【ライバル・オン・アイス】フィギュアスケートが好き!夢に向かってひたむきに進む自己実現ストーリー第2巻【小学校中学年以上】

2024年4月2日

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ライバル・オン・アイス 2   吉野万理子/作  げみ/絵   講談社 

特待生になり、フィギュアスケートが続けられるようになった美馬。でも、女の子から人気の玲央からレッスンを受けられるようになったことから、クラスで孤立してしまいます。そんなとき、愛音が階段から落ちて……

この本のイメージ フィギュアスケート☆☆☆☆☆ 自己実現☆☆☆☆☆ ライバル☆☆☆☆☆

ライバル・オン・アイス 2   吉野万理子/作  げみ/絵   講談社 

<吉野万理子>
1970年生まれ。神奈川県出身。作家、脚本家。2005年、「秋の大三角」(新潮社)で第1回新潮エンターテインメント新人賞を受賞。児童書の作品に、シリーズ20万部を超え、文庫化もされた「チームふたり」などの「チーム」シリーズ(学研)や「100%ガールズ」シリーズ、「時速47メートルの疾走」「赤の他人だったら、どんなによかったか。」(以上講談社)などがある。「劇団6年2組」「ひみつの校庭」(ともに学研)でうつのみやこども賞受賞。

<げみ>
1989年兵庫県三田市出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動をはじめる。

ライバル・オン・アイス 2   吉野万理子/作  げみ/絵   講談社 

 

<この季節おなじみのスケートトーク。不要な方はスクロールしてね>

 先週末は、フィギュアスケートグランプリファイナルinトリノでした。

 宇野昌磨選手!優勝おめでとうございます。
 これで、世界選手権、四大陸選手権優勝と合わせ「キャリアグランドスラム」達成です! あとは、オリンピックの金メダルをとれば、スーパースラム達成になります。ステファン先生、少し泣いてましたね。
 ジャンプ、スピン、ステップすべてにおいてハイレベル。技術と芸術が高いレベルで融合していて、文句なしに現時点で総合力トップです。少しだけミスがありましたが、それが全体に響かないくらい、すべての要素が優れています。
 身体が弓なりに反った状態で高速で回るツイヅルが美しい。
 シングル時代の高橋大輔選手が、頭を大きく後ろに反らせた状態でスピンをするのを得意としており、解説の荒川静香さんが「あれは本当に難しい」とおっしゃっていたのを思い出します。どこまで追求すると完成形なのかはわかりませんが、ショートフリーともに、完成形が楽しみです!

 山本草太選手、銀メダルおめでとうございます!
 度重なる骨折で競技を離れていた時期もあった山本選手、困難を乗り越えての大復活です。
 いままでの苦労が花開いた様を見て、フィギュアファンは感動と元気をもらったと思います。大舞台で堂々と、すばらしい演技でした。
 高難度ジャンプだけでなく、山本選手にしか表現できない繊細で情緒的な世界観があります。全日本も頑張ってください。

 佐藤駿選手、フリーでの怒涛の巻き返し、もうもう、すばらしかった。四回転ルッツをはじめとして、切れ味の良いジャンプ。ジャンプが決まるとスカッとします。佐藤選手の力を世界にアピールできたのではないでしょうか。
 この大舞台でのこの巻き返しは素晴らしい。全日本も楽しみです!

 三浦佳生選手、おつかれさまでした。結果は不本意かもしれませんが、すごいものを見せてもらいました。
 最後の四回転トゥループ。
 ええと、男子フィギュアのフリーのラストジャンプで、リカバリーのためにアドリブで四回転を跳ぼうとした人を、わたしははじめて見ました。いや、もしかしたら、誰か過去にいらっしゃったかもしれませんが、少なくとも、わたしははじめてだと思います。度肝を抜かれました。
 なんというか、いい意味での勝利への狂気じみた貪欲さを感じます(褒めてます)。すごいものを見せていただいてありがとうございました。全日本、期待しています!

 そして、女子。
 三原舞依選手、グランプリファイナル優勝おめでとうございます!
 めでたい、ほんとうにめでたい!
 今回もすばらしい演技でした。ショートの「戦場のメリークリスマス」の三原選手は、まさに氷上に舞い降りた妖精のようでした。難病と付き合いながら、幾度も競技から遠ざかることを余儀なくされつつ、滑り続けてきてくれて本当にありがとう。
 三原選手の病気は「冷え」と相性が悪いはずなのに、諦めずにレベルアップし続けてきました。
 体重を感じさせないふわっとしたジャンプと柔らかいランディングは三原選手ならではのもの。
 今回は、地上波のテレビで一般の方にも三原選手の魅力が伝わったのではないでしょうか。
 全日本までハードスケジュールですが、無理せず頑張ってくださいね。

 渡辺倫果選手、惜しかったです!
 ルッツが決まっていたら、違っていましたね。でも、素敵な演技でした。大舞台で、ショートフリー両方にトリプルアクセルを入れられると言うのは、ほんとうに強いと思います。
 全日本が楽しみです。

 坂本花織選手は悔しい結果となりました。どこか調子が悪かったのかもしれません。世界選手権で優勝したあとバーンアウトしてしまう選手は少なくないので、少し心配です。ただ、今回の結果で負けじ魂に火がついたかも。
 全日本では、熱い演技を見せてくださいね。坂本選手の演技が大好きです!

