【おかあちゃんがつくったる】お母さん最高! 思わず笑顔になっちゃう、ゆかいな最強お母さん絵本【3歳 4歳 5歳】
ぼくはしょうがくさんねんせい。おとうちゃんがなくなって、ぼくとねえちゃんと おかあちゃんのさんにんになったけど、ぼくたちはげんきでやっています……なんでもミシンでつくっちゃう、最強おかあちゃんの絵本です。
この本のイメージ 母の愛☆☆☆☆☆ お母ちゃんにまかせとけ☆☆☆☆☆ 違う、そうじゃない☆☆☆☆☆
おかあちゃんがつくったる 長谷川義史/作 講談社
<長谷川義史>
1961年、大阪府生まれ。イラストレーター、絵本作家。趣味、自転車、ウクレレ、渓流釣り。「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」(BL出版)で絵本作家デビュー、「おたまさんのおかいさん」(解放出版社)で講談社出版文化賞絵本賞、「かあちゃんかいじゅう」(ひかりのくに)「いいからいいから3」(絵本館)でけんぶち絵本の里大賞、「ぼくがラーメンたべてるとき」(教育画劇)で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞。主な作品に「いいからいいから」シリーズ(絵本館)、「おこる」(文・中川ひろたか/金の星社)、「スモウマン」(文・中川ひろたか)「いろはのかるた奉行」「てんごくのおとうちゃん」(いずれも講談社)など。
もうすぐ5月。5月といえば「母の日」があるので、そろそろおかあさんを題材にした絵本を……と思っていたときに出会ったのがこれ。初版は2012年です。
実は、この絵本には「てんごくのおとうちゃん」という前日譚(どうやらこちらが本編)があって、この「おかあちゃんがつくったる」はその後日談らしいのですが、このお話だけでも話は通じるし最高に楽しい絵本なので、季節的なこともあってこちらを先にご紹介することにしました。
お話は……
「ぼく」は小学三年生。
お父ちゃんはなくなってしまったけど、姉ちゃんとお母ちゃんの三人で仲良く暮らしています。
お母ちゃんはミシンで柔道着などを作る仕事をしています。
学校でジーパンが流行っているのを見て「ぼくもジーパン」と思うとお母ちゃんは剣道の袴の布でジーパンみたいなズボンを作ってくれました。
でも、ジーパンみたいなズボンだけど、ちょっとちがう。
体育の時間にひとりだけ汗をたくさんかいてしまう汗かきのぼくのために、お母ちゃんは薄手の生地で体操着を作ってくれます。でも、サラリーマンのシャツみたいでちょっとちがう。
お友だちが持っているみたいなかっこいいトートバックがほしくてお母ちゃんに頼むと、よけいな刺繍がついてきて、ちょっとちがう。
そんなこんなで、学校の父親参観日の直前に「なんでも作れるなら、お父ちゃん作ってくれ」と怒ってしまった「ぼく」。
はたして……
……と、いうのがあらすじ。
ラストは……思わずクスっとしてしまう、ハッピーエンドです。
お母ちゃんはかわいい息子のために「よっしゃ、おかあちゃんがつくったる」と張り切ってミシンでなんでも作ってくれますが、いつもどこかがちょっとずれていて、「ぼく」が期待したものとは違うのです。
おおらかで明るいお母さんの「このくらいの差は誤差やろ」と言う場所が「ぼく」にとっては大事なところなんですね。そして「こっちのほうがかっこええやろ」と言うポイントは完全に「ぼく」とはずれている。
「ぼく」はちょっと微妙な気持ちになりながらも、お母ちゃんの心のこもったズボンやシャツ、カバンを使います。でも、やっぱり不満は募ってしまって、お母ちゃんに冷たいことを言ってしまう。
けれど、このお母ちゃん、それでめげているような人ではないんです。さすがは「なんでも作ってしまう」お母ちゃん。あっと驚くどんでんがえしが待っています。
どんなに哀しいことがあっても、こんな楽しくて頼りになるお母さんがいたら、どんなに心強いでしょうか。ラストシーンの得意げなお母ちゃんの顔を見ると、心がほっこりしてしまいます。
どこまでも広くて深い母の愛を感じさせてくれる絵本です。
字はひらがなとカタカナで見開きに五行~十行くらい。50音が読めればひとり読みでコツコツ読むことが出来ますが、ここはぜひ、読み聞かせで。
科白は全部関西弁で書かれていますので、関西弁で読み聞かせができるのなら臨場感が出るでしょう。
母と子の心の距離がぐっと近づく素敵な絵本です。この季節にぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はほとんどありません。
母子家庭の「ぼく」とおかあちゃんの、ちょっとゆかいで心温まる絵本です。
夜の母子タイムの読み聞かせにおすすめです。
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