【あたしって、しあわせ!】小さな幸せを数えよう。人生っていいねと思える、日常を幸せにする物語。【小学校低学年以上】

2024年3月27日

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あたしって、しあわせ! ローセ・ラーゲルクランツ/作 エヴァ・エリクソン/絵 菱木晃子/訳 岩波書店

ドゥンネは今夜、眠れません。だから、ひつじを数える代わりに「あたしって、しあわせ!」と感じたときのことを数えることにしました。ドゥンネはとっても幸せでした……

この本のイメージ 幸せとは☆☆☆☆☆ 人生とは☆☆☆☆ 幸せの増やし方☆☆☆☆☆

あたしって、しあわせ! ローセ・ラーゲルクランツ/作 エヴァ・エリクソン/絵 菱木晃子/訳 岩波書店

<ローセ・ラーゲルクランツ>
1947年生まれ。1973年に作家デビュー。ニスル・ホルゲション賞、リンドグレーン賞などを受賞

<エヴァ・エリクソン>
1949年生まれ。エルサ・ベスコフ賞、リンドグレーン賞などを受賞

<菱木晃子>
1960年東京生まれ。慶應義塾大学卒業。北欧の児童書を中心に翻訳を手がける。2009年スウェーデン王国より北極星勲章受勲

 偶然知った本です。原題はMITT LYCKLIGA LIV. (英語にするとMY HAPPY LIFE) スウェーデンでの初版は2010年。日本での初版は2012年です。
 淡々としていて、派手さはないのですが、いいお話です。

 ストーリーというほどののはなくて、主人公のドゥンネことダニエッラが、「あたしって、しあわせ!」と感じられることを数えながら生活している姿が描かれています。

 小さな女の子の人生といえども、もちろん、幸せな瞬間ばかりではなくて、つらいことや哀しいこともあります。けれども、ドゥンネはがんばって、ふたたび「あたしって、しあわせ!」と感じられることを数えます。

 ジェットコースターのような話ではなく、穏やかで、あたたかい日々のストーリーです。

 起承転結のはっきりしたヒーローものや、ドラマチックな物語が好きな人には物足りないかもしれません。しかし、こういうのが必要なときもあると思います。

 実は、わたし自身が先日から、リアルで少し落ち込んだり悩んだりすることがあったのです。どんな人生でも、生きていれば納得できないことや、辛いなと感じることはあります。でも、偶然この本を読んで、なんだかとてもやさしい気持ちになれたのでした。

 ドゥンネは、「ドゥンネのしあわせノート」というものを書いています。
 日々の幸せを数えて、書くノートなのです。「少女ポリアンナ」みたいですね。

 人生、つらいことや哀しいことは数え上げたらきりがありませんが、しあわせなこともそこそこあります。

 今日の天気がいいことや、空が青いこと、桜がきれいだったこと、お茶がおいしく淹れられたこと、友だちと他愛もないおしゃべりをしたこととかね……。

 小さな子が学校でうまくいかないと、人生真っ暗に感じてしまうかもしれません。でも、世の中には面白い物語がたくさんあるし、漫画やアニメ、映像の世界の推しは今日も元気ですよ。

 正直いろいろと悩み事があり、昨日はあまり眠れませんでした。けれど、今朝、「そろそろ起きてブログ書こうかなあ」と言う時間になったら、すーーーーっと、気持ちが穏やかになって、幸せな気持ちが押し寄せてきたのです。

 「とりあえず、まあ、生きてるんだから、いいじゃないか」。

 悩み症のわたしには、あんまりたどりつけない境地です。陽気な人はみな、よく言う言葉ですが、自分でそういう気持ちになれたことはついぞありませんでした。「ああ、こういう気持ちなのかな」とはじめて思いました。

 たぶん、この本がわたしをそういう気持ちにさせてくれたのだと思います。

 本当に淡々とした本なので、心になんの翳りもない人は「えっ、これだけ?」って思ってしまうかも。でも、心がくたくたに疲れきった人は、元気がもらえると思います。

 今は、あまりにも激動の時代で、自分の力ではどうにもならない哀しいニュースを見るだけで憂鬱になってしまうし、まだまだ地震もあるし、感染症対策も気が抜けません。

 ずっとゴールが見えないマラソンを走り続けている気持ちになっている人も多いのではないでしょうか。

 この本は、本当に地味な、でもやさしい力を持つ本で、あなたの心を底から支えてくれます。ドゥンネのお母さんは病気で死んでしまったけれど、ドゥンネにはやさしいお父さんとおばあちゃんがいます。大好きな親友のエッラ・フリーダもいます。
 つらいことがあっても、しあわせなことがたくさんあります。

 あまりにも穏やかに物語がすすむので、もしかしたら、ドゥンネの日常の幸せの数々を読んで、「人生、こんなきれいごとばかりじゃないよ」と感じてしまう方もいるかもしれません。
 そんなときは、本から離れてもいいと思います。人生にはタイミングがあります。
 そして、この本が優しくハートに触れてくれる時も、あると思います。

 「あたしって、しあわせ!」ではドゥンネと親友エッラ・フリーダの女の子どうしの友情が描かれています。学校でできた、はじめての友だち。何をするのも一緒で、一緒にいるだけでしあわせな大親友。時々、ケンカもするけれど……

 出会って、仲良くなって、ケンカして、仲直りして。
 あたりまえのことがあたりまえに書かれています。でも、それが幸せというものなのです。

 子どもの頃は、まだまだそんなことにも気がつかないかもしれません。「しあわせ」って何かとても特別な、自分にはめったに訪れないものだと思ってしまうかもしれません。けれど、とってもささやかで、小さな幸せの積み重ねが、大きな幸せになるような気がします。本があって、本が読めて、感想が書けるとかね。本が読めなかった時期があったわたしにとっては、これは大きな幸せです。

 字はわりと大きめで総ルビ、文章がものすごく多いと言うわけではないので、まずは読み聞かせにおすすめです。50音が読めれば読めるので、小学校低学年から。
 でも、この内容は、大人のほうが癒されるかもしれません。疲れた大人の和み本に。

 派手さはないのですが、しみじみといい本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ケンカをすることもあるけれど、「雨降って地固まる」と言う感じの物語です。日常の小さな幸せをひとつひとつ確認してゆくお話なので、HSPやHSCの方のほうが、共感できると思います。

 作中のチョコレートケーキがおいしそうなので、読後はコーヒーとチョコレートケーキでひとやすみ。

 

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