【おちゃのじかんにきたとら】お茶の時間に虎がやってきた! 愛されるロングセラー絵本。【4歳 5歳 6歳】

2024年3月27日

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おちゃのじかんにきたとら  ジュディス・カー/作 晴海耕平/訳 童話館出版

あるところにソフィーと言う女の子がいました。ソフィーとおかあさんは台所でお茶の時間にしようとしていました。すると、突然、玄関のベルが鳴りました……1994年に出版されてから、ずっと愛されているロングセラー絵本です。

この本のイメージ 不条理☆☆☆☆☆ トラかわいい☆☆☆☆☆ おとうさんすてき☆☆☆☆☆

おちゃのじかんにきたとら  ジュディス・カー/作 晴海耕平/訳 童話館出版

<ジュディス・カー>
1923年、ベルリン生まれ。ナチスの迫害をのがれ、スイス、フランスに移住したのち、1936年渡英。ロンドンの美術工芸学校に学ぶ。テキスタイル・デザインの仕事やBBC放送の脚本担当などを経て、絵本を手がける。1970年に刊行された「わすれんぼうのねこ モグ」にはじまるモグのシリーズはロングセラー。他の作品に「おちゃのじかんにきたとら」(童話館)、「もう一羽のがちょう」(評論社)などがある。

 不思議で、ゆかいで、かわいい絵本です。原題はThe Tiger who came to tea.イギリスでの初版は1968年。54年前です。日本での初版は1994年で、日本で出版されてからも28年たっています。長く愛されるロングセラーです。

 これは、一月にご紹介したほうがよかったですね。今年は寅年なので、ちょいちょいトラがテーマの絵本を紹介するのもよいなあ、と思っています。

 ある日のお茶の時間(これがイギリスっぽいですね)に、本物の虎がお茶をしに現れると言う、不思議なストーリー。
 ソフィーとお母さんは、虎をせいいっぱいもてなしますが、この虎、とんでもない大喰らいなので、家中の食料を食べてしまいます。

 食べ物を食べつくし、飲み物を飲みつくし、水道の水もでなくなって、困り果てていたところにお父さんが帰ってきます。

 家にはお父さんの夕食もありません。すると、お父さんは「おとうさんにまかせなさい、いいかんがえがあるよ」と言い……

 ……と、いうのがあらすじ。

 この虎、なんだかとても愛嬌があるのです。
 そして、図体が大きいのに、やっていることは猫とおんなじ。ポーズや仕草も、猫なのです。

 家中の食べ物を食べつくしてしまうような狼藉者なのに、どこかかわいくて憎めない。
 突然現れて、そして、唐突に去ってゆく虎。

 途方にくれるソフィーとお母さんですが、この後、帰ってくるお父さんが頼もしい。
 あわてず、さわがず、ちゃんと解決してくれます。

 虎の仕草のあれこれの可愛らしさもさることながら、やはりこの絵本の魅力はお父さん。
 家に虎が訪ねてくるなんて言うことは(しかも、虎なりに礼儀正しく)、ふつうの生活にはおきえない大事件です。しかし、突拍子もないことを娘が言い出しても、お父さんは「嘘ばかり言って」なんて言いません。
 お父さんは、微笑みながらお母さんとソフィーの話をしっかり聞いてくれますし、そして、いたって冷静に、ソフィーたちが楽しく過ごせるよう、解決策を出してくれるのです。こんなお父さんがいたら、すてきですね。

 ソフィーたちが歩いている道に「あれ?これはさっきの虎なのかな?」と思える小さなトラネコが歩いていたりして、想像を掻き立てます。

 「かいじゅうたちのいるところ」や、「ベッドのなかはきょうりゅうのくに」「おしいれのぼうけん」などのような、日常に非日常が入り込む不条理ファンタジーですが、独特の味わいがあります。

 猫好きの方には、とくにおすすめ。

 「ねこはるすばん」など、ふてぶてしいトラネコの絵本で楽しんだ方は、この「おちゃのじかんにきたとら」も楽しめると思います。
 小さな子どもの頭の中は、まだまだ現実と非現実の境目があいまいで、日常の中に不思議の世界が共存しています。その年頃特有の独特の雰囲気があるファンタジーです。

 また、「お父さんがかっこいい絵本」をお探しの場合は、これはかなりおすすめ。虎はやりたいほうだいですが、最後の最後でいちばんおいしいところはお父さんがさらってゆきます。

 閉塞感が続く毎日ですが、「うちにも虎がお茶しにきてくれたらいいね」と想像しながら、たっぷりお菓子を作ってお茶をするのも楽しそうです。

 想像の世界だけは、無限大です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。本当に虎が目の前にいたら怖いかも知れないけれど、こんな虎なら楽しいかもしれません。子どもの想像力を掻き立ててくれるファンタジーです。

 お父さんが、とにかくかっこよく、怒らず不満も言わず、不測の事態にも動じずに問題を解決する姿をみせてくれます。そういう意味でもおすすめです。

 読後は、イギリス風のティータイムを楽しみましょう。パンとお菓子をどっさり用意して。

 

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