 そして、そして、ペア。
 りくりゅう! 三浦璃来・木原龍一組、史上初のグランプリファイナル制覇、おめでとうございます! 
 すばらしい結果です。歴史を作ったふたり。
 三浦・木原ペアの演技は見ているだけで、幸せな気分になってしまう、瑞々しい多幸感にあふれた魅力があります。
 まだまだ技術的には追求したいものがあると思うので、これからも期待大のペアです。世界選手権も楽しみです!

 海外選手のことも少し。
 クワドゴット、イリヤ・マリニン選手、相変わらず目玉が飛び出るようなフリーのジャンプ構成でした。ジャンプ以外も洗練されてきています。身体が成長期に入り、肩幅もがっしりと、骨格も太くなってきて、これから暫くは身体のバランスをとるのがきつい時期に入りそう。頑張って。
 おそらく世界選手権の頃にはぐっと大人になったマリニン選手に出会えるでしょう。楽しみです!

<ここからが本題。本日の本紹介>

 本日ご紹介するのは、吉野万理子先生の「ライバル・オン・アイス」。2016年初版です。
 フィギュアスケートを習う10歳の女の子、三矢城美馬と彼女のライバルたちが織り成すスポーツ群像ドラマです。

 お話は、第1巻から完全に続いているので、このレビューを読んで興味を持たれた方は、まずは、第1巻からお読みください。第1巻のレビューはこちら

 ストーリーは……

 晴れて特待生になった美馬でしたが、同じスクールの飛風美から川崎校のナンバーワンになれなければスクールをやめると言う勝負をうけてしまっていました。

 その飛風美は、どうやら玲央のことが好きだったようで、玲央の個人レッスンをうけていたために美馬は嫉妬されて学校のクラスで孤立してしまいます。

 孤独なまま、選考会に向けて難度の高いプログラムを練習する美馬。
 はたして、彼女は勝ち抜けるのだろうか……

 ……と、いうのがあらすじ。

 第1巻では、レッスン料の問題から親友江見香との関係がこじれてしまった美馬。
 今回は、みんなが憧れる玲央から目をかけられ、フィギュアスケートの指導をうけられることで、いじめられてしまいます。

 「小学生のくせに中学生の男子と不純な交際している」という不本意な噂を流され、美馬は孤立してしまいました。

 美馬の考えがかなり大人びているので時々忘れがちなのですが、まだ小学四年生なんですよね。10歳前後はまだまだ自我が安定しない時期。他人の価値観に振り舞わされたり、右往左往したりしやすい。

 この年齢のときに事実でもない噂をクラスで流されて、笑いものになるのはきつい。
 子どもには事実ではないことを証明するすべはないし、事実であるかどうかではなく「面白いかどうか」だけで行動している子もいるので、小さな子どもでは対処できない場合もあります。

 どうやらこの物語は、優れた能力をもった子が突出してゆく過程でおきるさまざまな困難とそれを突破する姿を描く物語のようです。

 今回の困難はかなり陰湿なのですが、美馬ちゃんが、いい意味でアスリート的なさっぱりしたところがあるため、ドロドロしすぎないところが、いい塩梅です。
 必要以上に玲央くんがかまいすぎないのもいい。恋愛ものじゃないんです。どちらかというと、ビジネスパートナーみたいな感じ。

 要所要所で、厳しい意見でピリっと締めてくれる歌代コーチは頼もしい存在です。そして、めげそうなときには笑顔で励ましてくれる愛音ちゃんという友だちもいる。

 あこがれの大船百合香ちゃんの見せ場もラスト近くにすこしだけあります。彼女、「エースをねらえ!」のお蝶夫人みたいにかっこいい。(古いよ)

 とはいえ、美馬たちはまだまだ小学生の女の子。
 負けたくない、勝ちたいと思いつつも、お互いに高めあえる、理想的な好敵手となるまでには、美馬だけでなく飛風美も絵美香も、それぞれが心身ともに成長しなければなりません。
 親の期待もあり、自分の夢もあり、お金の問題もありと、子どもたちの世界も大人の世界並みに複雑です。

 でも、美馬は「フィギュアスケートが好き!」の一点突破で乗り越えてゆくのでした。

 文章は読みやすく、簡単な漢字以外には振り仮名が振ってあります。そんなに難しい字はないので、だいたい、小学校中学年くらいから。
 かなり詳しい取材のもとで書かれたもののようで、ルールの説明だけでなく滑りながらの体感などがリアルに描かれており、読んでいるとスケートができないわたしでも滑っている気分になります。

 この季節にぴったりの、スポーツ群像物語。
 あと一冊、完結編が楽しみです。

 ※この本には電子書籍があります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 美馬がクラスでいじめられるシーンがあります。暴力シーンはなく、メインはデマを流される、囃したてられるなどですが、きつい場合は、精神的に大丈夫なときにお読みになることをおすすめします。美馬は乗り越えます。

 フィギュアスケート大好きなお子さまにおすすめです。

 

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