年から読めると思います。

 しかし、登場人物が意外に多く、お子さまによっては、混乱して読みきれないかもしれないので、ゆっくり読みながら、読書ノートやメモを書くのをおすすめします。

 キャラクターは全員、野菜か、くだものか、動物なので、名前の横に絵を描いたりして、人物相関図を書いてみると楽しいかも。群像ものは、キャラ表があったほうが読みやすいので、ぜひ試してみてください。

 キャラクターの名前がカタカナで、登場人物が多い小説が苦手なお子様は少なくないのですが、この関門を乗り越えると、読書の楽しさがぐんと広がってくるのです。
 それに慣れると、もっと大作の、キャラクターの多い物語や、歴史ものなども読めるようになってきます。(とはいえ、わたしもキャラが多くなってくると、冒頭の「登場人物紹介」を何度も読み返したりしています。あれ、あると助かりますよね)

 挿絵のチポリーノが、とても可愛らしく、他の野菜たちも表情ゆたかで、実に味があります。
 また、要所要所に哲学的な言葉もあり、子どもが楽しく読むのとは別に、大人が読むと感慨があります。

 「この地上では、みんな友だちになれますよ。この世には、みんなのために、クマのためにも、タマネギのためにも、それぞれの席があるんですよ」(p209 引用)

 「自由とは、主人をもたないことです」(p213)

 など、考えさせられる言葉もいっぱい。

 展開がとても面白いので、キャラクターの多さにめげずに最後まで読みきってほしい名作です。
 そうそう、野菜嫌いのお子さまにもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素は無いと思います。
 かわいらしい野菜ファンタジーなのですが、深いテーマもあるので、HSPHSCの方のほうが多くを受け取れるでしょう。

 読後は、野菜たっぷりの玉ねぎスープを。

 

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