【でんせつのチョコレート】伝説のチョコレートを求めて、一匹の野良猫が旅立つ!バレンタインシーズンにぴったりの面白ファンタジックな絵本【4歳 5歳 6歳】
俺はノラネコ。ある日、よっぱらった女の人がくれた「伝説のチョコレート」のうまさに感動し、伝説のチョコレートを求めて旅に出たんだ。そしてはるかななカカオの島にたどりついたとき、おれは伝説のチョコレートと出会う……
この本のイメージ ナンセンスファンタジー☆☆☆☆☆ チョコレートの作り方☆☆☆☆☆ 愛はすべてを救う☆☆☆☆☆
でんせつのチョコレート みやにしたつや/作 グリーンキャット
<みやにしたつや>
宮西 達也 1956年、静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。作品に、「おまえうまそうだな」(けんぶち絵本の里大賞)「おれはティラノサウルスだ」「あいしてくれてありがとう」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「帰ってきたおとうさんはウルトラマン」「パパはウルトラセブン」(ともにけんぶち絵本の里大賞)「うんこ」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「大きな絵本 にゃーご」(第38回造本装幀コンクール展読書推進運動協議会賞)「ちゅーちゅー」(けんぶち絵本の里大賞)「きょうはなんてうんがいいんだろう」(講談社出版文化賞・絵本賞)「ふしぎなキャンディーやさん」(日本絵本賞・読者賞)など多数ある。
バレンタインシーズンなので、チョコレートにちなんだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、「でんせつのチョコレート」。初版は2022年2月。
なんというか、妙な愛嬌のある、ナンセンスファンタジーです。
主人公はとあるノラネコの「おれ」。
ある寒い日に、酔っ払った女の人からチョコレートをもらいます。一口食べたらそのうまさに衝撃!
包み紙に書いてある「カカオのしまの でんせつのきからとれた チョコレートでつくった でんせつのチョコレート」の言葉をたよりに、「おれ」は旅に出るのでした。
「でんせつのチョコレート」を求めて。
カカオのしまにたどりついた「おれ」がはじめて出会ったのはカエル。カエルは高い樹の葉っぱがチョコレートになると言って騙します。
次にであったブタは、カカオの実がそのまま食べられると言って騙し、蛇は、カカオの実の種がそのまま食べられると騙し……
そんなとき、「おれ」はめすのノラネコのアモルに出会います。
アモルも「伝説のチョコレート」を探しに来ていたのでした。アモルが知っている伝説通りにさがすと、そこには一本のカカオの木が。
そのカカオの実からに二匹はチョコレートを作ります。
そのチョコレートには不思議な力があって、食べた者の心も変えてしまうのでした。
その秘密は……
……と、いうのがあらすじ。
この絵本には、楽しい物語だけでなく、「チョコレートの作り方」が詳しく書かれています。
現代で暮らしていると、食べ物は食卓に並ぶ完成形しか知らないので、自分たちが食べている「おいしくて素敵なもの」がどんなふうに出来ているのかわかりませんから、こういう解説はうれしい。
ノラネコのアモルが図解式で丁寧に教えてくれています。
それとは別に、このノラネコ「おれ」の冒険の壮大さ!
おいしいチョコレートを求めてはるばるどこまで旅に出るんだ、ノラネコ! でも、旅先で、かわいいめすネコに出会えてよかったですね。
島に上陸してからさんざんな目に遭った「おれ」ですが、彼にいじわるをしてきたやつらもおいしいチョコレートで別人のようになってしまうのです。
おいしいチョコレートには何が入っているのかな?
おいしい食べ物はどうしておいしいのかな?
食べることや、食へものをつくることなどに想いを馳せるファンタジーストーリーです。
冒険が大好きなやんちゃな男の子におすすめの絵本ですが、案外、これ、年頃の女の子がチョコレートと一緒に男子にプレゼントしてもよさそう。(とはいえ、すこしサイズが大きいかなあ)
わたしは、大人の和みとして、また、特別なときのプレゼントとして絵本をおすすめしています。絵本を贈りあう関係って、なんだかほのぼのとしてていいですよね。
バレンタインのプレゼントに、豪勢な本命チョコをプレゼントするのが照れくさい女子は、素朴な手づくりチョコレートにこの絵本を添えてプレゼントしてみてはいかがでしょう。
もちろん、手づくりのチョコには「伝説のチョコレート」とカードを添えて。なんと言っても愛がたっぷり詰まっているのですから。
とぼけていて、かわいくて、そして、ちょっぴり大人っぽいストーリーです。
でも、チョコレートに込められた愛が、読んでいるほうにも伝わる、あったかい絵本でもあります。
息子さんへのバレンタインプレゼントに、そして気になる男の子に。この季節にぜひどうぞ!
※本物の猫にはチョコレートは食べさせないでください。猫がチョコレートを食べると、主にカカオに含まれる「テオブロミン」という成分が中枢神経、循環器系、腎臓などに影響を及ぼし、最悪の場合は死に至ります。ご注意ください。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。チョコレートの作り方を説明するページがあり、知育要素もありますが、ナンセンスファンタジーとして面白い絵本です。お話としてもハッピーエンドでほっこりします。
ちょっぴり大人っぽい雰囲気のある絵本で、女の子が好きな男の子にチョコに添えてプレゼントするのにいいかも。裏表紙の二匹の猫がかわいいのです。
最近のコメント